今回はオペラ鑑賞の際の字幕についてです。
どんなオペラに字幕があるのか
字幕はどうやって表示されるのか、
字幕を見ながら舞台を見るのは面倒ではないのかのほか
オペラの種類によって字幕の出し方も異なることなど、
字幕と楽しいオペラ鑑賞の方法についてです。
そもそもオペラは何語で歌っているの
オペラにはなぜ字幕が必要なのか、そもそもオペラは何語で歌っているの?と思ったことはないでしょうか。
そもそもオペラはいろんな原語があります。
もっとも多いのはやはりイタリア語でしょう。
最初に作曲したときに何語で作られたかというのが、原語になるんですね。
最初にイタリア語で作って、イタリア語で初演したのであればそれが原語というわけです。
オペラの上演は基本的には原語での上演となりますし、それが理想的な形だと思います。
でも実際には、もとの原語以外の言葉で上演していることもあります。
二種類の版がある場合
原語以外の言葉で上演する場合についても、実は二種類あります。
- 作曲者が生存中に、別の言語でも作った場合
- 作曲者が亡くなってから、上演する国に合わせた言語で上演する場合
前者の生存中に作り直すというのは意外に多いのですが、これについても、
上演する国の言葉に合わせて言語を直すという意味では、理由は後者と似ていますが、
作曲者が了解のもとに、二つ以上の言語がある場合、例えば
- フランス語版
- イタリア語版
のような呼ばれ方をして、後世まで残ることが多いです。
フランス語版と、イタリア語版の二種類があるような場合は、これらのどちらかの版を使うということになります。
上演する国の言語に合わせる場合
作曲者が亡くなったあと、上演する国の言語で上演するというのは、日本の場合なら日本語で全部上演するということです。
数十年前の日本では、まだまだオペラがあまり浸透していなかったため、すべて日本語に変えての上演というのをちょくちょく見かけました。
特にオペレッタには多かったと思います。
オペレッタはセリフが多いので、日本語の方がわかりやすいという理由もあったと思います。
最近では、オペレッタも原語による上演がほとんどになってきていますね。
字幕を出す場所
字幕は日本の場合、通常舞台の左右両側にでます。
日本のすごいところは、どんなに安い席で見ても、ちゃんと字幕が見えることです。
日本では当たり前のようになっていますが、海外のオペラハウスでは、字幕どころか舞台がちゃんと見えない席があります。
もともと、貴族のお付きのものとか、馬車の運転手とか、そういう人が待っている席もあったので、
ちゃんと見える必要がなかったのだと思います。
その点、日本はちゃんと見えますし、見えにくい場合も新国立劇場など座布団まで貸してくれます。
心遣いがすごいですね。
字幕が出る場所は普通のコンサートホールや小さなホールで上演する場合は、会場により異なります。
舞台の上部に出ることもあります。
形もいろいろで、東京文化会館の小ホールでバロックオペラを見たときの字幕は、
テレビを大きくしたような長方形の字幕が舞台の上にセットされていました。
アリアだけ原語という場合
オペラの上演の中には、外国の言葉と日本語の両方を使って上演する場合があります。
二つの言語が混在するわけですが、オペラの場合はそんなやり方があるのです。
おそらく他の分野、たとえばミュージカルや劇などではなかなか無いことではないでしょうか。
2018年7月の魔弾の射手がそうでした。
魔弾の射手は、ジングシュピールという形式のオペラで、レチタティーヴォのかわりに
セリフがあります。
このときは、セリフ部分は日本語でアリアはドイツ語という、上演のやり方でした。
このような場合の字幕は、アリアの部分だけになります。
セリフが多いオペラの場合、確かに字幕と舞台を交互に見るのはちょっと疲れますし、
あまりオペラに馴染みがない人にも見やすいように、という配慮なのかなと感じました。
もっと昔は、日本語上演が今より多かったのですが、
その頃は、アリアの中でもここぞという超有名なアリアだけは原語で歌う、というような不思議な上演のやり方もありました。
そのときの字幕はどうしていたのかはわかりませんが、少しだけですしおそらく出さなかったのではないかと思います。
そもそもアリアはあまり複雑な歌詞にはなっておらず、どちらかというと感情を表す部分です。
個人的には、アリアのときは、字幕があったとしてもあまり見なくても良いんじゃないかと思っているんですよね。
最近の字幕の傾向
オペラって日本語で歌っても何を言っているかわからないから、字幕が必要じゃないかと思う人もいるかもしれません。
確かに何を言っているかわからない場合もありますよね。
現代の新作オペラなどは字幕を出す場合もありますが、
日本語上演は有名なオペレッタやヘンゼルとグレーテルのようにわかりやすいオペラが多いので、日本語の字幕は出さないことが多いと思います。
また外国語の上演の場合も、外国語を字幕で出すのかなと思っている人も中にはいるようです。
これも何を言っているかわからないから、ということのようです。
ただ、イタリア語のオペラでイタリア語の字幕を楷書で出してくれても、ほとんどの人がわからないのでそれは基本的には無いでしょう。
もし海外でオペラ鑑賞をする機会があるとしたら、残念ながら日本語の字幕はほとんどありませんが、
オペラはそれほど複雑なストーリーはあまりないので、あらすじをさらっと勉強していけば大丈夫。
その辺は、ありがたいところです。
最近ではウィーン国立歌劇場などは字幕が各席に設けられ(飛行機のモニターのような感じです)言語が選べるようになっており、こちらでは日本語もちゃんと選べるようになっていますね。すごいです。
かつて、試しに、ドイツ語のお芝居を見に行ってみたことがありました。
ちょっとくらいわかるかなと思ったのですが、全くもってわかりませんでした。(当たり前ですね笑)
字幕はあったほうがありがたいですが、イタリア語やドイツ語がわからなくても、一応鑑賞はできるので、オペラっていうものはすごいなと思います。
というか音楽の力なんでしょうね。
さて、最近日本のオペラの字幕も少し変わってきています。
英語の字幕が出ることがあるようになりました。
ラヴェルの子供と魔法というオペラを見たときだっと思いますが、そのときは、日本語の字幕と英語の二種類の字幕が出ていました。
確かに会場には、外国の方もちょいちょい見かけましたから、そういう方たちのためでしょう。
海外の有名なオペラハウスに行くと、海外からの観客が多いので、
母国語の他、英語の字幕を出していることがあります。
例えば、スウェーデンでイタリア語のオペラを上演する場合、
スウェーデン語と英語の字幕を出す、というような感じです。
日本も海外の人が増えてきたのでその傾向になったのでしょう。
日本語の上演のときは、英語の字幕を出すときもあります。
それも今まではなかったことです。
日本にそれだけ海外の人が増えてきたということですね。
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