天国と地獄・日生劇場2019年11月やっぱりオペレッタって楽しい

日生劇場でオッフェンバックの天国と地獄を見てきました。

私の感想を結果を一言で言うならやっぱりオッフェンバックのオペレッタはすごい!ということかな。

オッフェンバックのオペレッタ

オペラは結構見ているつもりだけど、音楽をちゃんとおぼえてるわけではもちろんないので

私の場合、序曲が始まるとあーそういえばこんな感じだったなあという感覚からはじまります。

毎度新たな発見があったりするものですが、今回も天国と地獄の序曲ってやっぱり素晴らしいんじゃない?という気持ちから入りました。

しかも今回は大植英次さんの指揮ということでワクワク感たっぷり。

さて今回天国と地獄を見ていてちょいちょい浮かんだのはやはりヨハンシュトラウスのオペレッタ。

えーと、どっちが先だっけ?こっちが先だよねと思い出しつつ

やっぱりヨハンシュトラウスってオッフェンバックに影響を受けてるんだなあって今回見て感じちゃいました。

今ではこうもりの方が有名になっちゃってるけどそもそもなんでだろう

と思うくらいオッフェンバックの天国と地獄の音楽はよかったです。

二つの有名度に差がついちゃったのはちょっとこうもりの方が品があっておしゃれな感じだからなんだろうか。

でも内容的には天国と地獄の方が今の時代にもマッチしている気がするんだけど‥。

そもそも1858年の作品がそのまんま倦怠期を迎えた夫婦の様子や、しょうもない上司や社会のような内容で、160年もたった現在人の心にすごく刺さるっていうのはなんなんだろうと。

人間ってやっぱり過去から同じようにすごしてきたんだなあなんて思ってしまいました。

それにしてもオッフェンバックってホフマン物語を作った人でもあるわけなんですよね。

うーん、同じ人が作ったとは思えない。やはりオッフェンバックってすごい、鬼才だったのねと思いました。

天国と地獄・演出と音楽

今回はすべて日本語による上演だったのですが、

非常に分かりやすい日本語でした。セリフもアリアも。

アリアにもちゃんと字幕をつけてくれたのでさらにわかりやすい。

最近はテレビも、喋ってるのが聞こえているのにテロップとかスーパーを入れていることがすごく多くなっているんですよね、

だからそれに慣れていてつい字幕を見る癖がついている人も多いと思います。

かくいう私もそうらしく、分かり易かったと同時に

日本語ってアリアにしても違和感ないのねと思いました。これは訳にもよるのかな。

さて、日生劇場はこじんまりしているので結構好きな劇場です。どこに座っても見やすいです。

それほど客席が多くない割には舞台が横に長い気がしますが、今回はかなり登場人物も多めだったので、ちょうどいい感じでした。

全体を通してセットはそれほど大掛かりな感じではなくちょっとおとぎ話風のセット

色合いはオリンポスは白地獄は黒、最後は赤もっていうコントラストでわかりやすかったです。

見ていて思ったのはオリンポスのシーンってこんなに長かったっけ?っていうこと。

私の中ではオリンポスのシーンは記憶に忘れられていたようで、

そもそもこの場面ってストーリーにはそんなに関係ないしなあ、だから記憶になかったんだろうかと思ったり‥。

まあ記憶というのはあやふやなもので、だからこそ何度も見ても飽きないし発見があるわけですしね(と自分なりに納得)。

また今回天国と地獄を見て、楽器のソロがこんなに多かったのねとこれも発見。

クラリネットからオーボエ、バイオリン、チェロなどなどこれらのソロの旋律がまた良くて、聞き惚れていました。

ユリディスはいやがっていたけどオルフェの新作のコンチェルトもすごくきれいな曲でしたよね、これにむかつくなんて、とつい思ってしまった(笑)

そうそうグルックのオルフェオとエウリディーチェの一節も出てきますけど

やっぱりあの曲もいいですねえ。

ついグルックの方も見たくなりました。というか帰ってからYouTubeであそこだけ聴いちゃいました。

歌手について

オペレッタの人は演技がうまくないと厳しいと思うのでそもそも大変ですよね。

今回はダブルキャストだったようですが、私が見た回については

オルフェを演じたのは山本耕平さんという人。この人よかったですね。

演技がうまいし舞台姿の雰囲気がオルフェにぴったり、

バリトンなの?と思ったくらい低い声も魅力的で、特に1幕で最初一旦下がってから出てきた時から別人のように声が出ていた気がします。

バイオリンの持ち方も実際に引いているかのようで一瞬あれ?と思ったほどでした。

妻のユリディスを演じたのは高橋維さんというソプラノ。

それほど声は大きくないのですが、高い声がよく出るオペレッタにぴったりの人かなと。

この人がユリディスに選ばれた理由は後半に行くほどよく分かる気がしました。

オペラ歌手とは思えないスタイルや身の軽さ、特に最後のバッカスの娘だったかな?に変身する衣装はこの人にまさにぴったりで、ユリディスの性格も浮き彫りになっていたと思います。

全体に今回の天国と地獄はそれぞれのキャラがすごくたっていておもしろかったです。

地獄のプルートを演じていたのは渡邊公威さんという人、地獄の王だけどいい人感が強くて憎めない感じ。

声がちょっと聞き取りにくい時も若干あったけど優しそうな閻魔大王は好感度たっぷり。

ジュピター役は三戸大久さん。この人は高田正人さんのWhy not?というコンサートで拝見した時もハエの役をやってくれて、あの時はモーニングの裾をひらひらさせてハエをやっていて、あっちの方が個人的にはおもしろかったかも(笑)

今回ハエ以外のところでも存在感たっぷりで、今回の舞台の一番の引き締め役っていう感じがしました。

皆に責められる時がなんとも楽しい(笑)。

世論を演じたのは今回は女性で塩崎めぐみさんという人。

超まじめな服装はいかにも世論。このオペレッタにはこの世論役が重要なのねと、これも改めて思いました。

 

最後におきまりのフレンチカンカンですが、実は全員男性だった?

背丈がまちまちでかなり大きい人もいるなあと思っていたのですが、てっきり女性かと思っていたら‥。

もしかして女性もいたのかもしれないけど、実際はどうだったのかな。

これは意表をつく演出でした。この辺もおもしろいところ。

やっぱり天国と地獄は何度でもみたいオペレッタに間違いないです。

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