ビゼー・カルメン(小澤征爾音楽塾オペラ)鑑賞レビュー

小澤征爾さん率いる音楽塾のオペラプロジェクト

ビゼーのカルメンを見てきました。

場所は上野の東京文化会館です。

入り口に張り紙があり、小澤征爾さんは体調が悪いので指揮はできないとのこと。

それでも最後にステージに出てきてくれて会場は興奮状態でした。

これほど大勢のスタンディングオベーションを見たのは久々でした。

カルメン・セリフありの上演

今回のカルメンはセリフありの上演。アルコア版と書いてありました。

アルコア版とオリジナルが全く同じなのかまでは知らないのですが、

とにかく今回は上演はセリフありでしたね。

私が生で見たオペラで一番多いのはおそらくカルメンか椿姫だと思うのですが、

実は少し前までは、カルメンがセリフありかレチタティーヴォかなんて観ていても全くわからなかったし、気にもしなかったというのが本音です。

セリフがあるなしが気になるようになったのは最近のことです。

おそらく,

上演する側としては、この違いは大きいのかもしれませんが、見てる方ってやっぱり歌の部分が主になるので意外にそんなもんじゃないかなと思います。

 

オペラってイタリア語やドイツ語、チェコ語やロシア語など、いろんな言語で歌わなきゃいけないから歌手の人はすごく大変だと思うのですが、

セリフまで流暢に喋らなきゃいけないとなるとますます難しいのではないかと思うのですが、どうなんでしょうね。

カルメン演出

かなり豪華な舞台セットだと思いました。

実は私はプログラムは購入していないのですが、(2000円もしたので高くて‥笑)

シカゴリリックオペラから持ってきた舞台のようです。

かなりの高さがある大きなセットはアイーダあたりにも使えそうな重厚さ

で、工場になったり、闘牛場になったりと雰囲気たっぷりの舞台でした。

一幕二幕は絶妙に埃っぽい感じが出てタバコ工場や場末の居酒屋のイメージにぴったりだったし、四幕では一変して華やかな照明。

四幕ではと華やかなキラキラ衣装、特にエスカミーリョ達闘牛士の服装は豪華で目に楽しめました。

第一幕のタバコ工場の休憩を伝える鐘、あの鐘の音がなんとも良かったです。

プロのダンサーっぽい人達も出てきていたけどバレエではなくフラメンコか何かの人だったのかなと。

今回のカルメンのラストはホセもバンッと銃で殺されるという演出でしたね。

カルメンがカード占いをした時に自分が死んでホセも死ぬって言ってたので、そうだっけ?と。

あのシーンは何度引いても死のカードがでるだけだと思っていたのですが、最後にホセも死んだので占い通りっていうことなのねと。

あれは台本はどうなってるのかなとちょっと思いました。

 

音楽

 

オーケストラの人たちも(合唱の人たちもですが)全員とても若いです。

音楽について個人的に感じたのは、若いけど(いや若いから?)すごく上手、そしてとても丁寧、まとまっている、そんな印象を受けました。

また緩急と強弱がすごく精巧に考えられているなという感じも。

個人的には若干荒っぽいくらいの序曲も好きですが、今回は丁寧な序曲という感じ。

強いて言えば一幕だけはフレーズが終わるごとに途切れる感があり、なんとなくゆっくりしたカルメンという感じでした。特にカルメンの登場のあたりにそれを感じました。

それでも一幕には子供達が登場して、彼らがとても元気が良かったのでメリハリになっていたのかなと。

子供の声ってかわいい!

二幕後半以降では全くそういう途切れる感はなくて、ただただのめり込んで観てました。

フルートもチェロも皆美しかったー!。

フルートは一幕からすごく鮮やかな音が聞こえていたけど間奏曲はやっぱり良かったです。

歌手について

今回は主要なキャストだけでなく、海外の歌手が合計8名も出ていました。

チケットも高めでしたが、豪華なセットといい歌手といいこれは仕方ないねという感じ。

カルメン(サンドラ・ピクス・エディ)

タイトルロールのカルメン役はサンドラ・ピクス・エディ。

太ってないし痩せてもなくて、美しいのでホセが虜になるのもわかる見た目。

一幕からすごく安定した声で、とにかく安心して聞けました。

難を言うなら、きれいな人すぎて第四幕で華やかな服装をしていると、はすっぱな女性というより王妃にしか見えなかった。

ドン・ホセ(チャド・シェルトン)

個人的には今回のカルメンで最も好きだったのがこの人の声

まさにホセにぴったりの声じゃないかと思うし、

弱音と感情表現がすごくうまくて演技もすばらしい。

ただ、見た目がちょっとおじさんで(年齢の割には若いのですが)若いホセには見えなかったですが、つやつやした声は本当によかったです。

ミカエラ(ケイトリン・リンチ)

ミカエラは衣装も髪型も見た目もまさにミカエラ。

かなり背が高い人でしたけど清楚な雰囲気が伝わってくる人でした。

舞台の立ち姿って微妙にみな違うのでこれは生まれ持ったものなのか、後からできるのかどっちなのかなと思います。

この人は悪い役はできないでしょうね。

高音のビブラートが響く声でした。本当はもっと大きな声が出そうな人です。

カルメンにはハバネラや闘牛士の歌など有名なアリアが満載なのですが、個人的に最近はまっているのはこのミカエラのアリア

ミカエラが歌う第一幕と三幕のフレーズは大好きで、今回もしみじみと聞き惚れていました。

エスカミーリョ(エドワード・パークス)

背も高くまさにエスカミーリョにぴったり。

出演者は名前からいってほぼアメリカの人なのかな。

この人もシカゴ・リリックのほかメトでも活躍しているみたいですね。

バリトンって良い役も悪い役も多いけど、どちらもできそうな感じの人。

 

カルメンは合唱も多く、男性合唱、女性合唱、子供の合唱とありこれも楽しみの一つです。

何度見てもワクワクするオペラです。

最後に小澤征爾さんが出てきた時は会場全体がウワーッ!と感動の渦となり、一気に大勢の人が立ち上がりました。

あんな光景は珍しかったですね。

次回のプロジェクトも楽しみです。

 

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