オペラに行ってみたいけど、オペラってすごく高いチケットと、それほど高くないチケットがあるみたい。
一体何がちがうのかな
そんなことを感じたことが無いでしょうか。
オペラって上演形式がいろいろあるんですね。
上演形式によってチケットも高かったり、そうでもなかったりします。
海外から丸ごと持ってくる引っ越し公演だと高いけど
舞台もセットも無い、普通のコンサートのようなオペラだってあり、そのようなオペラのチケットは比較的安いことが多いです。。
オペラの上演形式
2018年の秋にローマ歌劇場の引っ越し公演がありました。
ローマ歌劇場、またの名をコスタンツィ劇場といいますが、
ここはマスカーニ作曲のカヴァレリア・ルスティカーナの初演の劇場でもある由緒ある劇場です。
一番良いS席は54000円という大変高額なチケットです。
高いですよねー。
席種はS-A-B-C-D-E-Fまでの7種類もあるのですが
最も安いF席でも12000円ですから決して安くはないですね。
なぜこのオペラのチケットがこんなに高いのかというと上演形式が引っ越し公演だからなのです。
オペラがすべてこのように高いわけではありません。
オペラの値段は上演形式によってその値段は変わってくるんですね。
上演形式を分けるとだいたい次のようになります。
- 引っ越し公演
- 主要キャストのみ海外の歌手を呼び、以外は日本人
- すべて日本人による公演
- コンサート形式
1.引っ越し公演
引っ越し公演という上演形式は劇場ごとまるまる引っ越してきて行う公演です。
劇場付きのオーケストラをはじめ、外国人歌手、劇場の合唱団、劇場のバレエ団、それに舞台セットをすべて運んできます。
公演によっては200人から300人もの人と道具、セットを移動してくるので、莫大な費用がかかるんですね。
そのため頻繁にできるものではありません。
そして、この上演形式はチケット料金がどうしても高くなります。
スカラ座のような著名な劇場ほど引っ越し公演も高額になるんですよね。
日本で引っ越し公演を喚んでいる主な団体はNBS日本舞台芸術振興会というところです。
引っ越し公演は費用がかかるのでたくさんのお客さんに来てもらいたいんですね。
そのため、人数がたくさん入る劇場で行うことが多いです。
上野の東京文化会館かNHKホールが多いですね。
最近はNHKホールではほとんど上演しなくなりましたが。
新国立劇場は若干少なめ(約1800人)なので、NBSは使っていないようです。
新国立劇場ができる際、ホールの人数を多くするか少なくするかではいろいろ議論があったようですが、
結局新国立劇場は少なめの人数になったんですよね。
2.主要キャストのみ海外の歌手を呼び、以外は日本人
これは新国立劇場がシーズン(シーズンは秋から翌年の春にかけての上演です)
を通して得意としている上演形式と言っていいでしょう。
主要なキャストだけは海外の著名な歌手を据えて、それ以外の人や舞台は日本人でやります。
つまり、出番が少な目のキャストと合唱は日本人。
オーケストラ、バレエなどもすべて日本人でやるわけです。
ところで、オペラは通常原語で上演するので、海外の人が数人入っても入らなくても
国籍は問わないんです。
そこがオペラの良いところでもありますね。
このやり方は日本人だけだとちょっと華が無いので、海外で活躍している歌手を呼んで
話題性を出しているのだと思います。
全てを海外から持ってくる引っ越し公演より安くできますしね。
とはいいつつ、最近の新国立劇場をのプログラムを見ていると、
海外からなかなかすごい歌手を連れてきていること、また舞台もかなり凝っているので、
S席は2〜3万円していますね。
安い席は数千円です。
3.すべて日本人による公演
全て日本でまかなう上演形式です。
日本のオペラ歌手のレベルはこの数十年でものすごく高くなったと思います。
それと同時に日本人のみで様々なオペラの上演が可能になってきました。
華奢な日本人では難しいと言われていたワーグナーですら、最近は日本人のみで上演しています。
全て日本人で行うオペラは比較的値段も安いですね。
S席でも1万円代でだいたい購入することができます。
下は数千円です。
4.演奏会形式(コンサート形式)
この上演形式でオペラを行うことは、それほど多くありませんが、
オペラを演奏会形式で行うやりかたです。
通常のコンサートのようにオーケストラは舞台の上に上がっており、
歌手たちがオーケストラの前で突っ立って歌うのです。
演技はしませんし、舞台セットもありません。
歌手たちは自分の出番になると出てきたり、終わると静かに舞台袖に下がったり、入れ替わって歌います。
オペラの醍醐味は演技あり、歌あり、管弦楽ありのところだとは思いますが、
好きなオペラならこれでも十分楽しめます。
演奏会形式のオペラ公演の数は少なめですが、
値段を押さえることができるので、お財布にはありがたいですね。
とはいいつつ、演奏会形式はある程度熟練の歌手、または知名度のある歌手でないと難しいと思うんですよね。
舞台が無いので情景も浮かびにくく、また演技でカバーできませんから、
歌で全てを表現しないといけないんですよね。
歌の良し悪しが出やすいので、歌手にとってはハードルが高いと思います。
昨年ワーグナーのトリスタンとイゾルデの演奏会形式がありました。
おそらく、舞台を揃えて費用をかけてやるのは、採算が取れるかどうかリスクがあったのだと勝手に想像しています。
トリスタンとイゾルデは、ワーグナー好きにとっては、たまらない曲ですが、
どちらかというとマニアックなオペラですから、なかなか人は集まらないと思いますから。
結果として、トリスタンとイゾルデはほぼ満員でしたから、良かったのでしょうね。
コンサート形式の場合は舞台が無いので、通常チケットも比較的安価になりますね。数千円から高くても1万円代でしょう。
また、オーケストラピットも必要なく、通常のホールで上演出来るので、本来は上演しやすいといえると思います。
上演形式によるチケットの値段の違い
上演形式がいろいろあるように、オペラのチケットの値段もいろいろあります。
200人とか300人、それに舞台セットを引き連れてやってくる、上演形式の場合は最も費用がかかりますから、
チケットの値段は最も高額になります。
最初に書いたように2018年の秋にローマ歌劇場の引っ越し公演はS席が54000円という高額なのですが
引っ越し公演の中でも、どこの歌劇場が来るかによっても値段が異なります。
ミラノのスカラ座や、ウィーン国立歌劇場など世界でも有名な歌劇場になるほど、
金額が上がります。
引っ越し公演といっても(言葉は悪いですが)少し歌劇場のランクが落ちると値段も安くはなるわけですね。
ただ、あまり名前が知られていない歌劇場だと魅力も減るのでお客さんも入りませんから、
その辺が主催者の悩みどころなんじゃないでしょうか。
主要キャストに海外の歌手を起用する上演形式は、藤原歌劇団も二期会もやっていますが、
チケットの値段は引っ越し公演ほど高くなく、また日本人の歌手、合唱もレベルが高いので、
満足度も高く、手が出やすいオペラではないかと思います。
日本人のみで開催する上演形式は、劇場も大小いろんなところを使っていますし、
有名な人から、駆け出しの人の公演まで幅が広いので、逆に選ぶのが難しいかもしれませんが
最も手軽なチケットの値段かなと思いますね。
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