トロヴァトーレ2018.6.24バーリ歌劇場

上野の、東京文化会館で

イタリア国立バーリ歌劇場の「イル・トロヴァトーレ」を観てきました。

  • 日時:2018年6月24日
  • 場所:東京文化会館
  • イタリア国立バーリ歌劇場

 

会場

 

主役の一人、レオノーラ役はバルバラ・フリットリの予定でしたが、

気管支炎のため、来日できず、急遽

スヴェトラ・ヴァシレヴァというブルガリア出身のソプラノ歌手に変更になりました。

フリットリを聞いてみたかった私としては、ちょっと残念でしたが、

体調が悪いのは仕方がないし、こういうことは、割とあるものです。

結果として、スヴェトラ・ヴァシレヴァも良かったです。

 

会場の上野駅周辺は相変わらず、すごい人混み。

人混みが苦手な私にとって、会場の東京文化会館が、公園口改札のすぐ前にあることは、本当にありがたい限りです。

 

今回のトロヴァトーレの公演は、会場の4階まで、ほぼ満席状態

オペラの演目によって、来ている人の層というのは異なるものですが、

今日のトロヴァトーレは、圧倒的に女性が多かったですね。

それもかなり高齢の女性が中心でした。

1対2程度の割合で、会場には女性の方が多かったかと。

トロヴァトーレは女性に人気がある演目のようですね。

 

バーリ国立歌劇場

 

今回はバーリ国立歌劇場の引っ越し公演

オペラの上演形式((引っ越し公演〜演奏会形式まで)

引っ越し公演は、歌劇場ごと日本にやってくるので、値段も高くなりがちなのですが、

今回は、S席29000円〜D席9000円と、

引っ越し公演の中では、比較的手が届きやすい金額。

バーリ歌劇場の知名度がそれほど高くないから、なのでしょうか。

 

合唱メンバーも、全員イタリアから来ていて、男女共とも人数もかなり多く

バレエは、数名の男性でしたが、それでもちゃんといました。

 

今回のオペラは一言で言うと、イタリアのイタリア人による、イタリアらしいオペラ、という印象でした。

 

 

演出と舞台

 

演出と舞台は、比較的シンプル

背景や、情景の雰囲気は、いくつかの幕を使うことで、出していました。

随所に効果的に幕が使われている印象で、

前の方と後ろの方の両方で使われ、透けて見える幕も数回使っていましたね。

 

その分、置いてある舞台のセットは、多くなく、ジプシーたちが住む山に岩が置かれているくらいのシンプルなもの。

セットにお金をかけていたら、この料金では見られないのかもしれない‥と思う一方で

全く違和感がなかったので、こんな感じの、オペラ公演が、イタリアでは多いのだろう、と感じました。

 

 

トロヴァトーレは、4幕ですが、今回の休憩は、一回のみでしたが、

2幕の終了時に、いったん降りた幕が、すぐに一瞬だけ、また上げられたんですよね。

その際、舞台の人たちは、同じポーズで止まっていました。

その一瞬は、まさに中世の絵画の様。

前にもそんな演出を見たことがありますが、気の利いた演出で、私は好きです。

 

 

音楽

 

今回のバーリ国立歌劇場公演は、指揮者をはじめ、主要な歌手もほとんどがイタリアの出身者。

指揮のジャンパオロ・ビサンティは、まだかなり若そうな指揮者。

流麗な指揮で、緩急、強弱が自由自在。

 

そして、歌手の歌が、美しく聞こえるような、音楽作りに慣れているという印象でした。

 

イタリアという国の、オペラの歴史の長さを感じるバーリ歌劇場の公演でした。

オペラの歴史

トロヴァトーレは、ナンバーオペラと呼ばれる、どちらかというと古い形式のオペラで、アリアの区別ははっきりとわかるのですが、

アリア、重唱、合唱以外の部分の音楽も、とても豊かで美しいです。

古い時代のレチタティーヴォとは全く異なる、その豊かな音楽は、複数の歌手の掛け合いもあり、

音楽全体をとても魅力的にしている理由の一つだと、改めて思いました。

レチタティーヴォをその歴史

それにしても、トロヴァトーレというオペラは、最初から最後まで、素晴らしい旋律ばかりです。

 

 

歌手

 

レオノーラ(スヴェトラ・ヴァシレヴァ)

指揮者をはじめ、主要キャストがイタリア出身の中、唯一ブルガリア出身のソプラノ。

バルバラ・フリットリの代わりということで、責任重大だったと思うのですが、

おそらくキャリアはフリットリよりあるのでは?と思う落ち着いた歌唱と演技

 

比較的主要キャストが若い中、年齢もおそらく一番上かなと。

一幕目でこそ、若干硬い感じがし、高音の声も、ちょっとところどころ不思議な声がでていましたが、

レオノーラの、見せ場の3幕4幕では、安定した歌唱でした。

芯のある強い声を持っていて、声の強弱の使い方にキャリアを感じました。

 

マンリーコ(フランチェスコ・メーリ)

イタリア出身の、現在38歳という若さのテノール歌手です。

まさにイタリアオペラという感じの、声と歌。

少し影があるところと、艶のある声質は、まさにヴェルディにぴったりのテノール。

今回は4幕が1、2幕と3、4幕で区切られて、休憩一回という、上演でしたが、

休憩後から別人のように、素晴らしい声が出ていました。

経歴を見てもマクベスから始まって、イタリア歌劇を中心に歌っているようです。

 

ルーナ伯爵(アルベルト・ガザーレ)

この人が最初に歌ったアリアには大きな拍手。

やはりこの人も、イタリアオペラという感じの甘い声と歌い方、そして見た目

強い性格というより、どちらかというと柔らかく優しい印象のルーナ伯爵

アルベルト・ガザーレもイタリアオペラ中心に活躍しているようで、

今後も聞いてみたいバリトン歌手です。

マンリーコとイメージが似ていて、兄弟、という感じが出ていました。

アズチェーナ(ミリヤーナ・ニコリッチ)

かなり若いアズチェーナ。

背が高く、恵まれた体躯から出る声は、堂々としたメゾソプラノで、

最初から、素晴らしい声を発揮。

これからますます楽しみなメゾソプラノで

イタリアの歌手の層の厚さを、感じました。

 

フェルランド(アレッサンドロ・スピーナ)

冒頭に長いアリアを歌った、フェルランド役のアレッサンドロ・スピーナも

いきなりのアリアにもかかわらず、朗々とした素晴らしい歌。

このアリアの歌詞を聞かなければ、そもそもの話はわからないのが、このオペラですが、

主役かと思う様な声でした。

 

捕らえられたアズチェーナが、かつて火あぶりの刑にあった女の娘だ、と気が付くのは、このフェルランド。

そして、その伏線として、1幕で、ルーナ伯爵がフェルランドに対し、

「お前は、見ればわかるのか?」

「はい、おそらく」というやりとりがあったことに、

今回は改めて気づきました。

オペラも何回か見ると発見があって、ちょっと映画のようです。

 

 

それにしてもトロヴァトーレはストーリーも飽きさせないし、劇的な内容で、

音楽はさらに素晴らしいので、ヴェルディの中でも、やはりとりわけ楽しめるオペラです。

見終わった後、すぐに最初からもう一度ききたい!

そんな風に思った、イル・トロヴァトーレの上演でした。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です