ウィーンのオペラ座でモーツァルトの魔笛をみた
3年ぶりにウィーンの国立歌劇場でモーツァルトの魔笛を見てきました。
前回はオーランドというとっても不思議なオペラをみて頭が痛くなりそうでしたが(笑)今回はとってもメジャーなオペラにしてみました。
ウィーンでのオペラは3年ぶりですが実はウィーンは4ヶ月ぶり。前回は8月だったのでオペラはなかったのでした。
しかも前回は渡航者は72時間以内のPCR検査が必須の時期だったので、「もし陽性だったら帰れない‥」というハードルのせいか日本人はほとんど見かけませんでしたが、
今回もあまり変わらず‥というかアジア系の観光客をほとんど見かけませんでした。
メイン通りは観光客だらけなのに…。
さて今回はモーツァルトの魔笛を見てきました。
本当はジョルダーノの「アンドレア・シェニエ」がみたかったのですが、そちらのチケットは売り切れ。
よくよく見たらヨナス・カウフマンがでていて…なるほど。
っていうか、私も見たかったー。まあ仕方ないです。
ウィーン歌劇場のシーズンプログラムをみるとアレヴィの「ユダヤの女」なんかもありました。そちらはロベルト・アラーニャが出てる…
イエヌーファもある…
とかいろいろ興味深いです。
ユダヤの女は日本ではまず見られないと思いますから、やっぱり海外に来ると珍しい演目があるなあと改めて思うのでした。
滞在中にワーグナーのマイスタージンガーもやっていたんですけどそちらも時間の都合で行けず…。
短い滞在期間で好きな演目を見るっていうのはなかなか難しいもんです。
それでもウィーン国立歌劇場は他のオペラハウスに比べると日々常に何かしらやっている劇場なので、旅で見るには見やすい場所だと思います。
カールスプラッツ駅からオペラ座へ
ウィーン国立歌劇場の最寄駅は地下鉄だとカールスプラッツ駅、あるいは路面電車のオーパー(OPER)です。
開場は1時間前の18時、開演は19時でした。
正面から入ると階段があって少し上ったところに係の人が立っているのでチケットを見せます。
今回チケットはCulturalというサイトからとって印刷して行きましたけどスマホで提示しても大丈夫です。
Culturalは公式サイトなのですが、日本のサイトに比べて若干見にくいです。
特に座席を選ぶ時に、これが公式サイトなのかあ(全世界の人がみるだろうに‥)ちゃんと拡大ボタン作って欲しいと思ったのですが、おそらく日本が特別便利なのかもと最近は思います。
上の写真は2階中央の席でかつては貴賓席だったところです。
王様とか貴族が座った席で、最も見やすく値段も高いです。
今回私が取ったのはロオジェと呼ばれるボックス席の一列目。値段は190ユーロ(約26,000円)。
お値段のランクは2番目に高い席でした。
ボックスの良さはなんといってもコートを手前の小部屋にかけられること。
預けなくていいんですよね。
あとボックスの1列目は肘をつくこともできるしよく見えるので私は好きです。
日本ではひたすら安い席ばかり買いあさっているのですが‥(笑)
日本語の字幕がなくなっていた
各座席にはタブレットが用意されていて各自字幕を見ることができます。
3年前に訪れた時には日本語の字幕があったのですが、今回は無くなっていました(悲しい‥)。
まあ会場を見ても日本人らしい人はまったくいなかったので仕方ないです。(街にもいなかったけど)
ちなみに字幕ははじまる少し前にならないと言語をえらべる画面が出てこないです。
とはいえ華やかな劇場はやっぱり良いです。
以前ほど着飾った人はいなくなっていて、華やかなドレスの人は探さないとほぼいない感じです。
休憩はラウンジへ
今回の魔笛は2幕なので休憩は1回。
休憩の時間は壁にかかっている額にかかれています。(PAUSENとかかれています)
今回の休憩は25分間。ほぼ日本と同じくらいの休憩時間ですね。
終わりは22:15分。2幕だけど魔笛もまあまあ長いですね。
ラウンジはいくつかありますがメニューはカナッペが中心。
おいしそうです。
前回と違っていたのはテーブルの上などあちこちにQRコードの紙が置いてあって、そちらを読み込んで支払い用のカード(だと思います)を事前に登録してからメニューの注文をするように変わっていたこと。
並んでもスムーズに行くようにということだと思います。
日本も休憩時は飲み物に長蛇の列ができるので、そのうち日本でもこういうのが取り入れられるかもしれないですね。
ウィーン国立歌劇場の魔笛の演出
全体を通して感じたのは「観客を楽しませてくれる演出」ということです。
日本の魔笛も最近は楽しい演出が多くなってきていますけどそのさらに上を行く感じでした。
一番印象的だったのはパパゲーノが客席に降りてきたことで、壇上と客席との掛け合いや
驚いたのはお客さんとタッチしたり、数人の膝に寝っ転がったりしてしまって、あれには驚きました。
あのお客さんたちはさぞかしびっくりしたんじゃないかなと。
とにかく笑いをとるとる。
魔笛はパパゲーノが目立つオペラではありますけど、ここまで‥と驚き。
そのほか3人の童子と机が中に浮いたり
大蛇をやっつけるのに本当の花火を舞台の右側から左袖に向かって思い切り放り投げたり
大蛇の首が折れて迫力があったり
などなど飽きない演出。
花火を投げた時はよくやるなあと、間違えて変な方向に飛んだらどうするんだろうと思っちゃいました。煙の匂いがしていたのでちゃんと本物だったと思います。
舞台のセットこそ椅子があるくらいの簡素なものでしたし、最近日本でよくある映像を映し出す演出もなかったのですが、十分楽しかったですね。
ヨーロッパのいろんなオペラハウスのスケジュールを見るとどこもかしこも魔笛が大好き。
個人的にはそれほど好きではなかったのですが、今回ウィーン国立歌劇場の魔笛をみて素朴に楽しかったので、どこでも魔笛を取り上げる理由がなんとなくわかった気がしたのでした。
アリアの拍手をあまりしない
見ていて日本と違うなと感じたのはありあの後の拍手が少ないこと。
魔笛は有名なアリアが多くて日本の場合だと割と拍手が入るんですけど、
ウィーン国立歌劇場ではいちいち拍手はしなかったです。
したのは夜の女王のあの有名な超高音のアリアほか2カ所程度。
ザラストロのイシスのところとかパミーナのアリアとか拍手しなかったですね。ここはしないんだなあと、違いを感じました。
まあ確かに拍手がたくさん入ってしまうと話が途切れる感じがあるのでこれも良いかもと思いました。
拍手ってすごく上手だったりすると自然に出るっていうのもありますよね。
ウィーン国立歌劇場の魔笛・歌手について
では歌手について。
今回パパゲーノを歌ったのはMarkusu Werbaさんというバリトン。
オーストリア生まれのバリトンで49歳。
レパートリーがおおくて清教徒のリッカルドからこうもりのアイゼンシュタインやメリーウィドウのダニロ、それにオネーギンも。
アイゼンシュタインは今回のパパゲーノに通じるけど、シリアスな役もこなす方なんですね。
歌もさることながら演技がコミカルで上手。熟練感がありました。
ザラストロを歌ったのはFranz-Josef Seligさん。
ドイツ出身のバス歌手。60歳。
ロンドン、スカラ座、ハンブルク、パリなどヨーロッパのあちこちで活躍するひとで、トリスタンとイゾルデのマルケ王やパルジファルのグルネマンツも得意としているようで、なるほど感が。
背が高く風格のある顔と雰囲気、貫禄はまさにこれらの役にぴったりの人でした。
タミーノを歌ったのはSebastian Kohlheppさん。
ドイツ生まれのテノールでコジ・ファン・トゥッテなどモーツァルト系が得意らしいです。
そして夜の女王を歌ったのはBrenda Raeさんというアメリカ出身のソプラノ。
夜の女王にしては珍しくまろやかな声でちょっと新鮮。
この声質で高音出るのかなあなんて失礼なことをちょっと思ってしまったのですが、ちゃんと出てました。
そして会場からも大きな拍手。
経歴をみると、ドン・ジョヴァンニのドンナ・アンナや、ヘンデル作品、ホフマン物語のオランピア、それにパミーナもやってるみたい。
必ずしも夜の女王を得意としているっていうわけでもなさそうな感じですが、その分いつもとちょっと違う声の夜の女王でした。
声がまろやかな分きつい女性というより母親っぽい感じがでている気がしてそれはそれで新鮮な気がして聞いていました。
そしてパミーナを歌ったのはErin Morleyさん。
個人的にはこの人がとてもよかったです。安定してるし演技もうまくて光ってました。
アメリカ生まれのソプラノ。42歳でばらの騎士のゾフィーもやるようですね。
今回3人の童子は子供たちが担当。変声期の子がいるのかな?っていう感じがしました。
ちょっと先走って歌ったりしたところがあったのですが、
オケが合わせてあげてるのがわかって、なんとなく微笑ましい感じがしました。
っていうか合わせられるのもオケがうまいからなんだろうなあ。
最後終わって上の方の席からはヒューヒューという声を久しぶりに聞いてなんだかワクワクしました。
ちなみにブーはなし。よかったですもんねえ。
楽しいひと時を過ごしました。次はいつウィーンに行けるかわかりませんが、また行きたいです!
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