オペレッタこうもりの魅力・年末はこれを見たくなる

オペレッタの中でももっとも人気があり、有名なのはヨハン・シュトラウスが作曲したこうもりでしょう。

その魅力は何と言っても楽しいこと

そして音楽が豊かで素晴らしいことです。

テンポよく劇が進んで飽きさせないので、何度でも見たくなり、特に年末に見たくなるオペレッタです。

 

オペレッタこうもりの特徴

 

こうもりの特徴を一言で言うと、もっともオペラに近いオペレッタと言えるのではないでしょうか。

実はオペラとオペレッタは似ているようではっきりと分けられています。

ところが、オペレッタの中で、こうもりは別格で一流のオーケストラや一流の歌手たちで上演されているのです。

それだけ音楽性が高く魅力のある作品なのだと思います。

確かに最初から最後まで美しくて、楽しい音楽の連続なんですよね。

 

ウィーンにはウィーン国立歌劇場というもっとも大きくて伝統的なオペラハウスがあるのですが、基本的にオペレッタの上演はしません

オペラとオペレッタは全く違う、という厳粛な考えもあって、ウィーン国立歌劇場のような、伝統ある旧宮廷歌劇場で演奏するような演目ではない、という考え方があったのでしょう。

というか昔からウィーンに限らずヨーロッパでは、その劇場でどんな出し物を上演するかというのは

おおかれ少なかれ時の政府から監視、監督される

そんなものだっだと思います。

思想的なこと、宗教的なことも絡むからでしょうね。

 

オペレッタを上演するのは少し郊外にあるウィーンフォルクスオーパーという劇場です。

オペレッタは基本的にそちらで上演することになっているのですね。

 

そんな中、ウィーン国立歌劇場で、唯一上演されるオペレッタが、このヨハン・シュトラウスのこうもりだったんです。

(最近ではレハールのメリーウィドウも上演されています)

こうもりを最初に上演したのは、作曲家グスタフ・マーラーでした。

マーラーは自身ではなぜかオペラは一曲も書いてないのですが、

指揮者としては多くのオペラを指揮していました。

 

このオペレッタはマーラーのお気に入りだったのかもしれません。

マーラーがウィーン国立歌劇場でこうもりを取り上げて以来、

こうもりはヨーロッパの歴史ある歌劇場をはじめ、世界中の歌劇場で取り上げられるようになったんですね。

 

現在では、こうもりはウィーンの国立歌劇場の年末の風物詩になっています。

大晦日のウィーン国立歌劇場では必ず、こうもりを上演することになっています。

(ちなみに、大晦日には同時にフォルクスオーパーでもこうもりをやっています。)

 

ウィーン国立歌劇場の方では、ウィーンフィルを輩出している歌劇場のオーケストラの演奏ですし、

歌手も一流どころが歌います。

 

実際に私も大晦日のこうもりをこの劇場で聞いたのですが、それまで聞いてきたこうもりの序曲と全く違う音色で、驚いたのを覚えています。

なんたって世界のウィーンフィルがいる楽団が演奏しているのですから違うわけです。

 

ついでに言うと、ウィーンの年末年始の風物詩のもう一つは、日本でもテレビでライブ中継をしていますが、

学友協会で開催する、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートでしょう。

 

こちらはウィーンフィルの演奏で、毎年、世界中の音楽ファンが集まってくるので、チケットをとるのがとても難しいと言われています。

日本では元旦のニューイヤーコンサートだけ放送されていますが、実際には同じ内容のものを大晦日にもやっていて、ジルベスタコンサートと呼ばれています。

(こちらの方がチケットが少し安いしとりやすいですね)

 

こうもりの魅力

序曲の魅力

こうもりの序曲は単体でもしばしば演奏されますが、

オペラの中の全ての音楽の素晴らしい部分を寄せ集めているメドレーのようになっています。

こうもりには、美しい旋律やエキゾチックな旋律など、有名なフレーズが数多くありますから、この序曲は魅力たっぷりで聴きどころが満載です。

 

特に独特なウィンナーワルツの三拍子は体を揺らしたくなりますね。

日本でやると邪魔になるのでおこられますが、馬蹄形の劇場のボックス席なら可能です。

 

こうもりのアリアの魅力

 

このオペレッタには魅力的なアリアがたくさんあります。

個人的に特に好きなアリアは、

  • 小間使いのアデーレがの2幕で歌う「侯爵様あなたのようなお方は」
  • ロザリンデが歌う「チャールダーシュ」
  • オルロフスキーがウオッカを片手に歌うアリア

 

小間使いのアデーレは一幕からアリアも多く、かつ難しいアリアもあり、また演技力もとても求められるので、

かなり上手な歌手がやっていると思います。

フォルクスオーパーでやるときは歌と演技に加えて踊れる人がやることも。

 

いずれにしても主役のロザリンデより上手いのでは?と思うときもしばしばあります。

特に2幕の、小間使いであることがばれそうになったときに歌うアリアは、軽快だけど技術力も必要な魅力溢れるアリアの一つで、

ぜひこれを楽しんでもらいたいです。

 

ロザリンデが仮面を被って歌うチャールダーシュも、ハンガリーの異国情緒たっぷりの曲で、日本人好みの曲で私の好きなシーンです。

通常ロザリンデは比較的背の高い人がやることが多いのですが、チャールダーシュを歌うときは、やはり背が高い方が似合う、と思いますね。

 

オルロフスキーはロシアの大金持ちの役なのですが、最近はメゾソプラノが担当することが多いですね。

かつてヨッヘン・コヴァルスキーというカウンターテナーがこの役を当たり役にしていましたが、そちらもとても印象的でした。

 

オルロフスキーが歌うアリアは、ちょっと変わっているので、これも好きなシーンです。

演出によってウオッカを投げるシーンがあったりなかったり、その辺も気になるところです。

 

こうもりは女性は歌唱力を求められますが、男性はどちらかというと、演技力が求められる気がします。

(もちろんどちらもあるのがベストですけど)

特にアイゼンシュタインとフランクの演技はこのオペレッタの面白さを左右する大事な要素だと思います。

アイゼンシュタインは妻と知らずに、仮面を被った自分の妻をくどく役で、なんとも憎めない役所です。

 

 

 

こうもりの演出の魅力

 

こうもりの第2幕はパーティーの場面なので、通常踊りが入ります。

プロのバレリーナが踊るので、それもまた華やかさを助けます。

 

 

オペラの中のバレエのシーンはヴェルディのオペラにも多く現れますが、豪華でいいですよね。

 

小間使いのアデーレの姉役のイーダはほとんど歌が無く、いるだけという感じなのですが、先日見た公演ではバレエをプロのバレリーナと一緒に踊っていましたね。

しかもかなり上手だったので、ちょっと驚きの演出でした。

あの人はバレリーナだったのか、ソプラノ歌手だったのか未だに不明です。

 

もっともフォルクスオーパーの看板歌手たちはオペレッタが主なので、歌って踊れることが必要で、

かつてメラニー・ホリデイという歌手は、日本にも何度も来ており、大変人気がありました。

美しくて、スタイルも良く、演技が上手くて、踊りも最高でした。

人気があるのもわかりますね。

 

最も私が好きな楽しいシーンは、フランクとアイゼンシュタインのフランス語の掛け合いのシーンです。

二人ともフランス語ができないので、単語だけを並べるのですが、その言葉は、公演のたびに毎回違います

今回は何を言うのかなと、楽しみの一つなんですよね。

 

外国の歌手だったり、引っ越し公演だったりすると、日本語も入れてくれるのでそれがまた笑いを誘い魅力の一つです。

 

第3幕の刑務所のシーンでは、日めくりカレンダーが31日になっている演出が多いのですが、これは大晦日にこうもりを上演するからだと思います。

原作の台本には無いんですよね。

先日見た日本の公演では、カレンダーを使って使っているものと、使っていないものがありましたけど、大晦日だったらやっぱりあれは欲しいなと、個人的な感想ですが‥。

 

最後にもう一つロザリンデに想いを寄せるアルフレードはテノールが歌うのですが、

シーンの去り際に、別のオペラのアリアを口ずさみながら帰っていくんですよね。

魔笛の夜の女王だったり、ローエングリンの曲だったり

そういうちょっとした演出も、オペレッタこうもりならではのところで見どころですね。

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