オペラの鑑賞は、好きに鑑賞していいのはもちろんなのですが、
これを知っておくとオペラがより楽しくなるというちょっとしたコツを書いてみたいと思います。
アリアや見どころをチェックしておく
アリアというのは歌手の独唱の部分をいいます。
アリアはオペラの最も楽しいところの一つです。
また、アリアの他に二重唱や三重唱などの重唱、
あるいは大勢で歌う合唱の中にも、有名な曲があります。
オペラを鑑賞する前に、これらをチェックしておくのは、オペラ鑑賞のコツだと思います。
アリアは、オペラの中で、喜びや悲しみ、怒りといった感情を、最大限にあらわす場面です。
状況などの説明部分でアリアを朗々と歌う、ということはオペラではあまり無く、
通常は喜怒哀楽の感情が高まった時にアリアとなるのです。
重唱にも名曲がありますし、合唱がもっとも有名というオペラもあります。
オペラを見る前にそんなアリアや重唱、合唱をチェックしておくのはオペラを楽しむ鑑賞のコツだと思います。
有名なアリアはやはり良いですし、歌手の人たちにとっては腕の見せ所です。
中にはヴェルディのアイーダのようにアリアより合唱曲が有名、というオペラもあります。
チェックしておくことは
- 有名なアリアや重唱が何なのか
- それは何幕のどの辺りで出てくるか
ですね。
それを知った上で、今日の歌手はどんな風に歌うのかなと、見るのは楽しいし、鑑賞のコツでしょう。
ついでに言うと、多くのオペラには序曲から始まりますが、序曲というのは、
- オペラ全体のイメージを表す、または予感させるような序曲
- オペラの中に出てくるメロディーが入っている序曲
など、序曲もオペラにより個性があります。
序曲をつまらないと感じる人も中にはいると思いますが、
序曲についてもちょっとだけ前もって調べておくことが楽しく見る鑑賞のコツだと思います。
アリアは字幕を見過ぎない
オペラはイタリア語やドイツ語、中にはチェコ語など様々な言葉のオペラがあります。
一昔前の日本では、外国語のオペラを日本語に訳したオペラをよく見かけました。
オペラを見る人がまだまだ少なかったので、日本語の方が見てくれるからということがあったんですね。
ところが最近はほぼ原語上演になりました。
それだけ日本にオペラが浸透したのだと思います。
私などもやはりオペラは元々の原語で観たい方です。
ただ、母国語に訳して上演するということは日本だけでなくヨーロッパでもよくあったことで
イタリア人の作曲家であっても、依頼された劇場がパリならフランス語で作るとか
または、イタリア語のオペラをドイツで上演する時はドイツ語にするなどは、実はよくあったんですよね。
日本では、日本語の字幕しか出ないことがほとんどですが、国によっては複数の言葉を使う国がありますから
字幕についても2カ国語で字幕を出しているところもあります。
さて、字幕は舞台の左右(または上部)に表示されるのでどの席からでも見られるようになっています。
ストーリーを知るためには字幕はやはり必要ですが、
字幕を見過ぎないことも鑑賞のコツだと思います。
特にアリアや二重唱、三重唱など。
ほとんどのアリアは喜怒哀楽の気持ちを歌い上げることが多いので、
歌詞の内容は意外に単純です。
例えばですが、愛のアリアなら
「あなたを愛しています、この上なく、
こんなにも、愛しています。
こんな気持ちになったのははじめてのこと、
ああ、愛しています、こんなにも愛しているなんて・・」
という具合に、アリアは延々と「愛している」ばかりを歌うことが多いんですね。
歌詞にはたいした内容は無いというか‥。そんなもんです。
そのためアリアについては、それが悲しみのアリアなのか、喜びのアリアなのか、愛のアリアなのか、あるいは怒りのアリアなのかがわかれば
あとは、あまり字幕を見ずにアリアに聞くことに集中すると、よりアリアの良さがわかると思います。
そのためにもアリアについては若干調べておくのが鑑賞のコツといえるでしょう。
ただし、アリアの言葉がとても重要なオペラもあります。
代表的なのはマスネの「ウェルテル」やチャイコフスキーの「エフゲニー・オネーギン」など。
ウェルテルはゲーテの原作、そしてエフゲニー・オネーギンはプーシキンの原作です。
これらのオペラのセリフやアリアは他のオペラとは一味違って、言葉が誠に美しいのです。
さすが詩人だなと思う言い回しで、それはたとえ日本語に翻訳されていても伝わってくるものがありますから、
字幕もちょっと注意して見たいオペラですね。
自分の感性を大事にする
オペラの好みは変わっていく
オペラに接していくと、オペラについて難しいことがたくさん書いてある本があります。
音楽の専門的なこと、旋律のこと、調のことなどを言われても、音楽家でなければよくわかりません。
かくいう私もわかりません。
これは素晴らしいオペラだ!と言われてもピンとこないオペラも正直なところあります。
そもそもオペラの好みというのは変わっていくものだと思います。
私の場合は、最初のうちはロッシーニのオペラが好きで、ロッシーニばかりを続けて見ていた時期がありました。
それからしばらくして、ワーグナーのタンホイザーというオペラを見た時は、苦痛を感じるほどいやで、全くピンときませんでした。
はっきり言ってこのオペラはムリ!、嫌い!と思ったものです。
ところが、それから20年以上経つのですが、今ではタンホイザーは、大好きなオペラになっているんですね。
不思議なものです。
もし何かにこのオペラは素晴らしい、と書いてあっても、自分は全く良いと思わない、
そんな時も、全く気にしなくていいと思います。
今はピンとこないだけかもしれませんし、仮にずっとピンとこないかもしれませんが、
それは自分に合っていないということだけだと思うのです。
私の場合は、タンホイザーは後に好きになりましたが、時が経ってもずっとピンとこないオペラも実はあります。
たとえピンとこなくても、感動しなくても、
そういう時もあると気にしないのも、鑑賞の一つのコツじゃないかなと思います。
最終的には好きかどうか
人の感性はそれぞれだと思います。
だからオペラの感想も人それぞれだと思うんですね。
音楽理論をわかっていれば良いのか、感動するのかというと、そうではないと思いますし、
演じる人、演奏する側の人たちも、見る人にそんな専門的なことを求めてはいないと思うのです。
逆に、音楽のことを何も知らない人が感動してくれたら、それほど嬉しいことはないと思います、違うのかな。
見る人の感想には、これが正解というものは無いんですよね。
皆が同じだったら逆に気持ち悪いくらいです(笑)。
好みがありますし、何に感動するのかも色々。
だから、一番大事なのは自分がオペラを見て、または聞いて、心地よいかどうか、好きか嫌いかだと思います。
誰かが良いと言ってるからこれは良い、と思って見ても楽しくはないし‥。
自分が聞いていて心地よいものは、きっと自分に良いものをもたらしてくれていますから、
自分の感性に正直になれば良いと思うのです。
100人がオペラを見たら、100通りの感想があって良いと思うんですよね。
自分の感性に正直になるって
当たり前のことなんですけど、それがオペラ鑑賞のコツだと思うのです。
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