ローエングリン(ワーグナー)の魅力・白鳥に乗った王子

ローエングリンはワーグナーのオペラです。

ワーグナーのオペラの中でも、特に人気が高いオペラではないでしょうか。

ワーグナーは男性ファンが多い中、女性ファンが多いことも、このオペラの特徴だと思います。

 

ワグネリアン達

 

熱狂的なワーグナーファンのことを、ワグネリアンと呼びます。

ワグネリアン達は世界中にいて、古くは、バイエルンのルートヴィッヒ二世やニーチェ、

最近ではメルケル首相、など。

一般の人はもとより、世界の要人達の中にもワグネリアンは多くいるんですね。

ドイツ・バイロイトにある、ワーグナーが作った殿堂の祝祭歌劇場の夏の公演には、世界中のワグネリアン達が集まります。

そのため、チケットが手に入りにくいと言われています。

ワーグナーとバイロイト

ワグネリアンの特徴として、ワーグナーが好き、ということの他に

ワグネリアンであることを、あまり声高に言わない人が多い、ということがあるのではないでしょうか。

 

その理由の一つは、オペラが好き、と言うと、それでなくてもちょっと引かれることが多いのに

中でもワーグナーが好き、ワグネリアンです、と言うと、かなりオタク感が強く、

さらに引かれてしまう、ということがあるとおもいます。

 

あと、もう一つの理由として、ワグネリアンというと、どうしてもヒトラーとつながってしまいます。

ヒトラーは、熱烈はワグネリアンで、政治的な集会にもワーグナーの曲や、言葉を引用していた人です。

今では、それも忘れられつつあることだとは思いますが、

そんな理由で、自称ワグネリアンと言うことを憚る人もおそらくいるでのはないかと思います。

 

かくいう私はというと、

まだまだワグネリアンというほど何度も見ているわけではありません。

それに、ワーグナー以外のオペラも好きなので、ワグネリアンではない、と内心では思っているのですが、

ワーグナーのオペラを見に行くと、出だしを聞いただけで

「来てよかった!」という恍惚的な幸せを感じることや、

バイロイトに行きたい、としばしば思うこと、

そして、演奏会形式のトリスタンとイゾルデに、いそいそと足を運ぶ自分を冷静に見ると、

もしやワグネリアンなのかなと、ちょっと思ったりします。

 

初演と特徴

初演

  • 作曲:ワーグナー
  • 初演:1850年
  • 場所:ワイマール宮廷歌劇場

ワーグナーは1813年の生まれなので、彼が37歳の時の初演です。

初演をワイマール宮廷歌劇場で、上演することができた裏には、作曲家リストの尽力があったといいます。

リストはワーグナーとあまり年が変わらないのですが、

後に、リストの娘のコジマはワーグナーの妻となっていますね。

 

特徴

オペラは、男女の愛を描いたものがダントツ多いのですが、ワーグナーのオペラもそうです。

中でもローエングリンは、窮地に追い込まれた王女を助けに来るのが、ローエングリンで

見た目も神々しく気品があり、しかも強い、という

まさに、絵にかいたような、白馬の王子様オペラであることが特徴です。

愛欲に溺れてしまう、タンホイザーや、

力は強いけど、簡単に騙されてしまうジークフリートとは違い

非の打ちどころがないところは、ちょっと宝塚に出てくる男役のスターのようです。

男性ファンが多いワーグナーのオペラの中で、女性に人気があるという特徴も、そのためだと思います。

ローエングリンは、聖杯を守る騎士という設定で、パルジファルという叙事詩に出てくる人物なのです。

もともとの話では、ローエングリンは、エルザと分かれた後、別の女性と結ばれますが、うまくいかず,死んでしまうという、人物です。

このように女性関係については、恵まれない人物

強く神々しいけれど、哀愁が漂う、人物像に描かれているところも、ローエングリンの人気の秘密とその特徴のような気がします。

また、ローエングリン以外の役に付いても、人物像が明確であるところは、このオペラの特徴だと思います。

テルムラントの、悪者ながら、妻のいいなりという気の弱さが垣間見えるところや、

オルトルートの根っからの悪女ぶりなど。

それらは、歌詞や会話の流れからうかがえることで、

ワーグナーの台本のすばらしさの証ではないでしょうか。

 

 

上演時間とあらすじ

上演時間

  • 前奏:約10分
  • 第一幕:約60分
  • 第二幕:約80分
  • 第三幕:約70分

正味合計3時間40分のオペラ。

2回の休憩が入るので、4時間以上はどうしてもかかる、長大なオペラです。

ところが、おそらく、ワグネリアン達にとっては、時間の長さは、全く気にならないところだと思います。

ワーグナーのオペラを平日に上演するときは、16時ころの開演になったりします。

それでも終わるのは21時を過ぎてしまいます。

そんな中途半端な、時間に行くのは、働いている場合、かなり厳しいと思うのですが、

結構、皆さん、ちゃんと来るんですよね。

 

あらすじ

王女エルザは、行方不明になった弟殺しの疑いがかけられています。

実は悪者テルムラントとオルトルート夫妻の仕業なのですが。

エルザを擁護する人物はおらず、絶体絶命のその時、

輝くオーラを放つ騎士ローエングリンが、白鳥が曳く船でやってきて、エルザのために戦い、二人は結婚することになります。

追い出されたオルトルートは、弱々しい声音でエルザににじり寄り、エルザを不安に陥れます。

結婚の初夜、不安を植えつけられたエルザは、こらえきれず白鳥の騎士に名前を問いただしてしまい、自滅の道へ。

騎士は去ってしまいます。

 

決して名前を問いただしてはならない、というところは、

決して扉を開けないで、という鶴の恩返しをつい思い浮かべてしまいます。

名前も知らずに信じろというのは、なかなか酷なことではありますが、

見ている方としては、ローエングリンは良い人なんだから、名前を聞いちゃダメ、

はらはらしながら見ることになるわけで、そこらへんもこのオペラの魅力です。

 

見どころ

結婚行進曲

音楽と劇が一体になっているので、有名なアリアと呼ばれるものは無いのですが、

音楽で有名なのは、結婚式のシーンの曲

クラシックでは、メンデルスゾーンの結婚行進曲に次いで、ワーグナーのこの結婚行進曲が有名でしょう。

おそらく一度は耳にしている人がほとんどかと思います。

わかりやすくて落ち着いた、良い曲だと思います。

 

グラールの語り

一幕のエルザが夢うつつで、弟がいなくなったことを語る、「エルザの夢」も有名ですが、

ローエングリンの見せどころは、エルザに名前を聞かれてしまって、素性を答え

「グラールの語り」のシーン。

気高い音楽はまさに聖杯を守る騎士という、印象で、

最後に「ローエングリン」と名乗るところは、悲しくも感動的なシーンで見どころです。

 

ローエングリン役

タイトルロールであるローエングリンの役は、歌、演技、の他、神に仕える身ですから、

にじみ出る気品も欲しいところ。

かっこよすぎる役なので、どうしても期待が高まってしまう分、大変な役で見どころの役です。

過去の、往年の歌手たちの、素晴らしいローエングリンの映像も数々ありますしね。

とはいいつつ、ワーグナーの音楽は、素晴らしいので、誰が演じても、最終的には、あまりがっかりしたことはないです。

 

 

第二幕・オルトルートとテルムラント

ローエングリンの主な配役は、

  • 良い夫婦(ローエングリンとエルザ)
  • 悪者夫婦(テルムラントとオルトルート)

の4人なのですが、第二幕で、オルトルートは悪女ぶりを全開。

実は魔女という設定ですから、表情も、どすの聴いた声も、悪者ぶりが見どころでしょう。

そして、夫のテルムラントは、若干気持ちの弱さが見え隠れする存在。

演出や歌手により、テルムラントは、ちょっと気の弱いところが見え隠れする場合と、かなりの悪者に見えると場合があるので、そのあたりも見どころでしょう。

 

第三幕・寝室でのやり取り

新婚初夜の部屋で、こらえきれず名前を聞いてしまうエルザと、それを止めようとする、ローエングリンの長いやり取り。

このシーンは、私は最も見どころだと思います。

不安を抑えきれないエルザの揺れ動く心理が、見事に音楽と歌詞に表現されていて、

音楽はもちろんのこと台本が見事だと思うのです。

そして、このシーンの二人の演技、特にエルザの演技と歌は見どころではないでしょうか。

 

伝令とハインリヒ王

ローエングリンで、一番最初に朗々とした声を出すのは、伝令役の太く響く声。

出番は多くはありませんが、この役はかなり目立ちますので見どころ。

また、伝令役は、出番は多くないのですが、かなり有名な人がやっていたり、その後有名になる人がやっていることがあります。

注目したい役どころです。

ハインリヒ王は、安定した存在で、テルムラントとオルトルートたちに惑わされない、王らしい王。

声もバスで、聞きごたえのある声の人が担当することが多いので、こちらも見どころです。

第一幕の前半は、この二人がかなり目立っています。

 

演出

演出はいつも物議のもととなりますが、ローエングリンについても、どんな演出にするかは、かなり見どころです。

以前二期会のローエングリンでは、ルートヴィッヒ2世とローエングリンの人物像を、重ねた演出になっていましたが、

それもかなり、斬新な演出だったと思います。

ローエングリン東京文化会館にて

また、ローエングリンは、現代解釈された演出の場合もあるので、どんな時代設定にしているかはまずチェックするところでしょう。

個人的には、演出でもっとも気になるところは、白鳥の出し方です。

ローエングリンは、白鳥が曳く小舟に乗って登場するので、それをどう見せるかが、やはり演出では気になります。

へたに小さな白鳥を登場させると、子供騙しみたいになってしまいますし、かといって、全く白鳥の気配がないのも寂しい感じがします。

ここはやはり演出の見どころではないでしょうか。

いずれにしても、何度もみたいオペラであることは確かです。

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