オペラの歴史がおもしろい・ギリシャ劇の復活からはじまった

現在オペラと呼ばれているものは、内容によって種類が分かれます。

オペラセリアや、オペラブッファ、ヴェリズモオペラ、ワーグナーの楽劇

など分類することができるんですね。

オペラの種類

ではそもそもオペラはどうやって生まれてきたのか、今回はオペラの歴史についてです。

 

歴史に残る最古のオペラ

 

現在最古のオペラと言われているのは、エウリディーチェというオペラで初演は1600年です。

作曲はベーリとカッチーニという人。

二人の名前があるのは、部分的にカッチーニが作曲しているからなのですが、

その他に二人が個々に全部作った同名のオペラもあります。

二人で作ること自体、今ではあまり考えられませんよね。

もっとも、二人は仲が良くて一緒に作ったわけではなかったようです。

(カッチーニ作曲のアヴェマリアという曲がありますが、その作曲者ではないです)

 

実はこれより3年前にもベーリが書いた「ダフネ」というオペラがあったと言われています。

でも、現存していないのでどんな曲だったのかはわからないのです。

ただ、ダフネの評判が良くエウリディーチェを作ったということはわかっています。

ダフネもエウリディーチェもギリシャ神話のお話なんですよね。

 

実はこの頃、つまり16世紀後半から17世紀前半にかけてなのですが、

ギリシャ劇の復活の風潮がありました。

これがオペラの歴史のはじまりのきっかけになったと言われています。

 

ダフネというギリシャ神話は

アポロンに言い寄られた妖精ダフネがそれを拒んだ末、自分の姿を月桂樹に変えてしまうという物語。

そして、エウリディーチェという神話は、

毒蛇に噛まれて死んでしまったエウリディーチェを、オルフェオが地獄に連れ戻しに行く物語です。

 

さて、歴史上初期の頃のオペラは、ギリシャ劇復活から始まったため

現在のオペラとは違い、朗唱が中心だったんですね。

朗唱というのは今でいう朗読のような感じです。

 

詩の朗読のようにお話を語っていくことがメインで、

情景や心情をより効果的に表すために

セリフの合間に合唱隊が歌を入れるような、やり方だったんですね。

 

現在のオペラは歌が中心であることを思うとセリフが中心だったのですから、そこは違っていたわけです。

 

さて、最初のオペラを作ったのはベーリですが、オペラの歴史上で

現在のオペラの原型とも言えるオペラを作ったのは

同じ時代のモンテヴェルディという人だと言われています。

 

代表作は

  • ポッペアの戴冠
  • ウリッセの帰還

ですが、

ベーリと同じ題材である、オルフェオとエウリディーチェのオペラ「オルフェオ」も作っていますね。

 

モンテヴェルディは、朗唱中心だった初期のオペラを、

より効果的に管弦楽を使い、楽器を多くし、合唱・重唱・効果音も取り入れていきました。

すでにアリアのような部分もできてきています。

 

この試みはオペラの歴史上画期的なことだったのです

今聞くと、モンテヴェルディはテンポがゆっくりで、どちらかというと「劇」という感じなのですが、

オペラと言われればオペラなんだなと思う、そんな感じでしょうか。

 

実は恥ずかしい話ですが、オペラを聴き始めたころは、

オペラの作曲家に

ヴェルディ、とモンテヴェルディの名前があり

二人の違いがわからなかったものです。

時代も作品も全く異なっていたのですが‥。

 

また余談ですが、あるところで詩の朗読に合わせて合間にバイオリンの演奏を入れるという試みを

聴きに行ったことがあります。

その時、バイオリンが入ることで詩のイメージがとても膨らむのを感じました。

このやり方はオペラの歴史の原型だったなと、今になって思います。

 

 

カストラート・モーツァルトがいる時代

 

モンテヴェルディによって現在のオペラの歴史の原型ができてくると、

オペラは主に貴族の娯楽として瞬く間に、広がっていきました。

そして、オペラの歴史はカストラートという去勢した男性歌手を中心としたスター歌手の時代になっていきます。

時代は18世紀頃のことです。

カストラートとカウンターテナー

 

初期には朗唱中心だったオペラは、あっという間に音楽の方に重点が置かれるようになり、

中でもアリアはもっとも観客が楽しみにするところになり、

アリアはスター歌手の技術をいかに見せるかという場面になっていきました。

 

観客はスター歌手を見るために劇場に足を運んだわけです。

テレビも映画もない時代ですから、スター歌手に熱中する気持ちはなんとなくわかります。

映画「カストラート」を見たことがある人は、あの中で歌声を聞いて失神するシーンがあるのを覚えているでしょうか、

あながち嘘ではないような気がします。

 

ただ、不思議なことに、歴史上カストラートが絶頂期だった18世紀は、多くのオペラが作曲されていたにも関わらず、

現在上演されるオペラはとても数少ないんですね。

 

カストラートという映画には実在したサリエリという作曲家も出てきます。

サリエリは当時絶大な力を持っていた人物で、

山ほどオペラを書いているのですが、現在ではほとんど上演されないんですよね。

 

「まずは音楽それから言葉」というオペラや「ファルスタッフ」(ヴェルディと題材は同じですが別物です)

がありますが、それすらあまり上演されていません。

 

オペラがカストラートなど、スター歌手ありきで書かれるような状況で、

素晴らしい作品は生まれにくかったということでしょう。

 

作曲家の意思に反して勝手に曲を変えられたりするのは日常茶飯事だったようですし。

天賦の才能に恵まれたモーツァルトはこのような風潮を嫌っていたとも言われています。

当然でしょうね。

 

ウィーンには現在もシェーンブルン宮殿という輝かしい宮殿が残っていて、観光名所になっています。

行ったことがある人も多分多いのではないでしょうか。

サリエリの「まずは音楽それから言葉」というオペラは、このシェーンブルン宮殿において

モーツァルトの「劇場支配人」というオペラ(セリフありのオペラ)と競演

という催しで上演されたのです。

 

当時はサリエリの方が有名だったにもかかわらず、観客の人気は

モーツァルトのオペラに軍配が上がったといいますが、それは現在残っているオペラの数を比較してもわかるところです。

劇場支配人という作品はとても短いのですが、びっくりするくらい良いアリアばかりで、モーツァルトの天才ぶりが凝縮されています。

劇場支配人レビュー

何度も聞きたいと思うのですが残念なことにあまり上演されないのは、時間が中途半端だからということもあるのでしょうか。

 

歴史上18世紀のオペラ作曲家はベルコレージや、パイジェッロなどもいますが、

何と言っても18世紀のもっとも偉大なオペラの作曲家はモーツァルトでしょう。

をはじめ、現在でも世界中で多くのオペラが上演されていますよね。

 

 

オペラの全盛期・ベルカントとヴェルディ・ワーグナー

 

歌手ありきのオペラのあり方に、

良い作品を作りたい作曲家が満足するはずもなく、

次第に世の中も本物を求めるようになります。

 

カストラートという存在自体も人道上認められなくなり、歴史上で徐々に消えていくことになります。

ほんの一部の才能がある子供しか、一流のカストラートになれないにも関わらず、

お金目当てにカストラートを目指し、子供を去勢させる親も多くなってきたからなんですね。

なんとも辛い話‥

 

そして歴史上19世紀になるとオペラの全盛期がやってきます。

イタリアにはロッシーニをはじめとして、ドニゼッティ、ベッリーニといった

イタリアのベルカントオペラの全盛期になってきます。

ベルカントオペラとべルカント唱法

 

ベルカントは美しい歌、とか美しい声という意味ですが、

カストラートに変わってソプラノがプリマドンナとして注目を浴びるようになります。

 

ベルカントオペラではソプラノ歌手やテノール歌手が

コロラトゥーラの技術などを駆使するとともに、オペラ全体も生き生きとした素晴らしい作品が数多く現れてきました。

などが有名ですね。

一方ドイツでは、ワーグナーが、オペラの歴史に新たな風を吹き込み

などを作曲し、オペラと呼ばずに楽劇という言葉も生まれます。

 

またイタリアでも、ベルカントというオペラの歴史の後を継いで、より劇的なオペラを作るヴェルディが台頭してきます。

など多くの作品があり、現在もっとも上演回数が多い作曲家と言ってもいいかもしれません。

このように、19世紀はベルカントと呼ばれるオペラ、ヴェルディ、ワーグナーなど

オペラの歴史上不可欠な巨匠たちがもっとも多く出ている時代と言えるでしょう。

 

 

20世紀のオペラ・ヴェリズモとプッチーニ

 

歴史上19世紀後半から20世紀になると、神話や宮廷をあつかう華やかなだけのオペラではなくなります。

貴族の力が衰退し代わりに資本家が力を持ってきて、社会全体が王制から変化してきた背景もあります。

物事を美化して表現するのではなく、現実を見つめてありのままに描いていこうとする

風潮になるんですね。

 

オペラの歴史上、イタリアではヴェルディに続いてプッチーニが出て来るとともに

市井の事件や暴力などをシリアスに描く、ヴェリズモオペラと呼ばれるオペラの分野が出てきます。

プッチーニのオペラは、それまでのヴェルディまでの歴史の流れと、新たなヴェリズモの流れの両方を兼ね備えたオペラと言えるかもしれません。

プッチーニは

などを作曲していきます。

 

ヴェリズモオペラを代表する作曲家としてはプッチーニの友人でもあったマスカーニがあげられ、

その代表作は、カヴァレリア・ルスチカーナです。

 

男女の三角関係のもつれから血統、死に至る、悲惨な内容で、そこに華麗さや、美しさはまったくありません

歌手にもコロラトゥーラなどの技巧ではなく、体全体で劇的に表現する難しさが求められるようになりました。

 

一方ドイツではリヒャルト・シュトラウスが現れます。

こちらはワーグナーの音楽を引き継ぐ形となり、

音楽と劇が融合した、オペラの数々を作曲していきます。

代表作は

など。

 

このように、オペラの歴史は約400年以上続いており、

現在でも、人々から愛され続けたオペラは、時の流れを超えて、

世界中のオペラハウスで上演され続けています。

 

日本でも1997年に、はじめて国立のオペラハウスができ(新国立劇場)

充実したプログラムのオペラが観られるようになってきました。

オペラの食事と休憩時間の過ごし方(新国立劇場)

 

まだまだ埋もれているオペラがあるのでしょうし、

さらに新しい新作オペラなども加わって上演されていくことでしょう。

今後、日本を含め、世界のオペラの歴史はどんな風潮になっていくのか、とても楽しみですね。

 

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