さまよえるオランダ人2019年4月東京春祭

ワーグナー作曲の「さまよえるオランダ人」を見てきました。

観た印象を一言で言うとよかったです。

特に歌手陣がすばらしく第二幕は感動。このオペラの良さを再発見しました。

久しぶりにカーテンコールの時に1階の舞台近くに行って拍手しちゃうほど良かったです。

東京春祭のさまよえるオランダ人

  • 演目:ワーグナー作曲
  • 2019年4月5日
  • 場所:東京文化会館(上野)
  • 管弦楽:N響+ライナー・キュッヘル

指揮はダーヴィト・アフカムというまだ若い指揮者です。

当初のパンフレットにはもとウィーンフィルのコンサートマスターのライナー・キュッヘルさんはなかったので、途中で決まったのかなと。(そういえば昨年のローエングリンにもいらっしゃいました)

いずれにしても、遠くから見ていてもバイオリンの弓の使い方が全然他の人とは違うなあと思いましたね。

さて、東京春際というの催しは私は昨年から観るようになりました。

昨年のローエングリンがとても素晴らしかったので今年も観ることにしたんですよね。

東京春祭は2010年からやっているようですが

過去の演目をみると、一回目がいきなりパルジファルから始まっているくらいだからワーグナーをやるぞ!という意気込みがすごいというか。

この流れで行くと来年はトリスタンとイゾルデかなと?また行こーっと。

っていうくらい今回の公演は感動ものでした。

客席の入りはというと、平日の19時開始で終わりはほぼ22時という遅さもあってか満席とはいかず、一階の後部はちょっと空席がありました。

それでも2階以上の席はほぼ満席で、男性が多かったです。

今回のさまよえるオランダ人は引っ越し公演というわけでもないし、コンサート形式の割にはS席が22,100円とかなり高めだったのですが、

結果を見れば非常に納得の内容で、このメンバーをよく揃えられたなと思うような素晴らしい歌手陣でした。

あと、感じたのは演奏会形式で上演すると、オペラの歌手の編成、中でも合唱の編成がよくわかることです。

通常の舞台だと漠然としかわからないのに、演奏会形式だと後ろに合唱がずらりと並ぶのでそれが顕著でした。

さまよえるオランダ人の場合は第一幕は男性合唱しかなく、それもこの形式を観て気付いたことで、そうだったのねと。

第二幕の前半になると、今度は女性だけの合唱になり、最後のところになると、混声になるという流れが

はっきりと目でわかるのが演奏会形式ですね。

これはこれでおもしろいです。

 

映像の演出

 

コンサート形式なので舞台セットや演技は無いのですが、その代わりに舞台の後ろには大きな映像が映されていました。

昨年のローエングリンと雰囲気が似ていて古風な絵画のような色彩でしたが、今年は中野一幸さんという方の名前が載っていました。

最初の荒海を上から見た映像はちょっと斬新。

最初に見える船が白っぽくて新しい感じだったので、さまよえる幽霊船にしてはきれいすぎる!とおもっちゃいましたが、

これはダーラントの方の船で、納得。

あとから現れたオランダ人の幽霊船は、帆の色がオレンジ系だったのはちょっと意外でしたが、

これは血の色を少しイメージしたものだったのかとも思いました。

こういうスクリーンの映像って時にはオペラのイメージをガチャガチャに壊してしまうと思うので

すごく難しいと思うんですよね。

今回そういうのは全然なくて、一番注目したのはやはり荒海の様子を現す序曲の時でした。

第二幕の緊迫するシーンになるとあまりスクリーンは見なくなってしまって歌に集中してしまいます。

映像の方もそれがわかってるのか景色がほとんど変わらなくて

結果としてすごくバランスのよい映像だったなという印象です。

ゆらゆらとする船 の感じや、ちゃんと船が入り江に着く様子がわかったし、オランダ人の絵が浮き彫りになったりするなど、すごく繊細に作られているという感じでした。

 

歌手について

 

実はさまよえるオランダ人を生で観るのは初めてでした。

生で観て一番感じたのは思ったより迫力があって、それは特に第二幕。

第二幕がこんなに劇的で迫力があったのかと再発見。

特に圧巻だったのは二幕の合唱の迫力とそれが長いこと。やっぱり合唱の力って素晴らしい!と再認識。

実は第一幕後半のダーラントとオランダ人の二人の話し合いのシーンは、音楽がなんだか入ってこなくて不覚にもウトウト寝てしまいました。(隣のおじさんはもっと眠りこけていましたが‥笑)

ここは音楽も地味だしダーラントとオランダ人という二人のおじさんの絵面も地味すぎて‥(すみません)

でも後半はほんとのめり込んで見てました。

今回の歌手陣は皆素晴らしかったのですが、

個人的に最も感動したのはエリックを歌ったペーター・ザイフェルト。

バイロイトにもよく登場していた人だし名前だけは知っていたのですが、

実際に生で聞くのはおそらく初めて。

なんと65歳という年齢とは到底信じられない若々しくつやつやした声で、声だけ聞いているとまるで若者そのもの。

さすがとしか言いようがないほど素晴らしい声でした。

また情感がこもった歌い方で、演技がなくても伝わってくるものが多く、公演中ずっと感激しながら彼の声に聞き惚れていました。

というわけで今回の一押しは個人的にはペーター・ザイフェルトでした。

さて、オランダ人を演じたのはブリン・ターフェル

この人を見たのは何年前だったんだろう。演目を思い出せないのが残念ですが、

何れにしてもすごく歳を重ねていたので、ずいぶん前に見たのだと思います。

オペラって時々こんな風に10年とか20年の時を経て歌手を再び見る機会があると

古い友に会ったようなそんな懐かしい気持ちがするものです。(向こうは私など知る由もありませんが)

たとえ歳を取っていても、同じように美声を聞かせてくれると、それがなんとも嬉しく一人で感動してしまうのです。

今回のさまよえるオランダ人は比較的年齢層が高い歌手陣で、ワーグナーだけに男女ともにたくましい巨体の人が多くて

舞台を全体としてみると、見た目は華やかさからはほど遠く地味そのもの(まあストーリー的にも地味ですが)なのですが、音楽と歌がよければすべてよしだよねと実感する公演でした。

それくらい皆良かったです。

ゼンタ役はリカルダ・メルベートという人。

この人は比較的最近ブリュンヒルデで見たように思います。

若干時々高めの音に聞こえるのは私だけなのかもしれませんが

とはいえ渾身の歌と演技(演技はないけど伝わってくるもの)は良かったです。

 

オペラってなかなか同じ演目をなんども見ることができないし、同じ歌手に会えることもそんなに多くないから、一生かかっても全然時間が足り無い趣味だと思うんですよね。

だからこそおもしろいんですけどね。

最後に音楽が終わった後、コンサートマスターのライナー・キュッヘルさんが指揮のダーヴィト・アフカムに向かって微笑んで頷いていたのが見えました。満足の演奏だったのかなと。よかったよかった。

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