今回はウィーン国立歌劇場(オペラ座)の新作オペラ「オーランド」について。
久しぶりのウィーン国立歌劇場です。
久しぶりのオペラ座は以前とは少し違っていました。
今回は、私のチケットの入手方法と入り方についてもちょこっと書いてみます。
オーランドはウィーン国立歌劇場の新作オペラなのでかなりマニアックなオペラなんだろうと想像していましたが、
実際に見てみると想像を超えたマニアックさでした。正直言うと、頭が痛くなりました(笑)。
チケットの入手とオペラ座の入り口
今回はインターネット予約サイトでチケットを購入。
通常のチケットが欲しい人は引き換え券を持って行って現地でもらうこともできますが、
私はチケットの形にはこだわりがないので、ネットで購入する際に自宅のプリンターでチケットも印刷し(A4紙)それを持参しました。
支払いはクレジットカードです。
オーランドの開演時間は日本とだいたい同じで、夜の7:00。
開場時間がわからなくて6:00少し前に着いたのですがまだ開いておらず、
開場は6時だったようです。
意外にわかりにくのが入り口で、あれどこだっけ?と。
ケルントナー通りに面した中央あたりがいかにも入り口か?と思うのですが、そこには係りの人が立っているにもかかわらず入り口ではないんですよね。
係りの人から「こんばんは!」と日本語で声をかけられ、入り口はあっちだよと。(日本人が多いんですね)
私が入った入り口はケルントナー通りからみてもっとも左寄り、電車通りに近い角の小さめな入り口で、どうも正面からではなく脇の入り口から入ったようでした。
(当日チケットを引き換える人はこの入り口から入ると近いかも)
また、入って少しまっすぐ歩くと右側に大きな階段が現れます。
階段を5、6段登ったあたりに係りの人が2名立っていて、そこでチケットを見せます。
かっちりした入り口らしいものはなく、かなりアバウトな感じですね。
私がA4で印刷した紙のチケットを見せると、係りの男性は紙をビリっと2、3センチ破いていました。
「ビリッ!」が入鋏済みということです。
記念に取っておきたい人に取っては「破らないでよ!」と言いたくならないのかなと思うような破り方でした(笑)。
ボックス席の一列目に座る
さて、今回私が取ったチケットは3階ボックス席の一列目です。
オペラ座に行ったらやはりボックス席で見たいって思うんですよね。
日本の劇場には無いですから。
ボックス席は「LOGE」といってLOGEは枡のこと。相撲の枡席とはずいぶん違いますが‥。
チケットにはこんな感じで座席が書いてあります。
2.RANG LOGE RECHTS Loge Rihe Platz 11 1 3 159,0 € |
RANG=階層のことで、2.RANGというと一見2階のようですが実際は2階層上がった3階です。
3階の右側(RECHTS)のボックス11番の中の1列目の3番の椅子という意味ですね。
ちょっと写真が見にくいのですが階段の途中に「 Ⅱ RANG」(2.RANG)って書いてありました。(左写真)
右の写真はボックスの入り口の扉です。
私が選んだ席はボックスの中の3列あるうちの最前列である1列目。
1列目は前に台があるので肘をつけるし、舞台もよく見えます。
2列目になると若干椅子が高くはなっているものの見ずらく、3列目はおそらくほとんど見えないんじゃないかと思います。(値段もそれなりに違いますが)
そしてボックスを選んだもう一つの理由はコートを預けなくていいこと。
冬はコートがありますけど、日本のように膝の上に持つのは基本的に嫌がられるので、クロークに預けないといけないんですよね。
ボックス席の場合は小さな控えの間みたいなのがあってそこにコート掛けがあるので便利です。
字幕はタブレットで見ることができる
ほとんどの劇場の字幕は舞台の両サイドや舞台上部につらつらと出るのが一般的だと思いますが、
ウィーン国立歌劇場は一人一つずつタブレットがあって、まるで飛行機のようでとても便利です。
しかも字幕は日本語もあります。
最初の画面は
- ドイツ語
- 英語
のみだったので、なんだ日本語があるって聞いたのに‥と思ったのですが、
舞台が始まる頃になると、字幕の言語が選べるようになって、ちゃんと日本語もありました。よかった!。
もっともオーランドは日本語の字幕があってもちんぷんかんぷんでしたが‥笑。
休憩はホワイエで
ウィーン国立歌劇場に来るのは初めてではないんですけど、私が方向音痴ということもあるのか
全く何がどこにあるのかがわかっていなかったんですよね。
ホワイエっていうのはオペラ座の休憩所とか廊下のことを言うんですけど、
今回ようやく広めのホワイエが3つと小さな喫茶が1つあるのがわかりました。(もっとあるのかもしれないけど)
左上はもっとも豪華なホワイエの天井で人が多かったです。
右は簡素なホワイエで人も少なめ。
左下はその中間の豪華さのホワイエ。こちらではオーランドの説明がされていましたが、ドイツ語なのでわからず‥。
ホワイエではカナッペやサンドイッチと飲み物が売られていました。
軽食の種類はさすがに多いけど私は食べたばかりだったので見ただけにしました。
ウィーンにはノルドゼー(NORDSEE)っていうファストフードがあるんですけど、そこみたいな感じでいろいろならんでるなと思いました。
余談ですがノルドゼーはファストフードにしてはおいしいし、魚介中心だしチップとか気にしなくていいからとても便利でおすすめです。
服装がかなりラフになっていた
今回ウィーンのオペラ座に行ってもっとも感じたのは、かなり服装がラフになっていたということ。
以前はドレス姿の人をかなり見かけたのですが、今回はほぼいなかったです。
ジーパン姿の人すらちらほら。
日本の普通のコンサート程度の服装で十分のようです。
いつからこんなにラフになったのかな。
もしかしたら今回のオーランドというオペラがウィーンの新作ものでマニアックだったから?
旅行者としてはありがたいですけどね、服とか靴をオペラ用に持っていくのは大変ですから。
それにしても年末もこんなにラフなのかな。
大晦日のスケジュールを見たら恒例の「Die Fledermaus(こうもり)」ヨハン・シュトラウス
でしたが、さすがに年末はもう少しドレスアップするのかもしれないですね。
オーランドというオペラ
さてオペラ座のことばかり書きましたが今回見たオーランドというオペラについて。
感想を一言でいうと、とにかく「わからない」の一言。
歴史もあり、オペラの先進国ともいえるウィーン国立歌劇場が作り出す新作オペラっていうのはこういうものなのねという戸惑い。
少なからずオペラを見てきて、嫌いだったワーグナーも今や大好きになり、ちょっとはオペラを見た方かな
なんて思っていましたが、ウィーンの新作オペラはもうここまで来ていたの?と。
オーランドのようなオペラを理解できるようになるのは、私には生きているうちには無理なんじゃないかとすら思ってしまいました。
それくらい難解。難解というか不思議。
ストラヴィンスキーの「オイディプス王」を初めて見たときも不思議感をすごく感じたんですけど今回はそれを超える不思議さで、
一緒に見ていた友人は「頭が痛くなってきた」と。だよねー、わかる。
そもそもオペラってなんなんだろうと言う疑問。
これについては、オペラ初期のモンテヴェルディを見たときにも別の意味でオペラの定義って何だろうって感じたことがあるんですけど
オーランドはオペラというより私には劇に見えました。
実際作曲したオルガ・ノイヴィルトの作品はしばしば音楽劇場という言われ方をしているようなのですが。
オーランドでやたら出番が多いのはナレーターという役で、この人は歌わずに喋りのみ。そしてセリフも長いです。
マイクを使っている?と思う響きで、そこらへんも不明。
一応オーランドはオペラという括りになっているけど、
オペラってそもそもなんだっけと思ってしまったのでした。
オペラ歌手が出ているからオペラの括りなんじゃないかと思ってしまいました。
オルガ・ノイヴィルトという作曲家はアメリカン・ルルも作った
オーランドってウィーン国立歌劇場が作った新作ものなのでてっきりドイツ語かと思ったら英語だったんですよね。
なんで英語なんだろうとそれも不思議だったんですが、
作曲したオルガ・ノイヴィルトという女性作曲家は、世界で活躍している人らしく
内容的にもドイツ語圏だけじゃなく世界に向けて発信するような提議なのだろうなと。
音楽は難解だけど、少なくとも国籍とか性別とか人種とかそういうものを超越した内容のオペラなのであろうことはセリフから感じ取れました。
オーランドと言うのは主人公の名前なのですが、もともとの原作はヴァージニア・ウルフというイギリスの女性作家の小説なんですよね。
トランスジェンダーの研究などでよく登場する作家で、今回のオーランドというオペラの話も
青年貴族だったオーランドは途中から女性に変わります。
オーランドは映画にもなっているので知っている人も、もしかしたらいるかも。
確かに今の時代にあっているテーマかもしれないです。
でも日本には当分来ないだろうし、来年以降の再演ってあるんだろうかと、そちらもちょっと興味があります。
作曲したオルガ・ノイヴィルトという人は1968年オーストリアの生まれというから今51歳の現役。
古典音楽から、現代音楽、ジャズ、ポップ、ラップなど分野が広く、だからこの音楽なのかもしれないです。
芸術と科学の相互作用を取り入れると書いてあるのですが、
うーん‥正直わからない‥申し訳ない
多分逆立ちしてもわからない‥(笑)。
でもなんか社会に問いかけてるんだなというセリフが諸所に見えてました。
特に女性の役割とか、立場とか。
ベルクのルルっていうオペラがあってこちらもかなり前衛的なオペラで、なぜか紳士に人気があるのですが
オルガ・ノイヴィルトという人はこのベルクのルルをもとに「アメリカン・ルル」っていうルルの続編のようなオペラも作っているんですよね。
ルルっていう女性は退廃的というかどうしようもない女性なんですけど、あのオペラを題材にしてさらにその先を前衛的に作ってしまうところが、すごいというか‥
オペラの先進国ってそんなところまで行っちゃってるの!?という驚きを感じたのでした。
私が行った日のオーランドはそんな難しいオペラにもかかわらず客席は満席。
目と耳が肥えたウィーンの聴衆です。
日本にいる私はロマン派オペラで至極満足しているけど、まあ当分それでいいかとも思いました。
とはいえウィーン国立歌劇場は何かと刺激的。
一ヶ月くらい滞在してみたいものです。
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