世界でもっとも有名なオペラは
ビゼー作曲のカルメンではないでしょうか。
ストーリーがおもしろくて、躍動的な旋律、知っている旋律が一番多く登場するので楽しいオペラです。
結末はホセがカルメンを刺すという暗いストーリーのですが、なぜか元気をもらえるオペラだと思います。
今回はそんなオペラ・カルメンの魅力について書いてみたいと思います。
セビリアの闘牛場
カルメンの簡単あらすじ・成立・上演時間
簡単あらすじ
まじめでうぶなドン・ホセは、カルメンに色目を使われて夢中になります。
囚われたカルメンを逃してしまったため、ホセはカルメンの仲間となり徐々に身を持ち崩していきます。
悪い仲間に入っちゃうんですね。
ところが、カルメンはホセにすぐに飽きて捨ててしまいます。
ホセは「なんで僕の方を向かないんだ!」とストーカーのようになり、カルメンを刺し殺してしまう
という現代ならストーカー事件そのもののようなオペラ。そんな簡単あらすじです。
時代の設定は異なっても実際にありそうなストーリーであることも魅力の一つではないでしょうか。
ホセは純情まじめで一途な兵隊、
一方カルメンはあばずれだけど魅力がある女
そんなキャラクターです。
唯一ホセを心配する純情なミカエラという女性の存在が救いですが、ホセは彼女の心配も一蹴してしまうほどカルメンに惹かれてしまっています。
性格が悪いけどなぜかモテる女性って今もちょいちょいまわりにいるような‥。
カルメンはそんな女性です。
カルメンの成立
作品の成立はビゼーが亡くなる年36歳の時です。
ビゼーはすごく若くして亡くなっているんですね。
- 初演:1875年
- 原語:フランス語
- 初演場所:パリのオペラ・コミック座
現在とは違って初演の評価はいまいちでした。
その理由の一つは初演場所のオペラ・コミック座が当時はお見合いの場にも使われるような明るい催しが中心の場所であったこと。
明るいコミカルな演劇がもっとうの劇場なのに話が暗すぎるというわけでした。
確かに刺し殺してしまうので暗い話です‥。
でも、実際には初演から3ヶ月で30回以上の公演をしていますから、
平均すると三日に一回はやっていたわけです。
話が暗くてもなんでも、このオペラの魅力に、
当時の人がカルメンの魅力がわからないわけはないと言う気がします。
ビゼー自身は、初演からたった3ヶ月で亡くなっているので、
現在のカルメンの世界的な人気度を知る由もなく、
そんなところは、画家のゴッホを思い浮かべてしまいますが‥。
それにしてもオペラ・コミックがお見合いの場でもあったとは。
今ならお見合いで一緒に映画を見にいく
というような感覚だったのか‥。
同じオペラをみて、感想を語り合って意気投合?
確かにそんなお見合いもありかもしれないです。
カルメンの上演時間
カルメンは聴きやすくて魅力的なので、私はあまり上演時間の長さが気になりませんが、
実は上演時間はそんなに短くはないんですよね。4幕ありますし。
- 1幕・・55分
- 2幕・・45分
- 3幕・・40分
- 4幕・・20分
合計で2時間40分。休憩が一応3回入るので、合計で4時間弱になります。
ただし3幕と4幕を合わせて3幕の1場、2場として、休憩を2回にする、あるいは1幕と2幕を続けてしまう場合もあります。
これについては、主催者側の都合や見る方も長すぎると大変といういろんな事情があると思いますが、
3幕と4幕は場面設定が全く違うこと
ホセが一旦郷里に戻るので、その間時の流れもあるので
3幕と4幕は幕も降りずにすぐに続いてしまうと、
私などはあれ?もう実家から戻ってきたの?という若干の違和感を感じてしまう‥。
まあ、終わったら早く帰りたいというのも確かにあるのですが‥。
オペラカルメンの解説と魅力
カルメンの解説
ビゼーのカルメンは前奏曲から魅力たっぷり。
ジャンジャカジャカジャカ・・で始まる有名な序曲です。これは闘牛士エスカミーりょが出てくる時の音楽でもあります。勇ましい音楽のインパクトがとても強くて、序曲としてはもっとも有名かも。
オペラに興味が無くてもほとんどの人がこの部分は知っているのではないでしょうか。
でも実は、ビゼーははかなくて美しい旋律も得意としているんですね。
かなり前ですがNHKのみんなのうたで「小さな木の実」という歌があったのを覚えている方もいると思います。
小さな 手のひらに一つ
古ぼけた木の実 握りしめ・・
という歌詞です。
これはビゼーのオペラ「美しきパースの娘」の中の曲に歌詞をつけたものです。
カルメンより先に、この小さな木の実でビゼーの曲には接していた
という人も実はいるんじゃないかと思います。
ビゼーは36歳で亡くなってしまいますが、
カルメン前奏曲のような勇ましい曲から、小さな木の実のような静かで美しい曲、またハバネラのような民族音楽っぽい曲など
本当に多彩な魅力あふれる音楽を創り出す作曲家だなあと思います。
もっと生きていたら、素晴らしいオペラがもっとたくさん残っていただろうにと。
さて、オペラ・カルメンはもともとセリフあり、アリアありのオペラ・コミック形式で書かれていましたが、
亡くなってから、セリフの部分を→レチタティーヴォに変えて上演してから
ものすごく人気が出ました。
現在ではレチタティーヴォ版のほか、さらに改訂した版などが上演されていますが、
たまに最初のセリフによるオペラ・コミック版も上演されています。
カルメンの上演の際はセリフがあるのかないのか、多いのか少ないのかなどそこら辺にもちょっと注目するとおもしろいかもです。
カルメンの魅力
カルメンの魅力は何と言っても躍動的な音楽、旋律
そしてストーリー展開の速さは台本の良さもあるんじゃないかと思います。
音楽については誰もが知っている旋律が、これほど多く含まれているオペラは他にないと思います。
実は合唱も男性合唱、女性合唱、混声合唱、それに子供達の合唱まであって、合唱も好きな私にはそれも魅力です。
台本にはフランスの劇作家メイヤックという人がかかわっていますが、
この人はカルメンをはじめオッフェンバックのオペレッタ、さらにレハールのメリーウィドウなどを書いた人で
オペレッタの台本でよく登場する人なのです。さすがです。
カルメンははじめて見るオペラとしてとてもおすすめではないかと思います。
以下は各幕ごとの魅力と聴きどころです。
前奏曲・・出だしからインパクトが強い曲。
魅力的な前奏曲は劇中に流れる各所の旋律が凝縮されていて、物語の流れを連想させてくれます。
アリアとしては
1幕・・カルメンが登場してまず歌う「ハバネラ・恋は野の鳥」これはハバネラとしてよくメゾのリサイタルで歌われます。
カルメンがホセに色目使う時に歌う「セキディーリア・セビリアの砦の近くに」。これもゆらゆらした色っぽい音楽。
そのほか、1幕で子供達が歌う合唱もとても可愛らしく耳に残る曲です。
2幕・・ジプシー達が歌う「響きも鋭く」。これは異国情緒たっぷりの曲。
闘牛士エスカミーリョが歌う「闘牛士の歌・諸君の乾杯を喜んで受けよう」
これはこのオペラの花形アリアかも。もっとも魅力があるアリアかもしれません。エスカミーリョは誰がやってもかっこよく見えるきがする。
ホセがカルメンに切々と歌う「花の歌」ホセの歌ではこれがとても有名。(意外と地味だけど)
3幕・・カルメンと密輸仲間がカルタをしながら歌う「カルタの歌」。ジプシーの曲は血がさわぐ気がします。(私だけかな)
純真なミカエラが祈り歌う「何も恐れるものはない」これは聞けば聞くほど美しい曲。
4幕・・冒頭の間奏曲「アラゴネーズ」はスペイン情緒たっぷりの華麗な曲で、オーボエの旋律が印象的。
4幕は短く、ホセがカルメンに詰め寄って殺してしまうシーンで、ストーリーが魅力です。
タイトルロールのカルメンは通常メゾソプラノが歌いますが、ソプラノが担当する時もあります。
できれば色気と美貌と悪女の雰囲気があるオーラのある歌手がいいですねー。
カルメンに激しい踊りは無いものの、踊りながら歌うシーンはあるので、
欲を言えば多少踊りもできるといいかなと、これは私の個人的な意見ですが。
ホセはちょっと影のある情熱的な声がいいかと。明るくスパーンと抜ける声よりも、
暗めで少し粘着質な声が良い気がします(これも私の勝手な意見)。
エスカミーりょは見た目も声もひたすらかっこよく。背も高く太い声がいいですね。
闘牛士の歌はかっこいいですから。
というか、カルメンで一番かっこいいのはやはりエスカミーリョだと思います。
ホセがカルメンを殺してしまうことも知らないまま、いいとこ取りの役という感じ。
ミカエラは純情な見た目と、ふくよかな声のソプラノ。
そんなイメージかなと。
やっぱりカルメンは何度見ても飽きないオペラです。
闘牛場の入り口とスペインのフラメンコ
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