トゥーランドット・プッチーニ・の解説・幕間劇にも注目したい

トゥーランドットは、プッチーニのオペラの中で、

トスカ」や「・ボエーム」と並んで人気のあるオペラです。

また舞台が中国になっていて

と並んでご当地三部作の一つでもあります。

 

設定が中国で、華やかな舞台は、アイーダと並んで野外公演が多い演目、でもあります。

アリア「誰も寝てはならぬ」はとりわけ有名で、コーヒーのCMで知った人も多いのではないでしょうか。

 

成立と初演

  • 作曲:プッチーニ
  • 初演:1926年
  • 場所:ミラノ・スカラ座
  • 原語:イタリア語

 

1858年生まれのプッチーニが、65歳で亡くなる直前まで、手がけていた最後のオペラです。

プッチーニは、トゥーランドットを終わりまで仕上げることなく、病に倒れているんですね。

第3幕の、リューが自害する場面までで、亡くなってしまったため

そのあとの部分については、プッチーニの息子の依頼により、フランコ・アルファーノという作曲家が、作曲して完成させました。

 

すでに台本は出来上がっていたので、3幕の終わりの部分の音楽だけをアルファーノが作曲したわけです。

ミラノ・スカラ座における初演の指揮は、大指揮者トスカニーニでしたが、

彼は初日の公演では、リューが自害するところまでで、指揮棒を置き、

プッチーニが作曲したのはここまでです、と言ってその日の公演を終わっています。

そのあと、冷たい姫の心が溶けて行くので、あとの話が無いのは、かなり違和感があると思うのですが、

それだけトスカニーニの、原作に対する強い思いがあったのでしょう。

 

そして、2回目からは、アルファーノが追加したところを加えた全曲が、演奏されました。

 

トスカニーニという指揮者は、とりわけ楽譜と原曲に忠実といわれる指揮者で有名ですが、

このこともトスカニーニらしい、と言えるのかもしれません。

 

さて、初演がトスカニーニ、ということを聞くだけで、プッチーニは比較的最近の人だと感じます。

トスカニーニの頃になると、録音も多く残っていますし、トスカニーニは1957年まで生存していますから、それほど昔のことではないんですよね。

 

プッチーニは蝶々夫人という、日本が舞台のオペラを、作っていますが、

トゥーランドットは中国が舞台

プッチーニは東洋的なものに惹かれていた作曲家の一人ですね。

蝶々夫人についていえば、かなり日本的なところを的確に描写しているな、と思います。

 

トゥーランドットのストーリーについては、あまりに冷たいトゥーランドット姫にちょっと不気味さを感じてしまうところや、

そんな姫に対して、ちょっと見ただけで好きになり、死を覚悟して謎解きをする王子についても同様で、

の主人公二人の男女については、不思議感が拭えないところです。

 

トゥーランドットの原作は18世紀フランスで生まれた「千一日物語」の中の一つで

それを元に、18世紀に、ヴェネチア出身の、カルロ・ゴッツィという人が書いたものが原作です。

このようなおとぎ話的なものは、往往にして残酷だったり、ちょっとありえない、というようなところがあるので

この物語についても、そのような印象を持ってしまうのかもしれません。

 

 

上演時間とあらすじ

上演時間

  • 第一幕・・35分
  • 第二幕・・45分
  • 第三幕・・40分

正味2時間なので、時間的にはそれほど長くないオペラです。

二回の休憩を入れても3時間程度ですね。

 

簡単あらすじ

氷のように冷たく心を閉ざした美しいトゥーランドット姫。

3つの謎を解くことができた王子のみ、姫と結婚できるが、もし解けない場合は首を刎ねられます

王子カラフは、父と奴隷のリューが止めるのを聞かずに、謎解きにチャレンジします。

カラフは無事に3つの謎を解くのですが、トゥーランドット姫は、王子のものになるのを頑なに拒むので

カラフは、自分の名前をあてるよう、逆に謎解きを出します。

もし名前がわかれば潔く自分の命を差し出す、というのです。

リューの死をも厭わない献身的な愛に接し、また王子の愛とキスにより、トゥーランドットの心は溶けていき、愛に目覚めるというあらすじです。

 

このオペラのあらすじを見てわかるように、あまりに奴隷のリューが、献身的でかわいそうな役どころです。

拷問をかけられても、絶対に王子の名前を明かさず、自ら命を立ってしまうんですね。

 

リューは、王子に密かに思いを寄せているからなのですが、

当の王子は、ちょっと見かけただけのトゥーランドットに夢中になるし、

根拠のない自信だけをもっている不思議な人格です。

 

そのため、トゥーランドットというオペラのあらすじについては、あまり深く考えてはいけないのかなと思っています。

その点、トスカのように起承転結がはっきりとしていて、見やすいオペラとはちょっと違う気がしますね。

コンメディア・デッラルテ

また、第二幕の一場では、ピンとポンとパンの3人の大臣が、ことの成り行きをおもしろおかしく話をするシーンがあります。

このシーンは、イタリアのコンメディア・デッラルテと呼ばれる、即興劇の様式を取り入れた幕間劇のようなものです。

原作を書いた、カルロ・ゴッツィという作家は、18世紀、コンメディア・デッラルテを得意とする作家だったので、

トゥーランドットには、この古い時代の形式が取り入れられているのですね。

コンメディア・デッラルテの代表的なものは、ピエロの即興劇ですが、トゥーランドットでは3人は中国の宦官を思わせるような格好をしています。

コンメディア・デッラルテが流行したのは、16世紀後半から18世紀にかけてと言われています。

プッチーニという人が、なぜ、カルロ・ゴッツィのこの作品に、目をつけたのか、

実は喜劇を作りたかったのか、聞いてみたい気がします。

 

このシーンについては、オペラを見始めた頃、

何も知らずに見たので、この第二幕の一場のピン・ポン・パン部分が、なんとも不思議に思えたものです。

舞台セットが特に何もないところに、3人だけがいるので、明らかにそれまでのオペラの雰囲気と異なりますし、

このシーンが意外に長いので、違和感を感じたんですよね。

 

と色々語っていると、トゥーランドットの良さが見えてこないかもしれませんが、

アリア「誰も寝てはならぬ」は、名曲中の名曲で、やはり聞きごたえがありますし、

トゥーランドットはプッチーニらしくとても緊迫感のあるオペラです。

 

 

見どころ

 

野外で上演されることが多いだけあっって、トゥーランドットの舞台は華やかです。

また、タイトルロールのトゥーランドット姫には、イタリアオペラの中でもとりわけドラマティックな声が求められているので、その歌唱も見どころでしょう。

ワーグナーの主役級のソプラノが、担当することが多いのもそのためです。

少し前だとエヴァ・マルトン、もっと前だとビルギット・ニルソンなど、

いずれもワーグナー歌手ですね。

 

ただ、欲を言えば、トゥーランドット姫は絶世の美女なのですが、ドラマティックな声を持ち合わせた絶世の美女のソプラノというのはなかなか難しく‥。

トゥーランドット姫という役柄は、冷たい心になってしまった経緯などを、それほど本人が歌うわけではないので、

人形のような役で、あまり人格が見えてこないんですよね。

そのため、なぜカラフは命をなげうってまで、謎解きに挑戦するのか、と不思議に思ってしまうわけです。

 

せめて絶世の美女であって欲しいとどうしても思ってしまうのは私だけでしょうか。

 

とはいえ、アリアは、「誰も寝てはならぬ」の他にも美しいものがあり、見どころです。

  • 第一幕 奴隷のリューが無茶な謎解きに挑戦するのをやめて欲しいと涙ながらに歌うアリア「お聞き下さい」
  • 第一幕 それを聞いてカラフが慰める「泣くなリュー
  • 第二幕 トゥーランドットが先祖の恨みを晴らすためにと歌う「この宮殿の中で
  • 第三幕 カラフが歌う「誰も寝てはならぬ」
  • 第三幕 拷問されているリューが歌う「氷のような姫の心も

など。

オペラには中国らしくドラもがでてきて、挑戦する時に鳴らすなどしてオペラを盛り上げます。

また、トゥーランドット姫とカラフの3つの謎解きのシーンは緊迫するところで見どころです。

リューは健気な役ですが、強い意志を持つのでこちらもトゥーランドットほどではないのですが情熱的な声が求められます。

リューの歌は全体に見どころ、聞き所だと思います。

 

トゥーランドットは中国の演出家を起用することも多いようですが

トゥーランドット姫の豪華な中国式衣装も見どころでしょう。

最後に、この千一日物語は何を言いたいのかな、と考えるとやはり愛に勝るものはない、ということなのでしょうね。

<今後のトゥーランドットのオペラ公演>

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