オペラは何語?最も多いのはイタリア語

オペラって何を言っているのか聞き取りにくいけど、いったい何語で歌っているんだろう?

と思ったことはないでしょうか。

最も多いのはイタリア語です。

日本でよく上演される「椿姫」や「フィガロの結婚」もイタリア語のオペラです。

日本人にとってはイタリア語というのは英語に比べて馴染みが薄いので、

何語なの?と思うのももっともだと思います。

イタリアのオペラの歴史は古いのでとても多くのオペラが作曲されたのですが、現在は上演されないオペラも実はたくさんあります。

というか上演されないオペラの方が多いです。

それらを含めても圧倒的にイタリア語のオペラが多いと思います。

オペラはイタリアが発祥

オペラは別にイタリア語でなくても、何語でもよかったのではないかと思うかもしれませんが、

そもそもオペラの発祥というのは、16世紀の終わりごろにイタリアにおいてギリシャ劇の復活の風潮から起きてきたと言われています。

オペラの歴史

その後ヴェネチアを中心に現在のオペラに近い形のオペラができてきて、

18世紀にはナポリを中心に盛んになり

オペラは最初の全盛期を迎えたと言っていいと思います。

そしてその波はヨーロッパ全体に広がっていき、ヨーロッパの音楽家たちはこぞってイタリア語によるオペラを数多く作るようになったんですね。

ヨーロッパにはいろんな言語がありますが、

オペラと言えばイタリア語でなければならない、イタリア語が当然というそんな時代が長く続いていたので、

イタリア語を母国語としない人も、オペラを作曲するならイタリア語で作曲していたのです。

また必然的にイタリアには多くのオペラ作曲家が生まれる土壌がありましたから、

その中から後世まで残る多くのイタリア人作曲家が生まれていったのも当然の流れだと思います。

そのため、現在上演されているオペラはイタリア語が多いんですね。

有名な作曲家のオペラといえば

  • ロッシーニのオペラ
  • ドニゼッティのオペラ
  • ヴェルディのオペラ

などでしょう。プッチーニのオペラも有名ですね。

これらのほとんどはイタリア語で作られています。

イタリアの作曲家でかつてパイジェッロという人がいました。

バイジェッロはロシアでも活躍した作曲家です。

彼が作ったセビリアの理髪師というオペラ(ロッシーニの同名オペラとは別物です)は

ロシアで初演しているのですが、こちらもやはりイタリア語で書かれています。

18世紀のことです。

この例だけを見ても、ヨーロッパにおいても何語にしようかというより、

オペラといえばイタリア語が優先だったということが少しわかるのではないでしょうか。

ところが、上にあげたロッシーニやドニゼッティ、そしてヴェルディなどのオペラの中には、

一部、イタリア語以外の言葉で作曲しているオペラがあります。

オペラの歴史をのぞいてみよう

個性的なフランスのグランドオペラ

ロッシーニという作曲家は、現在のイタリアのナポリを中心として活躍していた人で、

生涯ほぼイタリア語のオペラを作曲しているのですが(生涯と言っても彼は早くに、確か30代だったかな、にはオペラを辞めてしまいます、それでも作品数は多いのですが‥)

ロッシーニはオペラ生活の晩年フランスに渡りウィリアム・テルというオペラを作曲しています。

彼の最後のオペラです。

ウィリアム・テル序曲が有名なので聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

このオペラが最初に作られた時は何語だったかというと、フランス語なんですね。

19世紀のフランスでは、グランドオペラという豪華絢爛なオペラが栄えた時期があります。

劇場はパリのオペラ座

パリのオペラ座のグランドオペラは、フランス語で上演と決まっていました。

そのため、ロッシーニはウィリアム・テルを最初フランス語で作ったわけです。

もっとも、その後イタリア語版も作ってイタリアでの上演はイタリア語で上演したようですが。

同様にドニゼッティも、ラ・ファヴォリータというオペラがありますが、

パリ・オペラ座からの依頼で作られたフランス語版と、後にできたイタリア語版があります。

ヴェルディについては、ドン・カルロなどがそれです。

日本はどちらの言語も母国語ではありませんから、

日本でこれらのオペラが上演される時は、

何語の上演なのかな、というのをちょっと気にしてみるのもおもしろいのではないでしょうか。

モーツァルトとドイツ語

モーツァルトが何語でオペラを作ったかを見ると,オペラの主流がイタリア語だったのかがわかりやすいと思います。

モーツァルトが生きていたのは18世紀の後半。

18世紀のオペラ界は、とりわけイタリア語が強い時期でした。

モーツァルトは、現在のオーストリア出身なので母国語はドイツ語なのですが、

モーツァルトのほとんどのオペラ作品はイタリア語なのです。

でもドイツ語のオペラもあって、魔笛後宮からの逃走がそうですね。

魔笛はモーツァルトの最後のオペラです。

この魔笛の台本は、劇団をやっていたシカネーダという人が作ったのですが、

どちらかというと大衆向けの上演でした。

貴族向けならいざ知らず、外国語であるイタリア語では作らなかったということだと思います。

魔笛後宮からの逃走はドイツ語で、セリフが入ったジングシュピール形式になっています。

フィガロの結婚にはセリフというのは無くて、セリフ部分に当たるところはレチタティーヴォになっているんですよね。

魔笛はオペラの中でも有名だし、ドイツ語で作られているので、

モーツァルトのオペラは、ドイツ語だというイメージがある人も中にはいるかもしれません。

でも実はモーツァルトのほとんどのオペラはイタリア語なのです。

フィガロの結婚」も「コシ・ファン・トゥッテ」もです。

皇帝ティートの慈悲というオペラにいたっては,

モーツァルトが魔笛とほぼ同時期に作曲しているのですが、

貴族の式典のために依頼されたオペラなので、

  • 皇帝ティートの慈悲はイタリア語
  • 魔笛はドイツ語

とそんな風になっているわけです。

何語で作られているかだけを見ても,オペラの歴史が少しうかがえるんですよね。

チェコ語のオペラ

時代が新しくなるほど、イタリア語以外のオペラがたくさん出てきます。

ドイツ圏では、ベートーヴェンもドイツ語,ウェーバーもドイツ語

そしてワーグナーもドイツ語です。

19世紀以降は、貴族中心の社会に変化がでてきて

各国で国民主義というのが浸透してきます。

その結果、自国の言葉を優先する風潮が出てくるんですね。

オペラはイタリア語でなくても良いとなってきたわけです。

ロシアのオペラならロシア語で

チェコのオペラならチェコ語で。

というわけです。

そうやって生まれたのが、ロシアの

イーゴリ公ボリス・ゴドゥノフなど。

ロシアのオペラ・土臭いと言われるその特徴

珍しいところでは、チェコ語のオペラもあります。

ドヴォルザークはチェコの出身なのですが、彼が作曲したルサルカというオペラはチェコ語なんですね。

チェコのオペラ・その特徴

何十年か前の日本だったら、ルサルカをチェコ語で上演するなどというのはなかったかもしれません。

もし上演するとしても日本語にしていたのではないでしょうか。

というかそもそも、ルサルカはなかなか取り上げられなかったかも。

最近ではこのようなちょっとマイナーなオペラ原語で上演されるようになりました。

ルサルカを見ていた時に、前にいた女性が

これって何語?」と隣の人にこそっと聞いていました。

それもそのはずで、あまり耳にしない言葉だったから当然なんですよね。

ルサルカ初演は20世紀初頭です。

このように時代が新しいオペラはいろんな言語でかかれています。

ちなみにその時見たルサルカは、すべて日本人の上演でしたから、歌手の方達はチェコ語でうたったわけです。

歌手の人達は、オペラに合わせてイタリア語やドイツ語、チェコ語など

いろんな言語でオペラを歌うわけで、それも実はすごいことですよね。

そしてどの言語であっても、歌うことができればオペラという舞台の上では、世界中の歌手が一緒に共演できるということでもあります。

それもオペラの素晴らしさのひとつじゃないかなって思うんですよね。

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