二期会フィガロの結婚・東京文化会館にて・お手本のような舞台かな

影のない女からの変更

フィガロの結婚を見てきました。

3連休最後の日曜日です。あいにくの冷たい雨の中でしたが、東京文化会館は駅から近いのがありがたいです。

  • 2022年2月13日
  • 場所:東京文化会館
  • フィガロの結婚(モーツァルト)

この日は本来ならリヒャルト・シュトラウスの影のない女の予定だったんですけど、新型コロナの影響でフィガロの結婚に変更になりました。ちょっと残念‥。まあでもオペラならなんでも楽しいから行こう!と。

当日の会場の入りはちょっと少なめ。一階の前半こそ埋まっていたけど。

ただ、これが影のない女だったらどうだったんだろう。そちらもかなりマニアックなオペラだし‥。

公演は1・2幕を続けてやり、一回の休憩のあと3・4幕をまた続けて上演していました。

さて、見終わった感想を一言でまずいうなら、うーんと「お手本のような舞台」という感じかな。

終始この感覚がありました。あとは全体に若々しくて華やかな感じがしました。

フィガロの結婚ってって何回か見ましたけど、結構ふざけた感じとか、やけにまじめな感じとか、わかりにくい時もあり、公演によっていろいろでした。

で、今回の舞台はすごくまっとう、うんそうそう、そうだよねというお手本のような感じかなと個人的には思いました。

舞台とか演出も比較的オーソドックスで歌も全員上手くて(下手な人がいない)、お芝居も全員普通に上手。そのかわりすごく目立つ人もいないというか‥。

そういう意味で「フィガロの結婚」の教科書のような舞台だった気がします。

個人的にはふざけたフィガロが割と好き(笑)特に伯爵が「変なやつ」になっているのが実は好きだけど‥。(あくまで好みの問題です笑)

伯爵のキャラクターってこのオペラの雰囲気を作る一つの鍵じゃないかと思うんですけど

こちら今回はまじめすぎることなく、かと言ってふざけすぎることもなかったけどこれが本来の伯爵像なんだろうなと。

それにしてもフィガロの結婚のお話ってやっぱり複雑。何度見てもピンを落とすところがいまいちピンとこない(笑)でもまあいいやって思ってみてます。

見ながら台本は誰だっけ?と思い‥。後で確認したらダ・ポンテでした。

ドン・ジョバンニコジ・ファン・トゥッテも書いた人。そういえばこの3つは似てますね。

あとどうしても長いなあってちょっと思ってしまって‥。第二幕前半はおもしろいけど後半にだんだん長いなあって思うのは私だけ?。

こんなことを思うと「無駄な音符はひとつもありません」と言ったというモーツァルトなので、「無駄な部分はひとつもありません」って言われそうですが。

この時代はこういうストーリー展開があたりまえだったのかも。

あと「フィガロの結婚」ってテノールがいないんだなって思いました。バジリオとか一応いるにはいるけど主要な役にはいないんですよね。

演出など

全体に簡素な舞台。1幕は椅子、2幕はベッド。それでも3幕は奥行きがあって豪華な壁。そして4幕は柱で隠れながらの舞台。4幕では柱が大きく動いていました。

衣装は黒白が基調のようで、ロジーナのドレスが淡い水色なだけでほとんどの人が白か黒。

マルチェリーナの衣装は、黒だけどこちらは奇抜な衣装でメイクも独特。一番舞台姿は目立っていました。

ケルビーノが女装するときに筒を二つスカートの中に入れていましたが、あれはスカートを膨らませるため?入れてもあまり変わらない感じがしたけど‥というどうでもいい疑問が。

バレエがあってもいいよねというところには今回も残念ながらバレエは無し。この部分の上品な舞曲の曲がいいんですよねー。

このところのオペラではバレエ部分はほとんどないです。色々経済的な問題とかあるんだろうなと思いつつ、バレエが入っているの舞台が恋しい!

歌手など

最初にも書きましたけど今回の歌手の人たちは全員レベルが高くて聞いていてちょっとハラハラするとかそういう人は全然いなかったです。

アルマヴィーヴァ伯爵を歌ったのは与那城敬さん。メリーウィドウのダニロ役が印象的だったバリトンさん。

最初の黒いコートの出立ちから「今回の伯爵は怖い人?」って一瞬思いましたが、やたら銃を向けたり枕を投げられたり、ちょっとおもしろさも。ほんとは2枚目3枚目どっちの役が得意なんだろうってちょっと思いました。

伯爵夫人を歌ったのは高橋絵理さん。この方ははじめてだったんですけど、舞台姿がとても綺麗な人でした。

後半髪をアップにしていましたけど、髪をおろしている時が特に雰囲気がある人だと。

伯爵夫人らしい品があって高音が良く聞こえてきてのびのびした歌声がよかったです。高音をもう少し聞いてみたかった。

あの日はどこへのアリアはいい曲だった!

スザンナ役は種谷典子さん。この方は2021年の魔笛でパパゲーナを歌った人でした。この時はほとんど顔が見えなかったのでどんな人かなって思っていたんですよね。

快活で良く響くビブラートが利いた声っていう感じ、でもそんなに軽い声というわけでもなく。とにかく安定度がすごいです。安心して聞いていられる感じ。

フィガロを歌ったのは近藤圭さん2021年のラ・ボエームでショナールを歌っていた人。ショナールの時はあまりわからなかったけど、今回は存在感たっぷり。バスかなバリトンかも?。かっこいい役系が多い人なのかな。

ケルビーノを歌ったのは郷家暁子さん。この方はヘンゼルとグレーテルアルチーナという全く違うタイプのオペラで見たことがありますが、今回は小柄でいかにもやんちゃなケルビーノ。

髪がショートで男性役だけど、どうしてもきれいな女性に見えちゃいました。

ケルビーノっていう役はなぜかふざけてばかりだけど哀愁を感じちゃう私。

郷家さんはメゾだと思いますけどどちらかというとソプラノっぽい声かなと。ケルビーノの歌って結構高い声もありますもんね。

ケルビーノのアリアはやっぱりいいですよねえ。このオペラの中で一番好きかな。

マルチェリーナ役は藤井麻美さん。今回個人的におもしろかったのはこの方でメイクも衣装も目立っていてよかった。

たしかヘンゼルとグレーテルで母親役をやった時も不思議なメイクをしていたと思うんですけど‥。

いきなり結婚したいと思ったのが息子だったっていう笑うしかない役だからやっぱり衣装も奇抜になるんでしょうね。

あとはバルトロが北川辰彦さん。この人がすごくうまかったんですよね。また是非聞いてみたいと。

バジリオ役は高橋淳さんという方で、今までみた中では一番スッキリイメージのバジリオ。

最後にバルバリーナは全詠玉さん。4幕冒頭のバルバリーナのアリアもしっとりいい曲なんですよね。かわいらしくて綺麗な声でした。

それにしてもひとつ屋敷の中で好きだ嫌いだといったい何やってんのかなあ、と改めて思ってしまうこのお話なのでした。

終わったら、会場はそれほど人が多くないのに、え?と思うくらい拍手が大きかったです!。みんな満足満足!。

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