アナクレオン・ラモー作曲2021年12月北とぴあ

北とぴあで珍しいオペラを見てきました。

ラモー作曲のアナクレオンです。

オペラと呼んで良いのかどうかわからないのですが、「アクト・ド・バレ」と書いてありました。

パンフレットを見てもたびたび出てくる「バレ」という言葉。

バレエのことなのか全然関係ないのか?

それがなんだかずーっと気になってしまってモヤモヤしちゃいました。

事前に講習かなんか聞いた人はわかっているのかもしれないですが‥。

まあ何はともあれ、ラモーといえばオペラの中でもすごく古い部類。

アナクレオンはなんと1757年版とのこと。そんな古い作品を生で見るのははじめて。

なので一体どんな音楽なのか、どんな舞台なのか楽しみでした。

アナクレオンは短い作品でこちらは休憩の後です。前半はリュリやラモーの短い曲と古典舞踊。

全部見終わって率直な感想は「とてもよかった」です。

バロックオペラのイメージって全体に長めでアリアも長め。時に退屈で眠くなることもあるんですけど

前半も後半のアナクレオンも全然退屈などすることもなく、音楽と踊りを楽しめました。

特に前半については踊りの効果がすごく大きかった気がします。

古典のバレエは現代のバレエと違って手を高く上げることもなく、足を180度あげることもなく、

どちらかというとステップ重視という感じの上品な踊り。

これをフランスの王侯貴族たちも踊っていたと聞くと、こういう感じの踊りならなるほどねとそんな気がしました。

ちょっと真似してみたくなるようなステップと踊りです。

ルイ14世がハイヒールを履いている有名な絵がありますが、ああいう靴を履いてこういうダンスを宮廷で楽しんでいたのかなとそんなことを思いながら見てました。

前に古い時代のオペラにはパントマイムのようなバレエがあったっていうのを何かで読んだ気がするのですが、

今回後半のバレエはまさにパントマイム的な感じだったのかなと。

もう少し時代が新しいオペラはバレエがあったり無かったりしますけど、古い時代のオペラには何かしらの踊りは必ずあったっていうことなのかも。

今回の公演の踊りは、フランスからのピエール=フランソワ・ドレさんという人と、松本更紗さんの2名でしたが、音楽に踊りが加わるとやっぱり目にも楽しいですねえ。

このドレさんという方はいかにもこういう作品に慣れた感じで華やかな雰囲気。

そして松本更紗さんは清楚な見た目。古典の踊りの方は挨拶のやり方も頭を下げないちょっと独特のお辞儀。

ほぼ出ずっぱりで軽やかなステップと品の良い踊り。衣装も何度か変わって良かったです。

今回の演奏については「オリジナル楽器使用」と書いてありました。

古い時代の作品なのでたぶん元のままの音を出すなんていうのは無理だと思うので今回考案のオリジナルっていうことなのかなと。

見たことのない楽器や、柔らかい笛の音はいかにも古楽器という感じ。あの笛の音はフルートとはまた違っていいですよねえ。

それにしてもこの時代の音楽って「物悲しい」っていう言葉がぴったりの曲が多い気がします。

前半の歌は波多野睦美さん。メゾソプラノ。

ふくよかな美しい声でした。

さて休憩をはさんで後半がアナクレオン。

タイトルを歌ったのはバリトンの与那城敬さん。色男系の役が多いのかな。スタイルがいいですもんね。

日生劇場のメリーウィドウでダニロ役をやっていたのが印象的。その時の相手役が嘉目真木子さんだったかと。

愛の神を歌ったのがメゾソプラノの湯川亜也子さん。北とぴあのリナルドでアルミーダ役だったと思いますが、

今回もとてもいい声。

あとバッカスの巫女役にソプラノの佐藤裕希恵さんという方。この人もはじめてかな。

これから活躍していくのかなと思いました。

合唱も10人以上はいましたけどそれほど多くない割に迫力あるなという響く声。合唱の声も好きなんですよね。

最後はみんなで踊っていましたけど、足をちょっと動かすだけでも松本更紗さんのステップと他の人のステップは全然違うなあなんてつい比較してしまったのでした。

今回はチケットの値段は一番高いSS席でも5000円というお手頃な価格。

でもパンフレットはすごくちゃんとしてるし、この満足度。すごく楽しめました。

客席は満席では無かったけど終わると惜しみない拍手がずーっと続いていました。

新型コロナで自粛中は出演者同士が手を繋いで最後に挨拶をするのも控えていたようですが、今回は手を繋いでの挨拶。やっぱりこの方が自然でいいです。

この2年間に無くなったり延期になった公演も多かったので、みんなこういう場所を求めていたのかなと惜しみない拍手をきいてそんな気がしたのでした。

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