エフゲニー・オネーギンとチャイコフスキー言葉が重要なオペラ

エフゲニー・オネーギンは、チャイコフスキー作曲のオペラ。

チャイコフスキーといえば、バレエ「白鳥の湖」や、交響曲第6番「悲愴」を作曲した人でもあります。

ロマンティックで繊細、かつ濃密な音楽は、チャイコフスキーの特徴ですが、

エフゲニー・オネーギンは、オペラとしてはちょっと独特かもしれません。

 

成立と初演

 

  • 作曲:ピョートル・チャイコフスキー
  • 初演:1879年
  • 場所:モスクワ・マールイ劇場

 

プーシキンの韻文小説

 

エフゲニーオネーギンの原作は、プーシキンの同名小説です。

プーシキンのこの小説は、韻文小説といわれ、韻文小説とは詩のような小説をいいます。

 

ロシアでは19世紀から、ドストエフスキー、トルストイをはじめとする、ロシア文学の黄金時代が到来しますが、

その流れを作り始めた一人が、1799年生まれのプーシキン、と言われているんですね。

ロシア文学は、詩が元になって発展してきた文学、と言われています。

 

さて、エフゲニー・オネーギンというオペラは、チャイコフスキーが作曲したオペラの中でもっとも有名です。

 

そのため、さぞかしおもしろいオペラなのだろう、と思っていたのですが

実際に初めて見た時は、ちょっとあれ?と思ったのを覚えています。

 

同じくロシアのボリス・ゴドゥノフや、イーゴリ公とは全く異なる、オペラだったからです。

エフゲニー・オネーギンは、どちらかというと、淡々と、静かに進んでいきます。

特に楽しみにしていた手紙のシーンも、美しいけど、静かなシーンでした。

 

その後、エフゲニー・オネーギンというオペラは、ロシア文学、プーシキンの原作をとても大事にしているオペラなのだと知ったんですね。

 

1840年生まれのチャイコフスキーにとって、また当時のロシアにとって、少し前に生まれたプーシキンは国民的詩人だったのです。

エフゲニー・オネーギンというオペラは、そんな原作の重要性を、知った上で見るのが良いと思います。

ロシア国民のために、また、ロシア文学のために、生まれたようなオペラではないでしょうか。

 

初演とモスクワ音楽院

 

エフゲニー・オネーギンの初演はモスクワのマールイ劇場です。

マールイ劇場と呼ばれる、劇場はロシアに多くあり、小劇場を指していう言葉です。

 

エフゲニー・オネーギンの初演は、モスクワ音楽院に付随する小劇場でした。

 

モスクワ音楽院は、現在では、世界的にも有名な音楽院の一つですが、

チャイコフスキーは、モスクワ音楽院の前身の音楽学校で、作曲を教えていたんですね。

そして初演の公演が、ほぼ学生たちにより、行われたというのも、珍しいことです。

 

まさか現在まで、チャイコフスキーの著名なオペラとして、残ることになるとは、

初演の学生メンバーたちも思っていなかったでしょう。

 

プロのよる初演は1881年でした。

 

ただ、残念ながら、いずれの初演も評価としては、あまり芳しくはなかったようです。

ボリス・ゴドゥノフや、イーゴリ公のように、偉人や、皇帝が出てくるわけではなく

決闘のシーンがあるとはいえ、全体には、地味で、退屈だったからと言われます。

実は、最初ほとんど前知識が無く見た時には、私も同様に思ったのものです。

ロシアのオペラ

 

このオペラが日本で紹介されたのは、1926年のことなのですが、

どちらかというと地味なオペラにしては、意外に早く日本にもたらされている、というのが、正直な感想です。

エフゲニー・オネーギンは、ロシア語が理解できて、プーシキンの原作を読める人、と読めない人では、

楽しみ方に雲泥の差があるのではないかな、と思ってしまうからです。

 

チャイコフスキーという人

 

チャイコフスキーというと、いまでは世界中で知らない人はいないほど、有名な作曲家ですが、

20歳ころまでは、まったく別の道を、歩んでいた珍しいパターンの人です。

チャイコフスキーは、法律の学校を出て、今でいう、官僚の仕事についていました。

 

音楽家としては遅い出発なんですね。

それにもかかわらず、現在の著名度なので、わからないものだ、と思います。

しかもチャイコフスキーは、様々な分野で名作を残しているんですね。

 

オペラをはじめ、バレエ音楽、交響曲、協奏曲、劇付き音楽、管弦楽、室内楽、ピアノ曲、などなど。

チャイコフスキーは、53歳で亡くなるまで、実に多くの作品を残している作曲家です。

 

また、チャイコフスキーと言えば、バレリーナの地位の向上に貢献した作曲家と言われています。

当時、多くのバレリーナは、貧しい生まれで、ほんの一部の主役級の人を除き、

パトロンなしでは生計を立てられない人がほとんどでした。

中には、残念なことに娼婦のように扱われていた人たちもいたのです。

チャイコフスキーが、

  • くるみ割り人形
  • 眠れる森の美女
  • 白鳥の湖

など、素晴らしいバレエ作品を、作り出したことで、

バレリーナたちの地位に、とても大きな変化をもたらしたと言われているんですね。

今やバレリーナは、小さな子供たちのあこがれの的となっていますよね。

 

 

上演時間とあらすじ

 

上演時間

  • 第一幕:80分
  • 第二幕:40分
  • 第三幕:35分

 

合計で2時間35分。

2回の休憩を入れると、3時間半というところでしょう。

 

簡単あらすじ

 

タチヤーナとオリガは姉妹。

妹オリガの婚約者レンスキーが、オネーギンとともに、現れると

物静かなタチヤーナは、オネーギンに一目ぼれしてしまいます。

そしてオネーギンに手紙を書くのですが(有名な手紙のシーン)、

オネーギンに、丁重に、ちょっと冷たく、断られてしまいます。

その後、トラブルから、オネーギンとレンスキーは、決闘

レンスキーが死んでしまいます。

それから、時が流れて、オネーギンがある侯爵の家で妻を紹介されると、それはかつて自分が振ったタチヤーナ。

一段と美しくなったタチヤーナをみて、今度はオネーギンが言い寄りますが、タチヤーナは振り向くことがなかった。

というあらすじ。

 

決闘とプーシキン

 

エフゲニー・オネーギンには決闘のシーンがでてくるのですが、

プーシキンと被るところがあります。

プーシキンは38歳という若さで亡くなっていますが、

亡くなる原因は、決闘によるものです。

 

今では、信じられないようなことなのですが、当時は普通に決闘が行われていた時代で、

プーシキンは、その前にも何度も決闘をしても、命拾いしているんですね。

そして結果的に、決闘で亡くなるところが、なんとも信じられないというか…。

 

しかもその理由が、エフゲニー・オネーギンのレンスキーと似ていて、自分の妻に言い寄る男がいたために決闘になっています。

 

もっとも、当時、決闘になる理由は、このような男女関係が最も多かったようですが。

命を懸けてまで、決闘をする、当時の心境はいったいどんなものだったのかと、考えてしまいます。

 

見どころ

 

手紙のシーン

 

エフゲニー・オネーギンの見どころは、1幕2場の

手紙のシーンです。

このオペラを最初に見た時、手紙のシーンが有名だということは、聞いていたので、楽しみにしていたのを覚えています。

 

有名なアリアだと思っていたんですね。

実際にこの手紙のシーンは、単独でもソプラノ歌手が歌うことが多いアリア、ではありますが、

通常のアリアのように、一度聞いたら、忘れない、インパクトがある、というようなアリアではありません。

 

時間も長めで、タチヤーナの揺れ動く恋心が、切々と歌われていきます。

この手紙のシーンは、原作のプーシキンの言葉が、ほぼそのままオペラに使われているところなのです。

それが、この手紙のシーンの名場面たる理由の一つなんですね。

ロシア語がわからないので、字幕で感じるしかないのですが、

やはり韻文小説がもとですから

原作の言葉、詩の良さを、日本人である私が、感じるのは難しいのかなと、残念なのも事実。

とはいえ、チャイコフスキーですから、ロマンティックで美しいのは間違いなく、

これは、プーシキンの詩なんだ、と思いながら聴くのがお勧めで、見どころだと思います。

 

決闘のシーン

 

第二幕は、レンスキーとオネーギンが決闘に至るまでの、シーンです。

何で、そんなことをいうの?、わざわざ怒らせるようなことをするの?と

やきもきするようなシーンもあり、

決闘のシーンになってしまう、第二幕は、緊迫感があり、見どころです。

 

オネーギンは、当時の世情に不満を持つ、若者の典型的なタイプを表していたようです。

オネーギンがどんな演技を見せてくれるのか、レンスキーと二人のやり取りは見どころでしょう。

 

数年後の再会

 

第三幕は、タチヤーナとオネーギンが数年後に再会するところ。

タチヤーナの魅力に、今頃、という感じで気づくオネーギンなので、

タチヤーナの気品のあるたたずまいと、美しさが見どころでしょう。

おとなしい田舎の娘が、見た目も豪華で、美しい侯爵夫人になっている様子は、見どころだと思います。

 

エフゲニー・オネーギンのように、原作の小説の言葉をそのまま使っている、オペラは珍しいので、

言葉の美しさを感じながら、全編を通して聴くのが、良いのではないかと思います。

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