椿姫・トリエステ・ヴェルディ歌劇場・素晴らしい声!マリナ・レベカのヴィオレッタ

トリエステ・ヴェルディ歌劇場のオペラ「椿姫」を見てきました。

今回の公演の感想を一言で言うなら、ヴィオレッタを歌ったマリナ・レベカが素晴らしかった!

これにつきます。

トリエステ・ヴェルディ歌劇場引っ越し公演

そもそもなぜこのオペラを見に行ったかというと、

トリエステ・ヴェルディ歌劇場という、あまり聞きなれない歌劇場の引っ越し公演だったからです。

珍しいから行ってみよう!っていう感じです。

ラモン・ヴァルガスは知っていたけどヴィオレッタを歌ったマリナ・レベカという人は全く知らなかったし

なんなら横須賀芸術劇場の方ではデジレ・ランカトーレがヴィオレッタをやるのでそっちの方がいいかなあ

なんて思いつつ、でもまあ行ってみようって思ったんですよね。

ところが‥

東京文化会館に行ってよかった!

マリナ・レベカのヴィオレッタがなんと素晴らしかったことか。(デジレ・ランカトーレは6月にリゴレットで見ていたし)

ヴィオレッタ役が素晴らしいというよりもマリナ・レベカのたぐい稀な声が聞けたのが何よりよかったです。

人の声がここまで共鳴するのねというのが何より驚きでした。いやー感動の声でしたね。

あの声なら弱音でも、どんな広い劇場にも響くと思います。

 

場所は上野の東京文化会館。

連休の初日だからか、思ったより人の入りは少なめな感じ。

でも少ない時に限って良い公演だったりするもので、今回もそうだったんですよね。

行かなかった人は残念だったかも。

っていうか、今回のトリエステの公演のパンフレット‥あれはどうなんだろう

マリナ・レベカと大きな椿はちょっとイメージが違うような気がする‥。(言ってしまった)

実際はすごく良かったのに‥。

 

椿姫の公演って日本ではすごく多いんですよね。

だから椿姫はもう見なくてもいっかあと、私なんかは思うんですけど

でも今回はトリエステ歌劇場が見たかったから行きました。

イタリアってたくさんの歌劇場があるけどイタリアまで行けないから、日本に来てくれると私なんかは嬉しいです。

多少チケットが高くてもイタリアに行くよりは安いですから(笑)

そんなわけで、なんやかんや言いながら結局のところ最低でも年に一度は椿姫を見てる気がします。

今回の椿姫はすごく時間的に短く感じました。

それだけよかったのかも。

序曲を聞いた時からなぜだかすごく期待が高まる感じがしました。そしてそれはあながちはずれではなかったんですよね。

バイオリンの音色もきれいだったし。

椿姫は劇場としてはきっとすごくやり慣れている演目だと思うし、それがなんとなくわかるんですけど、だからと言って慣れすぎてる感じもまったくなく、

ヴェルディってイタリアの人達にとっては永遠の偉人だもんねえ、なんて考えたりしてました。

 

トリエステ椿姫・演出

全体に凝ったセットはなく、どちらかというと必要なものだけを置いた感じの舞台。

それなのに豪華に見えたり、瀟洒な田舎暮らしにみえていたので、これで十分だなと思いました。

例えば豪華なカーテンがあるけど実は描かれたものだったりするわけで

要するに豪華に見せるのがうまい演出なのかもしれません。

一方衣装の方はかなり豪華で、前半のパーティーと後半では全員衣装も違っていて目にも楽しい。

ただ、今回合唱の人たちはちょっと年齢が高めかなと思いました。

そして、第二幕のバレエのシーンもちゃんとありました。

バレリーナは二人だけでしたが、いるのといないのでは大違いです。

最近何度か予算の都合なのか、バレエがあっても良いシーンでバレエもどきがあったり、ありそうでなかったりという

ちょっと残念な舞台を見たので、一人でも二人でもいいからバレリーナがいればいいのにって思っていたんですよね。

今回は二人だけでしたが、プロのバレリーナがちゃんといたので楽しめました。

もちろん大勢居るには越したことがないですけど、贅沢はいいません(笑)。

 

トリエステ歌劇場・椿姫・歌手について

ヴィオレッタを歌ったのはマリナ・レベカという人。

ラトビア出身なんですね。昔はなかった国ですが、こんな素晴らしい歌手が出てくるとは。

この人は正直いうと見た目とか雰囲気がヴィオレッタにすごく合っているかというと、そうでもないと思うんですよね。

見た目や雰囲気なら他にもっと合っている人はいると思います。

ところがこの人の声がなんたって素晴らしいのです。

人の声ってこんなに共鳴するものなの!?と正直驚きました。

よく通る声とか大きな声っていうのとは違うんですよね、とにかく共鳴しているっていう言葉が浮かんでくるんです。

普通は口のあたりから声が出てるのがわかるんですけど、この人の場合いったいどこから声が出ているんだろうと思うほど、身体全体いや骨全体、そしてホール全体に共鳴して響いてくるなんですよね。

どこから声が出ている?と何度も思いました。

口はあまり大きく開けずに歌うんですけど、小さな声がこんなに響いてくるのはまさにオペラの真髄というかオペラの声ならではじゃないかと思うのです。

ほら!マイクなんかいらないでしょ、これぞ生の声のすごさって思いました。

彼女の声ならおそらく小さな小さな声であっても、どんなに大きなホールにも響くと思います。

本当に素晴らしい声でした。

 

そしてアルフレードを歌ったのはラモン・ヴァルガスというテノール。

この人はずいぶん前に何かで見たと思うんですけど、

いつの間にか59歳になっていてちょっとびっくり。

年齢よりは若く見えたけど、もしや父親のジェルモンと年齢が逆転していたのかなと。

さすがに若々しいという感じではないけど、それでも美声は健在でした。

第二幕ラストの「愛してる‥」のところは感動的でしたね。

 

そして父親ジェルモン役を演じたのはアルベルト・ガザーレというバリトンの人。

この人はバーリ歌劇場の時のトロヴァトーレでルーナ伯爵

ボローニヤ歌劇場のリゴレットでタイトルロールを歌っていたので

今回は3回目。さすがに顔も覚えてきました。

日本にしばしばきて歌ってくれているんですね。

役柄的には合っていると思うけど、今回はこれまでに比べるとちょっと疲れてるのかなあと思ったものの、

いつも真摯な雰囲気は好感度抜群。

プロヴァンスのアリアでは大きな拍手が出ていました。

椿姫って第二幕ジェルモンの旋律はどれもいいですよね。

ただ、この第二幕のジェルモンってやっぱり難しい役だと思うんですよね。

優しいわけでもなく冷たい訳でもなく、オペラだから言葉も少なくて、とんとんと別れ話が進んでしまう感は否めないと思うんですよね。

第三幕で後悔する様子を見ると、はじめてジェルモンの人となりがわかる気がするのですが、少なくとも第二幕ではちょっと微妙だなと、今回改めて感じました。

だから難しい役所なのかなと思います。

椿姫って有名なのは第一幕と第二幕だと思うんですけど、今回はマリナ・レベカが素晴らしかったので

個人的には瀕死の第三幕が一番良かった気がします。

アルフレードがやっと現れたときは「良かった!」と思わず思ってしまいましたし

うるっときた3幕でしたね。

ちなみにマリナ・レベカという人は2020年にミラノ・スカラ座とともに来日するようですが、こちらはおそらくS席6万円程度にはなるんじゃないかな。

今回の椿姫はコンサートドア主催でしたが、こちらの方が一足早く彼女の椿姫をやってくれた事になりました。

一足早く、安く見られて(安くはないけど)ラッキー!。

 

それにしても椿姫はなんども見たけどやっぱり名作でした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です