指揮者セミナーヘンゼルとグレーテル2日目いよいよオケも登場!

びわ湖ホールのオペラセミナー(全3日)の2日目、

初日はピアノ2台でしたが、今日はオーケストラも登場してのセミナーです。

オーケストラは大阪交響楽団の方達。

時間は今日は13時〜17時まで(初日は13時〜18時)初日の様子についてはこちら(指揮者セミナー初日)をどうぞ。

ちょっと思ったんですけど、指揮者がオーケストラの人達に付き合ってもらって練習をするなんて多分そんなにできないですよね。

大勢に付き合ってもらうわけですから。

っていうかいつも指揮者ってどうやって練習するんだろうって不思議に思ってました。

今回は5人の受講生の方達がどうやってオーケストラとそして歌手の方達と音楽を作っていったのかを見学者目線で書いてみます。

指揮には癖がある

指揮の振り方には個性があるのはなんとなく感じてましたし、指揮者の自由でいいんじゃないかって思っていたんですけど、

棒の振り方でオーケストラや歌手に伝えなきゃいけないわけですから、なんでもいいわけじゃないんですよね。考えてみたら当たり前ですけど。

特に悪い癖はやっぱりやめたほうがいいみたいで、講師の沼尻さんがおっしゃっていたのは

  • 手首をくねらさない
  • アチョーとやらない笑
  • もみもみしない
  • 手をおろさない
  • 裏拍を振らない

など。

手首をくねらさないについては、素人目にはしなやかに手首が動くなあと単純に感心していたのですが、

無駄な動きといえば確かにそうも見える。

ずっとくねくねとしているのはやっぱり癖なんですね。

で、指揮者の癖って結構ついちゃうみたいです。みなさんそれぞれ個性なのか癖なのか詳細はわかりませんが、振り方はぜんぜん違ってました。

言われてみれば確かに指揮棒の動きによっていろいろ伝えられるできるんですね、ちょっとした動きで。

特にクレッシェンドの具合とかそのタイミングとか私が見ていても微妙にわかってくるのです。

指揮者の仕草次第で不思議とちゃんと伝わるものなんだなと。

大きく映るスクリーンを見ていてそう思いました。

手が降りてしまうと言われている人が何人かいましたけど確かに指揮者の手ってずっと上のほうで動いてますね。

どうして降りちゃいけないのかはいまいちわかりませんでしたが‥。単純に見えにくいのもあるのかな。

3拍目が短いって言われてる人もいました。

最初はわからなかったんですけど、見ていると微妙に3拍めが短いし、気になりだすと確かにずっと短めなのです。

3拍目が短いと4泊目あとに微妙な待ちがあっての次の1拍目の入りがスムーズに行かないということらしく、それがとても大事な事らしいです。

1拍目で若干待ちがはいるので、1拍目の振り方が強くみえたりするとか。

直し方として3拍目を思い切り長く取る練習をしてましたけど、それも癖を直すやり方みたいです。

きちんと正しく拍を刻むのって難しいんですね。

かかとが上がってしまう癖を指摘されている人もいました。

かかとが上がって前のめりになる気持ちはわかるけど、基本かかとは上げない方がいいらしいです。軸がぶれるとか。

裏拍については裏拍が強いとオケや歌手が疲れるのだとか。

それについてはもう少し詳しく聞きたかったけど素人の私にはよくわからなかった。でもなんとなくそういう話も私にはとてもおもしろかったです。

歌手と指揮者がお見合いになってしまう事も

いつも歌手の人ってよく間違えずに出番で歌に入るなあと思っていたんですけど、やっぱり入りにくい所とか、間違えやすいとか、落ちちゃう所とかあるらしいんですよね。

今回スクリーンを見ていて基本的に歌手が歌い始めるときはさりげなく、(またははっきりと)合図を出してあげている指揮者の方が多かったです。

実際失敗しやすい所というのは特に予防のためにちゃんと合図をだしてあげたほうが良いと、そういう指導もされていました。

でもどこが落ちやすいとか、そういうのって、初めてその曲を指揮するときなんてわかるわけない気がするんですけどわかるのかな、

それでもやらなきゃいけないのが指揮者なわけで、やっぱり大変ですね。

歌手の気質によってもどうも違うらしく、自分の意思を強く持っている人と、指揮に寄り添おうとするタイプとあるらしく、

それによってもどんな合図を出すかって微妙に違うようなんですよね。

私は歌い手じゃないけど、やっぱり舞台は一発勝負だし、ここで出るのでいいと思っていてもそれを確認するためにも指揮者のフォローってやっぱり嬉しい気がします。

安心して歌えそう。

歌手の方からもフレーズの事とかどこに向かえばいいのかとかそういう質問は何度か出ていましたね。

指揮者の伝え方が下手だとたまに歌手とお見合い状態になってしまうのだそうです。

お互いにどうしたいのか探っちゃうという状態。

私にはわからなかったけど、「今お見合いになっちゃったよね」と講師の沼尻さんが何度かおっしゃっててました。そういうのもプロはすぐにわかるんだなとそっちにも感心しちゃいましたが。

指揮者は言葉は発しなくても意思疎通ができないといけないわけですよね。

ちなみに歌に入ったら微妙にオケの音量を下げるとかそういうのもちゃんと指揮で指示出してるみたいです。すごいですねえ。

振り方次第で低音が鳴ることも

ちょっとおもしろかったのは、指揮の振り方次第で低音が鳴る事もあるっていうこと。

楽譜によると思うんですけど低音が響くといいなあっていう所で確かにありますよね。

そういうときもたとえば3拍目の振り方次第でそれができたりするらしいのです。

実際にやって見せてくれて、あ、ほんとだ!と。

もうそこまで行くと神業?と私なんか思っちゃいまたけど。

それも指揮者の腕の見せ所っていうやつかも。

この日も3拍目の扱い方について何度か注意が入ってました。早すぎるとかいろいろ。

3、4拍で盛り上がって次にググッと行きたいのに指揮によってはそれができなくなるとも。

なんか気持ちは伝わってくるけどいまいち盛り上がらなかったなっていうのが確かにありました。

指揮者とオケのギアーがうまく噛み合っていないといくら頑張っても盛り上げられないし、遅くしようと思っても遅くならないととかおっしゃってましたけど、なるほどねえと。

難しいけどなんとなくイメージだけわかったような気がします。

なんかつまらないなあって感じるときって、オケと指揮者がお見合い状態になっているときもあるみたいで、遅くしたいの?どうしたいの?っていうハテナ?マークが浮かんでるときはお見合いみたいになってるってことかも。

また、一番細かい音符を意識するっていう言葉もありましたね。

いずれにしてもよく指揮者がずっと楽譜を見て研究するっていうけど、いくら勉強してもキリがないというのはちょっとわかった気がしました。

歌手を味方につけるのは難しそう

オペラってやっぱり歌手の人が目立つと思うんですよね。

だからなのかどうかはわかりませんが、歌手の人には指揮者はとりわけ気を遣っているのかなと見ていて感じました。

こういう練習を見た事がなかったので、もしかしたら指揮者って歌手とかオケに結構きつい注文をつけてるんじゃないかって勝手に思っていたんですけど、全くそういう事はなく、

基本的にお願いするスタンスでした。

まあお互いプロの大人だし。叱咤してもいい関係にはならないですよね。

特に歌手の人に怒ったりしたら声出なくなりそうですもんね。

ただ、歌手の人も当然ながら性格があるので、はっきりと主張する人とそうでない人がいるみたいで、そういうのを短い間に感じ取るのも必要なんだと思います。

できれば味方になってくれるといいんじゃないかと。少なくとも敵にならないような関係性は欲しいんじゃないかと。

主義が強い人にやたら指示したら、関係が悪くなっていい音楽なんておそらくできないですよね。

反対に、主張が強くない人なのに、指揮者が気を遣いすぎてお任せにすると、どうしたいのかわからなくて歌手も困っちゃう、ということになるみたいです。

人の気持ちとか態度とかそういうのに敏感じゃないと指揮者って無理なんじゃない?ってちょっと思いました。少なくとも空気を読めない人には絶対無理ですね。

二日目が終わって

長時間なのに二日目もあっという間に時間がたちました。

そして受講者の方達はみなさん初日から比べるとなんとなく別人になった感じで、積極的だし音楽も変わっていっている感じがしました。

二日目は鳴らし対決もあって誰が一番森のシーンの音楽を盛り上げられるかっていうのをやりました。

実はこのシーンって歌手が出てこないので、一番最初にみたときは単純につまんないなあ、早く次に行かないかなと思ったシーンだったんですよね、たしかバレエもそれにはなかったし。

でもすごくいいんですよね、この部分って。今では大好きに。

で、この部分の5人の鳴らし対決がおもしろかったですね。盛り上がり切らないと聞いていても不完全燃焼みたいな気持ちになるし、ガーッと盛り上がるとすごく気持ちよくて、すごいなあと。

講師の沼尻さんが、ここはいいところだから自分も指揮したいとおっしゃっていたのが笑えた。やっぱりそういうものなんですね。

また、「殻を破って思い切りやってごらん、拍とか気にせずに」

と言われて最年少の受講者の方が振ったときにちょっとびっくりするパワーが出ていたのも印象的でした。

あと事故っていう言葉がよく使われてましたけど、本番ではきっと合わないとか、間違えるとかちょいちょいあるんでしょうね。(素人目にはわからないけど)

そういうときに慌てず戻すのも指揮者の役目みたいで、アワアワと慌てちゃダメなのねと、あたりまえですけど。

聞けば聞くほど指揮者は大変。

それでも私としては二日目もヘンゼルとグレーテルが何度も聞けて楽しかったー!

そうそうお父さん役の方(五島真澄さん)若そうだしすごく体は細いのに出てくる声が全然想像と違ってました。落ち着いていて、いい声だなあと。

3日目はいよいよ成果発表もあります。ますます楽しみ!。

びわ湖ホール指揮者セミナー3日目(最終日)成果発表!はこちら

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