今回は「高田正人のオペラ Why not?」というお話ありのオペラガラコンサートを見てきました。
最近はガラコンサートはあまり行かなくなったのでこういう形式は久しぶりでしたが、楽しかったですね。
日頃からオペラ歌手ってどんな人なんだろうって思っているんですけど、素顔が垣間見えたコンサートでした。
Why not?って
最初に思ったのはタイトルの「Why not?」って何?ということ。
調べてみたらネイティブな英語ではよく使われるらしくなぜ?の一種らしいですね。
さて今回の会場は文京シビックの小ホール。
文京シビックは時々行きますが小ホールってあったんだ!という小さい驚き。
370人ほど入れるというホールは傾斜があって、前後の広さに余裕があるので、なかなか見やすくて楽なつくり。
大きな会場と違ってこじんまりした会場っていうのはなんとなくホッとするもんです。
ちゃんとした喫茶はないけどカップの自販機があり、休憩時間はそこに人の列ができるのもなんともアットホーム。
高田正人さんのWhy not?は今回が映えある第一回目とのことで今回のテーマは
〜神話が導く大人のオペラ〜
神話って興味があるんだけど踏み入れると深そうでたくさんありそうで難しいかもしれない。
でも知ってると絵とか彫刻とか見方が変わるんだろうなあと日々思うものの、なかなか本腰を入れてはいれなかった世界。
今回はジュピターとかダフネとか聞いたことある神様たちのお話を聞きつつの進行で、
へーそうなんだ、とおもしろおかしく聞いてきました。
とはいえ正直なところ、今日聞いてきたことを思い出せと言われると
- ジュピターは女好き
- 月桂樹で作る冠とオリーブの冠は意味が違う
- ポセイドンは強い!
- ポセイドンは好きな人を射止めるのに地割れさせて引き込む
- キューピットってヴィーナスの子供だった
- 誰かが踏まれてミントになった
- ジュピターは雨に変身して女性を妊娠させた
くらいしか残っておらず、なんて私は記憶力が悪いんだ!とちょっと悲しくなってしまいました(笑)。
今回のお話はコンサートの題名にもなっている高田正人さんというテノール歌手。
これだけは覚えて帰ってくださいねと言われて、そうかそうかよし!、と思ったにも関わらず言われたことは覚えてない気がするし
こんな感じで申し訳ないけど、でも全体としてはなんか楽しかったし、いいこと聞いた気がするっていう気持ちが残ってますね。
だから良しかなと。
映像もありの演出
今回は舞台セットがあるわけではないので演出と言えるかわかりませんが
それでも係りの人がパソコンから映像を映し出してくれていました。
オリュンポス12神の時は一覧表なんかが映し出されて、まるで歴史かなんかのお勉強みたいで、
しかも高田正人さんが「ここまでよろしいですか?」と聞くので
やにわに学校で授業を受けてるような、変な焦りを感じたりして‥。
久々に学生気分を味わったかも。
何はともあれ映像があるとやはりわかりやすいもんです。
私が印象的だった映像は闘牛士の写真。
カルメンのアリアに合わせての映像です。
オペラでどピンクの衣装をきたエスカミーリョを見たことがあるのですが、
実際の写真の闘牛士もやはり派手!
ピンクの衣装は舞台だけの話じゃなく実際にありそうだと思いました。
ギリシャの劇場のお話の時はちょっと眠くなりましたが(すみません)
オリュンポスの神々の写真とお話はおもしろかったです。
特に高田さんがちょいちょい自分の意見とか感想を挟んでくれるのでそれがいい
というか、そうでないとウィキペディアになっちゃいますしね。
ポセイドンとネプチューンと海の神様は二人いるのかと思っていたという高田さん。
私もそう思ってました(笑)
アリアの時は字幕をパソコンから映し出してくれていましたが、あの担当の人はアリアの歌詞を完全に覚えているということなのかなと思いながら見てました。
結構大変な作業じゃないかと。
おかげでアリアの内容もよくわかりました。
歌手の人たちが芸達者・歌にも満足
今回いろんなアリアを歌ったオペラ歌手の皆さんは3人。それにピアニストの方が一人。
- 司会兼の高田正人さん(テノール)
- 愛もも胡さん(ソプラノ)
- 三戸大久さん(バスバリトン)
- ピアノの平塚洋子さん
です。
冒頭のアリアがトゥーランドットの「誰も寝てはならぬ」で
へー、これをいきなり歌うんだ、すごいなあって思っていたら
やはり珍しいことだったみたいですね。最初にこれを歌ったのは
「このコンサートで誰も寝ないでね」というお願いだったりして(笑)。
とはいえやっぱり何度聞いてもいい曲です。
高田さんって見た目はバリトンっぽいけどテノールなんですよね。
オペラ「ダナエの愛」のお話をしていたので、あのオペラに出てたのかなあと思ったものの全然覚えがなかったのは
私が見た日は別の方が出ていました。ポルクスを歌われたんですね。
以前音楽家の方に司会をやりながら演奏するのはとても大変なこと、と聞いたことがあります。
ましては歌と司会はもっと大変そう。
何も見ずのあのしゃべりと進行ですごいなあと感心して聞いていました。
高田正人さんは最初だけアリアを歌ってあとは司会だけかなと思ったら後半も結構歌ってくれてました。
マルチな人なんですね。
そして二曲目に登場したのが愛もも胡さんというソプラノ歌手。
この人も最初からヴィオレッタのアリアをさらりと歌っていてすごいなと。
ちょうどこの日私はデュマ・フィスの原作「椿姫」を読んでいたので、このアリアが聞けて良かった。
愛もも胡さんという方は美しいヴィオレッタもお似合いだけど、後半の天国と地獄になったらまた別の顔を持っていてイキイキと演技と歌を披露していました。
司会の高田さんは他の出演者にいい感じでインタビューしていましたが
愛もも胡さんから出てきたのはちょっと優等生のような歌舞伎のお話。
きっとすごくまじめな方なんだろうなと思いつつもっと素顔が知りたい!と思うのはだめ?
インタビューされるとすごく恥ずかしそうで観客の方をなかなか見てくれないんですけど、歌になるとすごく堂々と演技と歌をされる方です。さすがプロ!
そのギャップがおもしろいというか、素顔はどんな方なのかなとね、そう思っちゃったんですよね。
そしてカルメンの闘牛士の歌をかっこよく歌ったのがバスバリトンの三戸大久さん。
低い声も安定のバスバリトンっていいですよねえ。
すごくかっこよく登場した三戸さんでしたが、後半の天国と地獄ではハエさん役になって登場。
あまりのギャップに笑いが‥。
前半に司会の高田さんに、モーニング姿を見るのは珍しいといじられていましたが
実はハエさんを演じるためだった?
モーニングの後ろをパタパタとやりながらジジッジジッ!とハエの歌を歌ったのはおもしろすぎ!
しかも超かっこいいエスカミーリョを歌った後だけに絶妙でした。
最後にピアノの平塚洋子さんという方。この人もインタビューをされてましたが、短いけどお話が上手。
趣味の神社仏閣のお話をされてて人となりが見えて良かったです。
最後の天国と地獄のフィナーレでは手拍子も出て楽しく終わりました。
出口では出演者が並んでくれて、握手もできるってオペラには珍しいことじゃないかと。
今回は時間がなかったので握手できずに残念!今度はしてもらおうっと、ミーハー気分でした。
帰りに駅に向かっていると他のお客さんも「楽しかったねー」と。
オペラって敷居が高いって言われてますけど、私が常々思うに、オペラの敷居が高いんじゃなくて
オペラ歌手の存在が敷居の高いところにあるんじゃないかなって思うんですよね。
今回みたいな素顔が垣間見えるコンサートを見ればぐっと身近になるんじゃないかなって
そんな気がした公演でした。
(いつもながら写真が下手ですみません)
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