ルイーズ・シャルパンティエのオペラ

ギュスターブ・シャルパンティエは、フランス生まれの作曲家です。

現在上演されるシャルパンティエのオペラで、有名な演目はルイーズというオペラ

ルイーズとジュリアンという、二人の若者とその周りの人々を、描いたストーリーです。

シャルパンティエが作曲した当時の、人々の様子がうかがえるオペラなんですよね。

ストーリーは違うのですが、お針子のルイーズと詩人のジュリアンが出てくるという設定は、プッチーニのラ・ボエームと似ているオペラでもあります。

 

 

シャルパンティエ

 

シャンパルティエという人は、1860年パリから東にいったドイツに近いデューズというところに生まれました。

そして、音楽を正式に習うのは、デューズより北のリールの音楽学校だったようです。

リールという都市は、デューズに比べ劇場や博物館、美術館などが多くある都市でした。

音楽を習うには生まれた場所のデューズでは無理だったのだと思います。

そして、その後パリにでて、作曲家マスネに師事しているんですよね。

 

シャルパンティエは、多くのオペラ作品を残していません。

オペラ作品は、「ルイーズ」とその続編の「ジュリアン」などがありますが、

ジュリアンは初演当初からあまり人気が無く、現在ではほとんど上演されなくなっています。

 

シャルパンティエのオペラは、フランスの作曲家マスネに作曲を習っているだけあって、マスネっぽいロマンティックな感じです。

音楽とセリフ、劇が融合している盛り上がり方は、ワーグナーのような部分がある音楽かなとも思います。

 

さて、このルイーズというオペラは、フランスではとても人気が高いのですが、

それは、舞台がパリで、モンマルトルやモンパルナスという地名で、象徴されるような

ボヘミアンたちを扱った作品だから、ということがあると思います。

日本人にわかる日本人らしい感覚があるように、フランスならではのフランスらしいオペラと言っていいのじゃないかと思います。

 

シャルパンティエは、多くのオペラを作ることはせず、オペラ・ルイーズが成功した後、ミミ・ピンソンという音楽院に力を注いでいます。

ミミ・ピンソンというのは、主に労働する女性のための音楽院で、

無料でレッスンを行い、年に一度の劇場やオペラに参加できるという場所でした。

彼がなぜ、作曲よりそちらに力を注ぐことになったのかは、はっきりとはわかりませんが、

本人も決して裕福な生まれではなく、働きながら音楽を習っていた過去や

かなり社会主義的な意識、思想が高かったことなどがあるのではないかと思います。

ミミ・ピンソンという名前は、その後も働く女性を象徴するものとして様々な運動のシンボルとしても残っていくのですが、

もともとは、シャルパンティエは、オペラルイーズに出てくるような、普通の女の子にいろんな可能性を与えてあげたかったのではないでしょうか。

とはいえ、当時のフランスには、女性は一生懸命働く夫のために家庭でやるべき作業がある、という考え方も根強かったようで

それについては賛否両論あったようです。

日本でもそのような風潮は長らくありましたよね。

 

 

作風と時代背景

 

1860年生まれのシャルパンティエが生まれたのは、ナポレオン・ボナパルトの甥ナポレオン三世が統治する第二共和政の時代でした。

労働者階級が台頭し、この時代は、労働者の指示を得ずには、政治も回らなくなってくる時代です。

産業革命を経てから、1914年第一次世界大戦がはじまるまでのパリは、

ベル・エポック(良き時代)と呼ばれる繁栄期でもあったという時代背景でもあります。

 

若者の中には、画家や詩人などの芸術家を目指す、自由な思想をもつ人たちが多く現れたわけです。

彼らが集う場所がモンマルトルやモンパルナスと呼ばれるところ。

そんな時代背景がこのオペラ・ルイーズには、多く描かれています。

 

一方で、彼らは定職に就かず貧しい者が多かったので、大人たちの非難の的にもなったわけで、

そんな時代背景も、描かれている作風であるのが、このオペラ「ルイーズ」だと思います。

 

ルイーズはお針子の仕事をしていて、

ジュリアンは、定職に就かない気ままな詩人

ルイーズの両親は、あんな男と付き合うな、となるわけです。

 

ルイーズが初演される1900年という年は、パリで万博が行われた年でもあります。

地下鉄や百貨店ができるなど、

新しいものもどんどん出来て、パリには多くの人が溢れ、人々の生活も変わっていった頃。

 

まさにパリが変化し、繁栄していった真っ最中という時代背景だったんですね。

 

そんな中、自由に夢を追って生きたいけど、なかなか思うように行かないと感じる、

若い人達のもどかしさは、いつの時代もあるような気がします。

 

 

あらすじと上演時間

 

上演時間

  • 第一幕:約40分
  • 第二幕:約50分
  • 第三幕:約50分
  • 第四幕:約35分

正味3時間弱あるので、休憩の回数にもよりますが、いずれにしても、かなり長く

4時間程にはなるかと思います。

グランドオペラではありませんが、かなり長いですね。

グランドオペラとその歴史

 

 

あらすじ

第一幕は、労働者層が住む住宅の屋根裏部屋。

そこにいるルイーズと、向かいのテラスにいる、恋人ジュリアンの語り合いから始まります。

ルイーズの母親は、あんな男と付き合うなと、反対しています。

第二幕は、ルイーズが働くお針子の工場のシーン、ジュリアンがきて駆け落ちをしようと。

第三幕では、駆け落ちした二人の元に、母親がやってきて、父親が具合が悪いから、娘を一時返してくれと。

ところが、これは、娘を連れ戻すための嘘で、第四幕では、連れ戻されたルイーズの家。

両親と意見が合わず、ついに、ルイーズは家を飛び出す。というあらすじです。

 

嘘をついて、娘を連れ戻すところや、父親が考えを押し付けるところなど、まさにドラマのようなあらすじです。

 

 

見どころ

 

シャルパンティエのオペラは、ロマンティックで情熱的でもあり、流れるような旋律が続いていくところは、見どころ聞きどころだと思います。。

また、会話のやりとりも流麗な旋律でやりとりするところは、

なんとなくミュージカルの雰囲気もあり、

フランスの新たなオペラの形として見どころだと思います。

 

伝説や英雄のストーリーでもなく、引き込まれるようなストーリー性というわけでもなく、

どこにでもありそうな、普通の労働者層の家庭を題材にしています。

そのためルイーズは「フランスのヴェリズモ」とも言われたりするようですが、

イタリアのヴェリズモオペラのように、死者が出たりハラハラするような展開でもない、ということは、

フランス以外では、フランスほど人気がない所以なのではないか、とちょっと思います。

ヴェリズモオペラ

普通の家庭の、親子と恋人達のストーリーですが、

歌手にとってはなかなか大変そうな、オペラではないかと思います。

そこそこドラマティックな声が欲しいですし、高音も多く出てきます。

ドラマ性が高いので、演技力も必要なオペラで、そこらへんも見どころでしょう。

もしも、あまり歌がうまくない人が歌ってしまうと、もしかしてつまらないと感じてしまうかなと

思うオペラでもあります。

 

第三幕にルイーズが歌う「その日から」というアリアが単独でも歌われるアリアですが、

全体としては、流れるような歌が続いていくオペラで

美しい二重唱も多いです。

第三幕は、合唱も多く、最も盛り上がるところで、見どころだと思います。

 

また、二幕のモンマルトルの街の様子や、

三幕の同じくモンマルトルでの人々の様子は、当時の街の様子、人々の様子がよく描かれるところで、

舞台演出をどんな風にしているか、人々の動きなども見どころです。

 

 

歯がゆくてほろ苦く、またこういう親っているよねと思ってしまうオペラですが、

パリの古き良き時代って、こんな感じだったのかな、と思いながら、ルイーズを見るのもおもしろく、見どころではないかと思います。

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