まんぼう解除で喫茶も再開
今回は上野の東京文化会館でヨハン・シュトラウスのこうもりをみてきました。
小澤征爾音楽塾の公演です。
ようやくまんぼうも解除になりましたね〜。うれしい!。
とはいえチケットは自分でちぎって入場。パンフレットも自分でとる方式なのはまだそのまま。
それでも変化はありました。
入場者カードの記入などはないし、会場は1列目にもちゃんと観客がいました‥あ、いるいるって言う感じ(コロナ中は前2、3列は開けていましたから)。
そして休憩時には1ヶ所ですが、飲み物が売られていて。これも久々の光景です。
食べ物はまだ売っていませんでしたけど、徐々に元に戻るんじゃないかなと思います。(戻って欲しい)
なんでもないことのようですが元に戻るのはいいですね。
舞台でも変化があった気がします。
コロナ禍中は体の接触は避けて、手も繋がない公演も多かったのですが、今回はそれもなく
第3幕の口に水を含んでブーっ!と吹き出すやつ。あれもちゃんとやってくれました。なんか楽しかった。
「こうもり」はおそらく私が一番みているオペラ(オペレッタ)で、
ウィーンに住んで毎日オペラ座とフォルクスオーパーに通ってみたい!と本気で考えるきっかけになったオペレッタでもあります。(実現できていないけど‥笑)
見れば見るほど音楽がいいしとストーリーも。見るごとに発見があり、また見たくなる演目なのです。
一生のうちに生で今後何回見られるだろうって、そんなことまで考えちゃうくらいです。
さてそんなこうもりの今回の感想を一言で言うなら
歌も良かったけどバレエの人がちゃんといて華やかだったっていうことがやっぱり印象的でした。
オペラなのに歌じゃなくバレエを言うかって言われそうですけど、このところコロナでほとんどのオペラにはちょこっとのバレエもなかったので正直寂しい感じでした。
特にこうもりはバレエがあるのとないのではすごく華やかさが違うんじゃないかと思うので、プロのバレエの方達がいたのは本当に華を感じました。
そしてマイスタージンガーのベックメッサー以来大好きになってしまったアドリアン・エレートが今回はアイゼンシュタインにとってもハマり役。
楽しい楽しいひと時でした。
そうそう序曲はオーケストラが全員立っての演奏(チェロとか立てない人もいるけど)。これも珍しいですよね。
序曲の後立って挨拶っていうのは見たことがありますけど、立って演奏って初めて見たかも。
立った方がいい音色が出るって聞いたこともあります。理由はわからないけどそれも注目でした。
オーケストラは若い人ばかり。それもなんだかいいですよね。活気があるというか。
こうもり演出
演出はこれぞこうもりだよねって私が思う見慣れた演出。
オルロフスキーがウォッカの瓶を投げたり、アデーレのお尻を触ったり、日めくりが32日になったり、フロッシュが帽子を壁にかけたり、パーティには長い机があってその上に乗ったりなどなど
どれも見覚えのある演出でそれがまた楽しかったです。これだよね!って言う感じかな。
改めてパンフレット(入り口でくれる無料のですが)をちゃんとみると、オットー・シェンクという名前。
もしかして私はこの人の演出をよく見ていたのかなと気づきました。オペラでよく出てくる名前です。
そしてオーストリアの出身だったんですね。
「ウォッカを投げるかなあー、あっ投げた!」なんて思いながら見るのがなんとも楽しいんですよね。
第一幕は全体的に緑のシックなセット。
左に階段で奥が庭になっていて、広い空間に見えました。
アルフレートがちょこっと何を歌うかっていうのが私の密かな楽しみの一つなんですけど今回第1幕では「誰も寝てはならぬ」を歌って、しかも壮大なオケ付き(笑)この演出はおもしろかったー。
そして第3幕でもチラッとオケ付きでやはり同じ旋律が出てきたのですが、ふわっとちょっとだけ演奏してすぐに止めた感じが逆に「え、なんかすごい、この止め方」って思っちゃいました。
今回のこの部分すごく楽しかったです。
そしてバレエは東京シティバレエ団。最初はバレエの人いるのかなあってしばしわからなかったんですけど、
さりげなく踊る様子が違うし、みんなが歌っていても歌っていない
なによりアデーレを持ち上げたときから、あ、プロだと気づいた私。普通は頑張ってもあんなふうにふわりと持ち上げられないですよね。
今回もバレエはないんだろうなと半ばあきらめていたので、第2幕でちゃんとバレエの人がいたのは感激。f宙返りしているアクロバティックな人もいたりして、やっぱりこうもりはバレエが欲しいよねえと思ってしまいました。
今回は黒服の男性達がとりわけかっこよくみえました。
第2幕は最初は赤が基調の比較的狭い空間。そのあと奥があいて長いテーブルと上からシャンデリアも出てきました。豪華豪華!
そして第3幕の看守役はイッセー尾形さん。久しぶりにみました。やはり声がよく通るのはさすが。
日本語とドイツ語が入り混じっての第3幕。時々イッセーさんがちゃんとドイツ語を喋っていると逆に「あ、ちゃんとドイツ語も喋ってる」なんて思ってしまうくらい(笑)。前回森久美子さんのフロッシュも見たけど日本でやるんだからこういう感じはいいよねって思います。
オーケストラの人たちが声を出した時はすごく大きな声でちょっとびっくり。いろいろオケも参加でそういう演出も楽しい!。
歌手について
今回一番見たかったのはやはりアイゼンシュタイン役のアドリアン・エレートさん。細身なのに声が出るし、何より演技がうまくて久々にすっかりファンになってます。海外に追っかけしたいくらい(笑)
強いて言えばもっと若い頃から見ていたかった。
なんか憎めないキャラの人です。(マイスタージンガーのベックメッサーの時もそうでした)
うれしいとついつい足を小刻みに動かしちゃったりしているので、もう彼の演技から目が離せないです。
第2幕パーティのシーンでフランクとつたないフランス語で挨拶するシーンも毎度何をいうか楽しみ。
最初の「ウィーウィー」の間がまず最高!もうこのシーンは永遠に見ていたいっていつも思います(笑)。
そして第3幕で弁護士のふりをしていたときに「私はアイゼンシュタインだぞ」ってばらすときの声はさすがの良い声。(変装のカツラも妙に似合ってました笑)
パーティの踊りのシーンでもバレリーナと一緒に一生懸命足を高くあげてましたね(笑)
妻のロザリンデ役はエリー・ディーンという人。大人っぽい顔立ちでアデーレとは雰囲気が違うのでチャールダーシュが似合いそうな人。
チャールダーシュはもっと迫力とかすごみがあってもいいかなと思ったけど3幕とも衣装も舞台姿も良くて、見栄えがする人だと思いました。特に2幕の衣装と仮面は派手でよかった。
アデーレ役はアナ・クリスティーという人。私はこの人は初めてだと思いますが、第1幕の登場シーンはおっ!と思うインパクトある声。
2幕以降ではドレス姿が似合いすぎてどう見ても小間使いが洋服を借りてきたとは見えない美しさ。
ルチアとかラウレッタとかを歌っているみたいで、確かにそっちがより合いそうと見た目では思いました。
第3幕のアリアではもっと声が出そうだけどなあと思っていたら、最後のところでは思い切りちゃんと声が出ていて、そういう声のメリハリとか見せ方が上手な人なのかなとちょっと思いました。
アルフレードを歌ったのはジョン・テシエという人。
アルフレードって小柄なイメージがなぜかあるんですけど、今回のアルフレードは主役のようなかっこいい見た目。
アルフレードの魅力は個人的には美しい声もさることながら、何をちらりと歌ってくれるかなという楽しみ。
今回も魔笛やトゥーランドットなど美声を聴かせてもらいました。日本のうたのところは残念ながらよく聞き取れなくて‥。
そして大事なオルロフスキー役を歌ったのはエミリー・フォンズさんというメゾソプラノ。
この人は数年前に子供と魔法で子供役をやっていたと思います。
前回は子供役で今回は個性的な男性役とガラリと違う役ですが、ヒゲをつけてカチッとした身なりはスレンダーな体によく合っていました。
退屈な富豪という感じはあまりしなかったけど、第2幕パーティの終盤で大きな声を出すシーン、あそこはインパクトあってすごくよかった!。
刑務所長フランクを歌ったのはデール・トラヴィスという人。
たっぷりした身体の見た目と貫禄はピッタリ。
もう少しお茶目な感じが欲しいなと思ったけど、裏を返せばまじめ系の役によりピッタリはまりそうな人かもって思ってました。
こうもりのお膳立てを仕組んだファルケ博士にはエリオット・マドアという人。
見た目が独特なので、すぐに彼とわかるの存在感がある人。
第一幕でアイゼンシュタインと「これからパーティーに行くぞ!」2人で楽しく歌うシーンはとてもほほえましかった。
見た目がエキゾチックで覚えやすいしまだ34歳と若いんですね。
これからいろんな役にはまっていきそう‥そんな予感。
弁護士のブリント博士にはジャン=ポール・フーシェクール。この人実はかっこいいんですよね。そしてテノール声。
ちょっとこの役にもったいないような気がした人でした。別の役で見てみたいなと思った人でした。
唯一日本人ででていたのがイーダ役の栗林瑛利子さん。イーダは歌うシーンがないけど結構目立つ役。
声がよく通っていたし海外の人たちに負けない美しさで目を引きました。
というわけで大好きなこうもりをとてもとても楽しませてもらいました。
一番たくさん見ている演目だけどあきるどころか見れば見るほどまた見たくなる、そんなオペレッタです。
今回の公演をしてくださったみなさんにありがとう!って言いたいです。
コメントを残す