タンホイザー(ワーグナー)2021年2月東京文化会館にて

二期会のタンホイザー

東京二期会のタンホイザーを見てきました。

2021年2月17日です。場所は東京文化会館。

4日あるうちの初日の公演です。

久しぶりにワーグナーが聴けるということでワクワク!

今回はフランスラン歌劇場との提携と書いてあったけど、それは演出に現れているということなのかな?と。その辺よくわかってませんが‥。

平日の17時開演ということもあり、人の入りはちょっと少なめかなと思いました。そもそも座席は1個おきにしているので、全部入っても半分しかならないのですが。

新型コロナ対策は東京文化会館の場合、一つおきの座席の他、前2列は使用せずですが

歌手の人たちはフェイスシールドなどはつけずに普通の状態での公演でした。(やっぱり普通がいいですね)

困ってしまったのはロビーで何も食べたり飲んだりしてしてはいけないということ。(飲み物は飲んじゃったけど)

会場によっては喫茶をやっているところもあるので東京文化会館も大丈夫かな?と思っておにぎりとサンドイッチを持って行ったのに、食べられず‥。

4時間もあるのにきつすぎる‥。外は寒いから出る気もしないし。お腹が空いたから帰ろうかなとすらちょこっと思ってしまった(笑)ちゃんと最後までいましたけど。

さて、当初「指揮者はバイロイトから来る」というのがおそらく売りの一つだったと思うのですが、結果的に新型コロナで来日できず、指揮はセバスティアン・ヴァイクレと言う方でした。

会場に入ると舞台には鳥かごのような格子でできた円錐系の物がぼんやりと浮かび上がっていて、これは上下するものの最後までずっとありました。

これで昇天するのかなと思ったけど、そこの入るのはタンホイザーのみでエリーザベトは入らなかったですね。

ワーグナーということで観客は圧倒的に男性が多め。ほんとワーグナーって男性に人気があります。

っていうか二期会は必ずこの時期にワーグナーをやっている気がします。

序曲で救済された気が

最近気になるようになったのがオーケストラの人数。以前はあまり気にならなかったのですが‥。

やっぱりワーグナーってオーケストラが多いなと改めて思いました。正直ピットは蜜かも(笑)ちゃんとマスクを着用されてましたけど。

さらに入りきらなくてかハープは一段上がったところに。

歌合戦でハープは目立つからそのためもあったのかもしれないです。

アミアミのついたてがあるので、目立たないようにはなっていました。最近二期会はアミアミをよく利用している気がします。

さて久しぶりのワーグナー。タンホイザーはやっぱり序曲が有名だし楽しみの一つ。序曲が始まると、「わあ!コロナから救済されたわー」とまず嬉しくなりました(笑)。

少し前にトスカを見たからか「あれ?ワーグナーの音楽って意外に落ち着いている」と感じたのは、やっぱりプッチーニの音楽がそれだけ情熱的だからなのかもです。

第一幕はヴェーヌスの谷。

ここはやっぱりどんな演出かがすごく興味津々のところ。

官能とエロスの世界をどんな風に表現するのかなと。

最初はカラフルな洋服をまとった女性たちが登場したので、正直言うとあれ?これだけ?と思ってしまったのですが、

その後肌色の体にぴったりな衣装を着た男女たちが登場して、くねくねと踊りだすとまさにヴェーヌス感たっぷりで、「うーんこれこれ!」と。

人数は少なめだけどすごくヴェーヌスの谷の雰囲気が出ていました。こういうのが見たかった!

今回感じた発見はタンホイザーってアカペラの合唱が意外に多いのねということ。1幕最後の巡礼の男性合唱もその一つ。プロのアカペラ合唱ってちょっとかっこいい。(合唱も大好き!)すごく良かった。

でもタンホイザーはやっぱり2幕が一番おもしろいと思うんですよね。

歌合戦は盛り上がるし、緊迫するし。尊い広間っていう感じがするのはやはり音楽のせいなのかも。

チューリンゲンの領主よ!と合唱するところはまさに合唱好きの私には

たまらないところです。厳かでこれもかっこよかった!

あと第三幕の巡礼者たちの合唱感動もの。タンホイザーの合唱ってほんといい!

そして一番最後の合唱音楽。なんと言ってもこれが一番で、これを聞くために私はこのオペラを見ていたんじゃないかと思えるくらいのシーン。最後よければ全て良しと思わせるラストの合唱音楽なんですよね。

歌手について

今回タンホイザー役を演じたのは片寄純也さんというテノール。

最初のうち、なんか走って歌っちゃってるように聞こえてしまって、ハープやオケと合ってるのかなあとなんか聞いててハラハラしちゃったんですけど、

でも時々ハッとするような強い声が出る人で、だからこの役に選ばれたのかなと感じました。

なんかもっともっと変わっていきそうな気がするし、日本人には珍しく強い声が出そうだし、また別のオペラの時に見たい人ですね。

そしてエリーザベト役は田崎尚美さん。この人はルサルカで見た時にその安定した声量に「この人ワーグナー歌えそう!」ってずっと思っていたところに、今回のタンホイザーへの出演だったので、田崎さんを見たくて行ったと言っても過言ではないです。

そして今回やっぱり一番よかったのは私の中ではこの田崎さんでした。

強い声はいうまでもなく弱音も以前聞いた時よりさらに美しい気がしました。

ローエングリンのエルザなんかもすごく合いそう。

タンホイザーがヴェーヌスの谷に行ったとばれて非難轟々のときに「やめて!」と叫んだエルザの声は感動的!

そして3幕でも「ああ、この人死んじゃうんだなと」感じさせる演技と歌。

2幕の歌合戦で盛り上がっていく様ってほんとおもしろい。

ヴォルフォラムが最初に歌う愛の歌もいいなと再認識した今回でした。

3幕になると‥、実は最初の方はまたなんかギクシャク感を感じたのはなんでだったんだろう‥。

とはいえ結果的には3幕の良さを再発見。

今回エリーザベトに次いでよかったのが私の中ではヴォルフォラム。

ヴォルフォラム役は大沼徹さん。この方は何度か見てますが、ワーグナーには弱いのかなと勝手に思ってました。

実はタンホイザーの第3幕って私の中ではあまり印象的ではなかっったんですけど、今回は第3幕もよくて、それはヴォルフォラムのおかげの気がしました。

ヴォルフォラムって、夕星のうたのイメージしかなかったんですけど、2幕から3幕にかけてのヴォルフォラムが存在感がすごい!演技力なのか歌なのかとにかくよかった。

領主のヘルマンを歌ったのは狩野賢一さん。この人もどっしりとしてワーグナーのバス!っていう感じがして雰囲気歌共にとても印象的でした。

ヴェーヌス役は板波利加さん。この方は以前シャルパンティエのルイーズっていうオペラで急遽お母さん役で出て、代役だったのにすごくよかったっていう印象があります。

今回はヴェーヌスという大役、やはり声はよく通ってました。

ということで、休憩を入れて計4時間という長さでしたけど、ワーグナーを生で聞くことができて、充電できたなあとそんな気がしたのでした。

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