ジャミレ(ビゼー)&放蕩息子(ドビュッシー)2019年10月鑑賞レビュー

珍しいオペラを見てきました。

ビゼーのジャミレというオペラで一幕ものです。

今回の公演は前半にトビュッシーの放蕩息子後半にジャミレ

珍しい作品ばかりでとても楽しみにしていた演目でした。

今回の公演を一言で言うなら、他の会場で聞いたらどんな感じだったんだろうというちょっと不思議な感じが付きまとってしまいました。

放蕩息子ドビュッシー

ドビュッシーのオペラというとペレアスとメリザンドくらいしかしらないのですが、ドビュッシーって実は歌曲などずいぶんたくさん作っていた人みたいなんですよね。

で、今回は放蕩息子という作品。私が見るのは初めてです。

分類的にはカンタータになるらしいですが、今回のようにステージ形式だと

放蕩息子もジャミレもオペラなのかカンタータなのか、正直似ていると思っちゃいました。

さて、ドビュッシーって綺麗な音楽ですよね。

でもってやっぱり出だしから美しい旋律、流れるような音楽はやっぱりドビュッシーなんだなと。

ホルンもフルートもよく響いて聞こえてきて、とてもきれいなんですけど

歌が始まったらあれ、マイク?と一瞬思ったのはなんでだろう。

私は音響とかそういうのは全くわからない方なんですけど、なんていうか声がハウリングする感じで声があまりちゃんと聞こえてこない気がしちゃいました。

やっぱりオペラ用の劇場じゃないから仕方ないのかもしれませんが、前に来た時はそれほど感じなかったような気もするから私の耳のせい?

これはジャミレを聞いていてもずっと感じたことだったんですけど‥。

とはいえ、なんということもないストーリーだけれども、

合唱もよかったし、最後の素晴らしい‥主の恵み‥というところは

なんとも敬虔な気持ちになりとてもありがたい気がしました。

放蕩息子の出演は3人で母のリアを歌ったのは浜田理恵さんというソプラノの方。

父はヴィタリ・シュマノフというバリトンさん。

そして息子役は宮里直樹さんというテノールの方でした。

全員初めて聞く方たちですが、ヴィタリ・シュマノフさんはロシア生まれで、日本に拠点を置いて活動しているらしく、そういう方もいるんですね。

どうして日本なのかなとちょっと聞いてみたくなりました。

 

ジャミレというオペラ

今回のメインはこちらのジャミレというオペラ。

コンサート形式による上演でした。

見たことがないオペラを見るのはいつもワクワクします。

ビゼーっていうとカルメンのイメージがめちゃくちゃ強いじゃないですか。

だからそれい以外の作品って、しかも一幕もののオペラっていったいどんなの?と興味津々なわけです。

で、結果からいうとジャミレはカルメンより少し前の作品っていうこともあってか、やっぱりカルメンよりかなりパンチが弱い感じはしました。

というかカルメンがすごすぎるのだと思うけど。

ただ、音楽は要所要所とてもよくて、「やっぱりお遊びだったのね」とジャミレが切々と歌うところや

王子のアリアも叙情的聞き惚れる旋律がありました。

ただ、歌、特に重唱についてはなぜが上にも書いたように、声がきれいに聞こえてこなくて

なんでなんだろうって終始不思議に思ってしまいました。

カルメンって最初はセリフ入りのオペラコミックだったのがセリフを無くしてから人気が出たんですよね。

で、今回のジャミレはオペラコミック座のやり方に沿ってセリフ入り

セリフをレチタティーヴォにしたら人気が出たということは、もともとはかなりの量のセリフがあったんだろう、

勝手に思っていたんですよね。

ところが今回のジャミレを聞いてみると、セリフはかなり少ないんですよね。

そうか、これくらいのセリフの量なのね‥。思ったより少ないって。

カルメンもそうだったとしたら、それだけでそんなに変わるんだろうか、とちょっと思ったのも事実。それだけじゃなかったんだろうなあ。

さて、ジャミレもかなり異国情緒がある音楽ではあるんですけど、カルメンに比べると確かにおとなしい感じではありました。

それでも序曲はなかなかに個性的で、何かが起こりそうな雰囲気が満載の序曲。

そういえば、オペラって必ず丁寧な筋書きが書かれていて、それを見てから鑑賞するっていうのが定番になっていますけど、

そもそもかつてはどうだったのかな?。

昔は今より初演が多かったはずだし、毎回筋書きを見てから鑑賞していたものなんだろうか、

なんていうことをふと思ったのも、いったいどんなお話が始まるの?と思うような序曲だったからだと思います。

本当は踊りもあるのかなという箇所がありましたけど、さすがにコンサート形式なのでそれは無し。

でも一幕物って時間が短いから気分的には気軽でいいかも、ただ物足りなさはやっぱりあるかなあ。

ジャミレは主人公の名前なんですけど、カルメン同様メゾが歌うんですよね。

ソプラノが歌ってもいいけどメゾっていう感じ。

実際過去の映像を見るとルチア・ポップがジャミレを歌っているから、ソプラノが歌うこともあったようで、

そこらへんはカルメンと似ています。

ビゼーの主役はメゾが多いんだろうか。そうでもない気がするけど。

もう一度聞きたいなと思うフレーズも何箇所かありましたね。

 

ジャミレ歌手について

 

ジャミレも放蕩息子と同様登場するのは3人、それに合唱です。

主役のジャミレを演じたのは鳥居弥生さんというメゾソプラノの方。

この人はつい先日エウゲニー・オネーギンオリガ役で見たばかり。

オリガの時は不思議なカツラをかぶっていたけど、今日は魅力的な奴隷の役でこちらの方が雰囲気的には合っている気がします。

奴隷役だからか最初は地味目の衣装でしたが、そのあと真っ赤な衣装に着替えての登場。

コンサート形式でも衣装を変えると雰囲気がかわってよいものです。

王子役は樋口達哉さんというテノールの方。

ルサルカにもでていらしたかな。

今回とても熱演でよかったです。

声もルサルカの時より出ていたと思うんですけど

その割にあまり聞こえてこなかったのは、ちょっともったいないというか、やっぱり会場かなあって。

チェコ語もフランス語もこなしちゃうんですね。

結構出番が長くてジャミレより大変な役だと思います。

そしてスプレンディアーノという従者を演じたのが岡昭宏さんというバリトンの方。

まだ若そう。従者のアリアもいい曲がありました。

ジャミレの最後の音楽はとても堂々としていて、思わず大きな拍手をしたくなる終わり方でした。

終わりよければすべてよし!そんな言葉も浮かんだ今回の公演かな。

 

あと今回の公演を見て、一幕ものもまだまだいろいろあるようだし、これからもカヴァレリアとかパリアッチだけじゃなくて、他のをたくさん見てみたい!って思いましたね。

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