日生劇場はやっぱりいい
2021年6月13日(日)14:00から
日生劇場でプッチーニのラ・ボエームを見てきました。
日生劇場ってなんか好きなんですよね。
今は新国立劇場もあるし東京文化会館もあるので日生劇場はちょっと古くなっちゃった感もあるのですが、
それでもやっぱり日生劇場っていいと思うんですよね。
- 後ろの席でもすごく見やすい
- ロビーとか階段がゆとりがあって贅沢、レトロ感もいい
- 日比谷という立地が楽しい
こういう風に書くと日生劇場の回し者かと思われそうですが(笑)
帝国ホテルの前にあって、日比谷ミッドタウンも近くなんとなくハッピーな立地なので私にとっては出かけるのが楽しい場所です。
さて、今回はギリギリにチケットをとったのですが、いくつかのサイトではすでに「チケット終了」だったのでほぼ満席かと思ったのですが、
実際にはかなり空きも‥。やはり新型コロナ対策で人数を制限したということだったのでしょうか。すごくいい公演だっただけにもったいないというか‥。
会場では喫茶は新型コロナのためお休みでしたが、お水やお茶は売っていました。早く喫茶も再開してもらいたいなあ。
今回は計4幕を前半1、2幕と後半3、4幕の2部にわけての上演。休憩は一回でした。
始まった途端素敵な公演になる予感
今回のラ・ボエームの感想を一言で言うなら
「日本語がとても合っていた、そしてミミがすばらしく良かった!」と。
甘いメロディーで音楽がはじまると、「やっぱり生の音はいいなあと」幸せな気持ちに。
舞台は質素なお部屋で、いかにも貧乏な学生の住まいという感じ、そしてミミが寝ていました。
ミミは最初は出番じゃないのになぜか最初からずっといて‥
どうやら回想っていう設定なのかも。
マルチェロが歌い出して「あれ?日本語だわ!」とちょっと驚き。イタリア語だとばかり思っちゃってました。
ところがこれが良くて‥
出だしのマルチェッロがすごくいい声だしよくわかる日本語。しかも違和感がなくて。
日本語での公演ってむりやり日本語にした感じとか、聞きとりにくさを感じてしまう時もちょくちょくあるんですけど、
今回はそれが全くなく、逆に日本語がとても合っている気がしました。
こういう感覚は初めてかもしれないです。「日本語いいわあ!」と。
「紫苑物語」を見た時は日本のオペラだから日本語だったのですけど、なんならその時より日本語が美しいと思えたかも。
宮本益光さんという方が日本語訳を担当されたらしいです。その人がすごいのかも。とにかく今回の公演の一番の印象はラ・ボエームって日本語が合うのねと思ったことでした。
ちなみにちゃんと字幕もありました。たとえ日本語でもやっぱりこれはありがたいです。
そして始まった途端「これは素敵な公演になるに違いない!」とワクワクの予感がしたのでした。
今回の公演は合唱は姿が見えなくて主要なメンバーだけが表に。
ただ2幕の街並みのシーンも家の中の雰囲気のままなので正直いうと違和感があったかなあ。
これは家の中?外なのかな?とずっとモヤモヤしてみてました。
窓がしっかりあるので、家の中だよね、でも違うのかなあと。
ムゼッタがいきなり窓から入ってくるし、一体ここは何階なの?とか気になってしまいました(笑)
2幕はどんな風に街並みを現すのかもこのオペラの注目箇所でもあったので、それは今回はあまり無かったけど、こんな緊急事態宣言の中だし贅沢はいえませんよね。
歌手について
最初に歌い出したのは画家のマルチェッロで歌ったのは池内響さんという方。
この人の声は初めて聞いたのですが、とても素晴らしい声とそして演技。
うまいなあとこちらもテンションが上がります。
そしてミミを歌ったのが迫田美帆さん。
この方を最初に見たのはスカルラッティの「貞節の勝利」だったと思います。
その時リッカルドを歌ったのが迫田さんで、男性役にしてはちょっと小柄だなあと思ったものの、声がとても美しかったので名前と声のイメージはずっと印象に残っていました。
そして今回のミミ役。この役は声も雰囲気もともに迫田さんと言う方に本当にぴったりなんじゃないかなと。
低音も高音も甘い響きのある心地よい声で、久しぶりに声にゾクゾクっとしました。
気負いが全くない様子で自然に声が出てくるように見えるんですよね。
そして気が強いけど実は優しいムゼッタを歌ったのは冨平安希子さん。
後宮からの逃走とフィデリオのマルツェリーナなど何度か見たお名前。
この方は同じソプラノでもミミの迫田さんとは全く違う声質でムゼッタという役によく合った声かと。見た目がとても華やかな方です。
前半はきつそうな表情と演技でしたが、4幕では優しさが滲み出ていて、その違いがこの役の魅力かなと今回見ていて思いました。
詩人ロドルフォを歌ったのは岸浪愛学さんというテノール。この方は夏の夜の夢のフルート役で出ていたとのことなので前にも見ていたのかも。あの時の職人さんたちはたしかにおもしろかった!。
1幕の自己紹介の時はちょっとだけ硬い感じもしたけどまじめな雰囲気がロドルフォに合ってました。
4幕はショナールもコッリーネもすごく伸びやかでよかった。
ショナールを歌ったのは近藤圭さん。そしてコッリーネを歌ったのは山田大智さん。
ラ・ボエームって若者たちの物語。オペラって年齢があまり関係ないところがありますけど、今回は若々しい感じもあってよかったなと。
そしてオペラの長さが短めっていうのはやはり聞きやすいって改めて思いました。ワーグナーなんかだと1日仕事になって「行くぞ!」って思って、それはそれで好きなのだけど、ラ・ボエームくらいの長さだと、さらっと気負わずに出かけられます。帰りにどこかに寄ろうという気にもなるし。
何はともあれ日本語が染み入る今回のラ・ボエームでした。
生のオペラって毎回発見があります、だから楽しい!
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