オペレッタ「こうもり」・はじめてでもここに注目すると絶対楽しくなること間違いなし!

「こうもり」というオペレッタはオペレッタの中でもちょっと別格といわれています。

オペラとオペレッタって似ているようですが、意外にちゃんと区別があって

例えばウィーンの国立歌劇場ではオペラは上演するけどオペレッタは基本的には上演しないんですね。

そんな中、例外的に上演されてきたのがこうもりというオペレッタです。(最近はメリーウィドウも上演しているようですが)

「こうもり」の楽しみはやっぱりなんといっても音楽と歌だと思いますが、

それぞれの役によって私の場合注目するところが違います。

それに注目して見るとはじめてでもきっと数倍楽しくなると思います。

序曲はダイジェスト版

ジャンジャンジャン!と始まる序曲は出だしから華やかなイメージ。

こうもりの序曲は単独でも良く演奏される曲です。

序曲ってオペラによっていろいろで、ロッシーニなどは、オペラとストーリーとは関係なく序曲を作っていたり、他の作品から転用してきたりしていたようですし、

ヴェルディの場合はオペラの全体の雰囲気や結末を序曲で表していると思います。

そんな中ヨハン・シュトラウスのこうもりの序曲は典型的な本編のダイジェスト版と言っていいと思います。

オペラの中に出てくる曲をあちこち抜粋して繋げているという感じの序曲。

何度か見ていると、序曲を聞くだけで本編のシーンが浮かぶようになってそれもあっという間にオペレッタこうもりの世界へ。

そんなわけで、こうもりの序曲は数ある序曲の中でもとりわけ好きな序曲です。

冒頭にこうもりはオペレッタの中で別格と書きましたが、別の言い方をすればオペラに最も近いオペレッタとも言えるのではないかと思います。

音楽も芝居も軽めのオペレッタが多い中でこうもりの音楽はオペラのように重厚だからです。

そしてこうもりの序曲は、私なりにいえば、「聞くと幸せな気持ちになれる曲」だと思います。

もしはじめて聞くなら序曲をしっかりと聞いて、いいなと思うフレーズがあったら、きっとそれは本編の中にも出てきますから耳を傾けて聞いてみると楽しいと思います。

第一幕歌の注目は召使いのアデーレとかつての恋人アルフレード

こうもりの主役はアイゼンシュタインロザリンデの夫婦だと思いますが、

第一幕でまず注目したいのは召使いのアデーレ(ソプラノ)です。

女主人のロザリンデもソプラノなのですが、二人を比較するとロザリンデの方が少し重めの声のソプラノ。

そしてアデーレは軽い声のソプラノが担当することがほとんどで、

アデーレはコロラトゥーラを駆使する実は結構難しい役、

特に第一幕は演技も歌もアデーレの見せ場が多いので注目したい役です。

ちゃっかりものの召使いの役で、役柄は軽いけど実は難しいっていうところですね。

軽やかな声と高い技術、演技力、さらにちょっとしたたかだけど憎めないキャラクターだったら最高!だと思います。

大体背格好はそんなに大きくない人がやることが多く、少なくともロザリンデより小柄な人が担当していると思います。

 

そして第一幕でもう一人注目したいのはロザリンデの元恋人のアルフレード。

こうもりの最初はアルフレードの甘い歌から始まります。

こうもりって何人か男性が出てきますが、男性については基本的にお芝居の方がメインの人が多いと思います。

歌が上手くて演技が下手な人より、歌はいまいちでもいいから演技が上手くて好感が持てちゃう人、

がいいと思ってます。

そんな中、男性の中で唯一声を聞きたいのがこの恋人役のアルフレード。

アルフレードもちょっと天然な性格なので、演技ももちろん注目したいけど、やっぱり美しい声を聞きたいなあと思う役です。

なので第一幕で特に注目したいのは私の場合アデーレとアルフレードですね。

アルフレードはモーツァルトなど他のオペラの曲も口ずさむのでそれも楽しいので聞き逃したくないところ。

そして第一幕ではほとんどの登場人物が出てきますが、

  • アイゼンシュタイン
  • ファルケ(友人)
  • フランク(刑務所長)

と3人のおじさんがいて、最初区別がつきにくいかもしれないです。

特にフランクは→シャグランという名前になって第二幕のパーティーにもやってくるので、第一幕でちゃんと顔を覚えておくのがおすすめです。

ちなみにアイゼンシュタインは→ルナール伯爵

となり、みな偽名でパーティーに行くんですよね

 

 

最も注目したいのが第二幕・ウォッカの瓶は投げる?

 

ワルツあり、バレエありの第二幕のパーティーシーンは最も華やかで楽しい幕

まず注目したいのはオルロフスキーで、この役は女性がやるか男性がやるかをまず注目。

役柄的にお金がありすぎて退屈しているロシアの公爵(男性)ですが、メゾがやったりテノールがやったり、またはカウンターテナーが担当することもあります。

けっして笑わない個性的な役柄で、彼が歌う歌「僕はお客を呼ぶのが好き」もエッジの効いた曲でおもしろいのでお聴き逃しなく。

オルロフスキーが歌いながらウォッカの瓶を投げて、上手くキャッチできるかなという演出の時もありこれも注目。ちょっとドキドキします。

 

次に注目したいのはアイゼンシュタインとフランクの会話。

本来なら逮捕される側と、する側の二人だけど互いに素性を隠してフランス人となっているので

おかしなフランス語で挨拶するという笑いの場面。

ここで何をいうかは上演によって違っているので、何を言うかが楽しみなところです。

誰もが知っているフランス語とか名所とか。

いずれにしてもフランス人が挨拶でそれ言わないでしょ!っていうのがなんとも楽しい。

 

二幕の次の見どころはロザリンデのチャールダーシュの歌。

ロザリンデの一番の見せ場で、ゆっくりから速い曲になるハンガリー風のこの曲は何度も聞きたいシーン。

色っぽいロザリンデの歌を楽しみたいですね。

 

そしてシャンパンの歌が始まると華やかさが頂点に

演出にもよりますがここではバレエが入ることが多く(というかぜひバレエは欲しい)

ウィーンでこれを年末に必ずやるのがわかる!、と思うような大晦日にぴったりの華やかな場面です。

 

第三幕はほぼ台詞・日めくりカレンダーはある?

 

第三幕は刑務所のシーンで、ここではもっぱら看守のフロッシュが目立ちます。

フロッシュは歌はなくて台詞のみ。

刑務所長フランクが名前を偽って夜遊びに行っているのも笑えますが、全体に適当感があるのがなんともゆるくていいんですよね。

3幕では再びアルフレードの美声も聞こえてきますからこれにもちょっと注目。

 

刑務所に戻ってきたフランクがタバコを吸いながら眠くなり、新聞に穴を開けるという演出も何度かありましたが、

無いのもありました。うまく穴が開くなあと感心して見てましたが‥。

そこはどうするのかは気になるところです。

 

それに日めくりカレンダーがあるかどうかもちょっと注目。

大晦日に上演する時はおそらく必ず日めくりカレンダーを31日にしておくのだと思いますけど

私が見た公演はある時と無い時がありました。

フロッシュが31の日めくりをめくったら→1日じゃなく32が出てくるっていう笑いもありそのあたりも注目。

 

帽子を何度も壁にかけようとしてかからず最後にかかるっていう演出もあったりなかったり。ここも気にして見るようにしたいです。

 

3幕はとにかく台詞が中心です単純におもしろいのですが、特に個人的にいつもうけるのは

彼の妻は私の妻だ!」(アイゼンシュタイン)

「君たちは妻を共有しとるのかね?」(フランク所長)

というフランク所長のとぼけた一言。

 

何はともあれアイゼンシュタインはおじさんだけどどこかかわいらしく思えるようなキャラだといいですね。

何度でも見たくなるオペレッタ「こうもり」です。

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