アン・デア・ウィーンでオペラを見る(ウィーンのオペラハウスは国立歌劇場だけじゃない)

ウィーンにはウィーン国立歌劇場という有名な劇場と

次に有名なフォルクスオーパーという劇場があります。

国立歌劇場の方は主にオペラが中心で、一方フォルクスオーパーの方はオペレッタが中心に上演されているのですが、

実はウィーンにはもうひとつオペラを見ることができる劇場があります。

それがアン・デア・ウィーン劇場なんですね

歴史も古くモーツァルトの時代からあるこの劇場は長らくミュージカルの劇場となっていましたが、

最近は再びオペラを上演するようになりました。

建物だけを見るとウィーン国立歌劇場ほど重厚ではないものの、フォルクスオーパーより歴史を感じる劇場です。

そんなアン・デア・ウィーンについて感じた事、また行ってみたい人のためにチケットの買い方から、実際に見る時の注意点などをまとめてみました。

今回は実際に行かれた音楽家の方にインタビューさせていただきました。

 

アン・デア・ウィーンという劇場

 

アン・デア・ウィーン劇場でまず浮かぶのはパパゲーノ門という緑色が特徴的な門です。

この門はかつて使われていた入り口で、現在は入り口としては使われていません。

この門の上には笛を持ったパパゲーノと3人の童子が乗っています。

 

(パパゲーノ門と劇場の中です)

パパゲーノというのはオペラ「魔笛」の登場人物なんですね。

主役ではないのですがとぼけた楽しいキャラクターです。

実は私は、アン・デア・ウィーンという劇場は魔笛の初演の劇場なのかと最初思いました。

このパパゲーノという門があったからです。

でも魔笛の初演はヴィーデン劇場というところなんですよね。

 

そもそも魔笛を作るのをモーツァルトに勧めたのは、当時ヴィーデン劇場の総監督をしていたシカネーダーという人でした。

で、いろいろ紐解いていくと、ヴィーデン劇場の代わりに使われるようになったのがアン・デア・ウィーン劇場だったのです。

ヴィーデン劇場は現在はもうありません。

このシカネーダーという人は魔笛の台本も書いているし、初演では自らパパゲーノ役もやっているんですよね。

なんでもできちゃう人だったんでしょう。

このシカネーダーがヴィーデン劇場の代わりに作った劇場がアン・デア・ウィーン劇場だったのです。

アン・デア・ウィーン劇場といえばシカネーダー、そしてシカネーダーといえばパパゲーノということだったわけです。

オペラを見ているとこんなちょっとしたことから歴史が垣間見えて、ふうんなるほどねと納得したり、つながりがわかったりして、すごくおもしろくなるときがあります。

それもオペラの楽しいところじゃないかと思うんですよね。

まだまだ知らないことだらけですが‥。

シカネーダーがいなかったらオペラ「魔笛」も生まれていなかったと思うとなんともこの劇場にも感慨深いものを感じます。

ちなみにシカネーダーという人はこの場所にベートーベンも招いていて、一時アン・デア・ウィーン劇場の一角にベートーベンが住んでいたこともあるんですよね。

ここでベートーベンは彼の唯一のオペラ「フィデリオ」を作曲して初演しているのですから

そういう意味でもシカネーダーがいたからこそというのがとても大きかったんだろうなあと思ってしまいます。

(ベートーベンのことが書いてあります)

そんなアン・デア・ウィーン劇場は、近年はミュージカル劇場として使われていたのですが、

最近は再びオペラハウスとしてオペラの上演もやっているんですよね。

残念ながら私はアン・デア・ウィーン劇場でオペラを見たことがありません。

そこで今回は2019年2月にアン・デア・ウィーン劇場に行かれた音楽家の方にお話を聞きましたので

Q&A方式でちょっと書いてみたいと思います。

その時のオペラの演目はチャイコフスキーの「マゼッパ」だったそうです。

マゼッパとは珍しいオペラですよね。日本ではまだ観たことがありません。

 

アン・デア・ウィーン劇場の観劇方法について聞いてみた

 

Q:アン・デア・ウィーンの「マゼッパ」のチケットはどうやってとったんですか?その値段と支払い方法は?

A:インターネットで普通に取れますよ。支払いはカード決済です。座席も指定できます。マゼッパはロシアのオペラの引っ越し公演で、コンサート形式です。値段はすべての席が日本円で5000円以下程度だったと思いますよ。

(日本でも引っ越し公演って少ないのに、ロシアの引っ越し公演をウィーンで見るなんてすごくレアな体験ですよね、うらやましい!、コンサート形式ということもあると思いますが、引っ越し公演の割に安いのはやはり陸続きだからかも)

 

Q:アン・デア・ウィーン劇場の場所はどの辺ですか?

A:カールスプラッツから歩けますよ。

(そっか、カールスプラッツ駅といえばウィーン国立歌劇場とか学友協会に行く時もこの駅です。すごく便利な場所というわけですね)

 

Q:実際に入場する時はどうするのですか?

A:ネットでチケットをとった時にバーコード入りのページを印刷しておいて入り口でそれを見せればすぐに入れます。

 

Q:ご自身の座席の場所はすぐにわかりましたか?。どんな席でした?またコートは預けましたか?。

A:劇場に入ると係りの人がいるので、チケット(印刷したもの)を見せれば案内してくれます。3階の一列目だったので前に机があってなかなか良かったです。コートは預けなかったですね。席も6割程度の入りで余裕がありましたし。

 

Q:来場者の服装はどうでした?男女比は?

A:うーん、比較的服装はカジュアルでしたね。男女比はだいたい半々くらいかな。

(国立歌劇場と違って服装は少しカジュアルでも良さそう。マゼッパってかなりマニアックなイメージがあるのですが男女比半々なんですね、日本なら男性が多くなりそうだけど‥)

 

Q:パンフレットは買いましたか?どうやって買うんですか。

A:パンフレットを売っている係りの人が数人いて、手で持っているので声をかければ売ってくれますよ。現金のみでマゼッパは確か4ユーロ(約500円)でしたね。パンフレットはロシア語とドイツ語で書いてありましたよ。

(フムフムなるほど。日本だとパンフレットは小さい机で売ってるけど係りの人が持ち歩いてるわけですね。それにしても二カ国語で書いてるパンフレットは日本ではまだ見たことないかも。さすがヨーロッパという感じ)

 

Q:劇場の中はどんな感じでした?あと、舞台の作り方は?字幕は何語でしたか?

A:劇場は馬蹄形でしたね。マゼッパはコンサート形式だったけどオケはピットに入っていて、舞台には歌手と合唱がいる感じでしたよ。ただ、劇場自体はあまり響かないですね。生音という感じ。字幕は無かったです。

(え!まさかの字幕なしとは。ロシア語なのに?見に来る人のオペラレベルが高いのかなあ。コンサート形式って日本だとオケは舞台に乗ってるのしか見たことないんですが、アン・デア・ウィーンではコンサート形式でもオケはピットに入るんですね。いつもそうなのかマゼッパは合唱が多かったのかそこは不明)

 

Q:時間は何時からでしたか?休憩は?

A:19時開始でしたね、マゼッパは3幕まであるんですが、2幕を前後で分けて休憩は1回のみで20分でした。公演が終わったのは夜9時半頃です。お茶を飲む所はあるけど小さかったですね。

(開始時間は日本と同じ、終わりもだいたい同じ頃ですね。)

 

Q:観客の反応はどうでした?カーテンコールは日本と同じ感じですか?

A:ブラボーも出ていたけど比較的静かでしたね。というか途中はみんな拍手の場所がわからない感じでした。カーテンコールのやり方などは同じ感じでしたよ。

(やはりさすがのウィーンでもマゼッパはちょっとマニアックな演目なのかな)

 

という感じで、お話をお聞きしました。

なんとなくアン・デア・ウィーン劇場の感じが少しだけわかった気がしませんか。

コンサート形式だったのは、やはり費用がかかるからだったんでしょうね。ウィーンでもそれほどポピュラーではないようだし。

おそらくその辺の事情は日本と同じですよね。

ちなみにアン・デア・ウィーン劇場には専属オーケストラがいるわけではないようです。

そういうこともあって、今回のマゼッパのような引っ越し公演や、ちょっとマニアックなオペラを試みることができる劇場なのかもしれません。

ぜひ一度は観に行ってみたい劇場ですね。

ちなみにマゼッパはコンサート形式で今年日本でも上演されます。

2019年12月2日(サントリーホール)

楽しみ!

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