ルイーズ・シャルパンティエ2018.9月鑑賞レビュー

2018年9月23日、三連休の中日。

珍しいオペラをみてきました。

シャルパンティエ作曲ルイーズというオペラです。

主催は東京オペラプロデュースで、

場所は新国立劇場の中劇場です。

他のオペラを観に行った際に、このルイーズのパンフレットを見つけた時は、

え!ルイーズをやるの?という驚きと喜び

しかも原語で、管弦楽もちゃんと付いて。

なので、とても楽しみにしていました。

 

シャルパンティエのオペラ

 

シャルパンティエのオペラは、フランスにおいては、とても人気があるようなのですが、

日本では、残念ながら上演しているのをみたことがありません。

今回観ることができたのは、とても貴重な経験でした。

 

日本においては、どうしても有名なオペラや、同じようなオペラになりがちなんですよね。

そのため、観たことが無いオペラを観るためには、

海外に行くしか、方法がなくなってくるんです。

実際に、毎年海外に行っては、みたことが無いオペラをみているという知り合いもいますが、

私はそれができるような状況でもありません。

それだけに、今回のような珍しいオペラの上演は、ありがたい限りです。

 

さて、会場は新国立劇場の中劇場。

実は中劇場の方に行くのは初めてでしたが、

さすが新しいだけあって、こじんまりとしているけれど、ちゃんとオーケストラピットもあり、

座席もどこからでもよく見えます。

 

二階の方は空席もありましたが、一階席はかなり埋まっていました。

若い人もかなり多かったですね。

また、関係者や知り合いかなという人が多いのは、

こういう少しこじんまりした公演の場合は、ありがちな光景の気がします。

お祝いの花も多かったですね。

 

ルイーズは4幕まであり、意外と上演時間が長いのですが、

今回の公演では、第二幕の1場と2場を分けて、前後にくっつけての上演。

そのため、休憩は2回だけで、思ったより早く終わったのはありがたかったです。

最近のオペラ公演は、時間についてもいろいろと工夫してくれてるなと感じます。

 

さて、シャルパンティエのルイーズを劇場でみた感想は

一言で言うと、フランスのオペラなんだなということ。

というよりパリのオペラですね。とにかくパリ。

演出

今回のルイーズの舞台セットは、基本的に同じで、

見る角度によって違って見えるというもの。

場面に応じて、ぐるぐると円形の床が回ることで、変化させていました。

 

この演出だと、舞台でセットを出し入れしなくていいので、早いですね。

回すだけで雰囲気がガラッと変わるので、おもしろいです。

 

また、ルイーズというオペラは、パリのモンマルトルの様子が出てくるオペラなので、

どんな感じにするのかなと思っていましたが、

そこは簡素に、新聞屋がいたり、牛乳屋がいたりと、そんな感じでした。

映画ではないですし、何より、音楽が素晴らしいので、そういう細かいところはどうでもいいという感じでしたね。

それくらい、シャルパンティエの音楽はみずみずしく、キラキラしていました。

音楽

第一幕は、普通の庶民の食卓風景がでてきて、

家族のために働く父と、口うるさい母がいる、どこにでもあるような家庭で、

とても地味なイメージ。

第一幕だけ見ていると、なぜこれがフランスそんなに人気なんだろうと思ってしまいます。

ところが第二幕から、フランスらしい美しい音楽が出てきて、

これぞシャルパンティエなんだなと思う旋律。

 

そして、それが第三幕では、最も顕著に現れて、

優雅で、美しく、それでいて迫力のある音楽と歌の頂点となっていました。

アリアあり、二重唱ありの第三幕は、加えて合唱の迫力がすごく、最も盛り上がるところですね。

これぞフランス音楽と言う感じでした。

いつの間にか古き良き時代のパリに連れて行かれたような、そんな気持ちになりました。

 

転じて第四幕は、歌詞が際立つ幕

シャルパンティエのオペラは、全体を通じて、会話がオペラになっているので、

通常のオペラに比べ、歌詞の内容が濃いのですが、

とりわけ第四幕は、ルイーズの言い分が、いかにももっともな言い分で、また父親も

こういう困った父親っているよね、という歌詞。

 

ルイーズが発する言葉「親は娘を思い通りにしたいのね」や

「お父さんは、娘を自分のたった一つの希望にしている」という言葉などは、

父にとってはきつい一言ですが、

そうだよねーと、共感してしまう言葉がたくさんでした。

ルイーズは、台本もシャルパンティエですが、言葉の選択がうまい、と感じました。

そして娘が最後に両親から逃げ出していく先は、夢と希望があふれるパリ

パリは当時の若者達にとって、まさに希望の街だったんですね。

なんとなく昔の日本もそうだったのかな、都会に憧れる若者。

自由に生きたいけど、生きにくいし、貧しい。

でも明るさだけは持っている。

そんな時代があったような気がします。

ルイーズは「パリ」という言葉がなんども出てくるオペラ。

まさに、パリのオペラと言う感じでした。

 

歌手について

 

オペラ・ルイーズは、少し古い時代のオペラのように、アリアが独立しているところはほとんどなく

会話が歌になっているというオペラ。

そういう意味では長いミュージカルをみているような、気持ちにもなりますが、

音楽はかなり重厚だなという印象。特に第三幕。

とにかくすべて歌でストーリーが進行していくので、必ず字幕を見なければいけないオペラですね。

主役歌手の人も出番が多く、セリフ、というか歌が多いので、なかなか大変だと思いました。

ましてや日本人による上演で、言葉はフランス語ですしね。

 

とにかくフランス語のシャワーなので、このオペラはやはり言葉がわかっている方が

より一層楽しめるのではないかとは、感じました。

そのあたりも、フランスでよく上演されている理由の一つなのかもしれません。

ルイーズは登場人物もかなり多いオペラです。

今回、タイトルロールのルイーズも良かったのですが、恋人役のジュリアンもとても素晴らしい声でした。

ルイーズ

タイトルロールのルイーズ役は、岩崎由美恵さんというソプラノ。

見た目の雰囲気が、タレントの橋本マナミさんに似ている、きれいな人で、悲しげにうつむく様は、切ない雰囲気がでていました。

純情な役が合いそうな方です。

第三幕の「あなたに全てをあげたその日から」のアリアは、よかったです。

このオペラの中では単独でも歌われる部分だと思いますが、

単独で聞くより、オペラの流れの中で聞く方が数段良いような気がしました。

最後は父親にビシッと言って、ちょっとスカッとしましたね。

今では当たり前の「自由恋愛」ということも、当時はままならなかったんですね。

ジュリアン

恋人のジュリアン役は金山京介さんというテノール。

見た目が、かっこよく、まじめな優等生風なので、

仕事に就かないボヘミアンにはちょっと見えないのですが、

よく通るハリのある声は、とても光っていました。

特に第二幕2場あたりから、最後までずっと、素晴らしい声が響いていましたね。

父親役

父親は村田孝高さんという人。実際は意外と若いのかなと思いましたが、

父親らしい体格と、安定した声で、演技も上手な人でした。

ラストの第四幕で歌うシーンは、朗々とした歌声で、とても良かったのですが、

なにぶん、歌っている内容が、ひがみっぽく、子離れできない歌詞なので、

歌の良さよりも、何言ってるの!という気持ちが勝ってしまい、

とっさに大きな拍手をできなかったという、初めての感覚でした。(ごめんなさい)

母親役

当初予定していた方が、体調不良のため、板波利加さんという方に変わりました。

がこの方もとても声量があり、母親役にぴったり。

第一幕の何気ない自然な演技が、よかったです。

サブの人もちゃんと演技まで練習しているんですね、と思っちゃいました。

母親役はちょっと意地悪にも感じる役どころですが、やはりこういう役が無いと

話はおもしろくならないもの。

みんなでガヤガヤやっている時に登場する貫禄はなかなかのものでした。

合唱

今回とても良かったのは合唱です。

特に第三幕は、大合唱がかなりありましたが、人の声の集合って素晴らしいと改めて感じました。

力強く、生き生きとした合唱は、第三幕の盛り上がりには、欠かせない要素です。

人数の割に、とても鳴り響いていました。

このあたりもフランスで人気の理由のような気がしました。

 

シャンパルティエの音楽は、力強く、とろけるような音楽です。

そして、のちに貧しい女性達のために、社会的に色々と尽くしたシャンパルティエの気持ちが

よく表れているオペラではないかと思いました。

 

最後に、

東京オペラプロデュースでは、次はグノーのロミオとジュリエットを上演するようです。

ロミオとジュリエットといえば、かつてリリック座で大人気だったオペラのはず。

これもまた楽しみです。

ルイーズ(シャルパンティエ)見どころと解説

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