オベロン(ウェーバー)台本がわかりにくいけど

オペラと言うと、

オーケストラがいて、舞台にはオペラ歌手が歌を歌っている

と言うことはオペラファン以外の人でも知っていると思います。

でもオペラにも台本がありそれもとても重要だということは、意外に知られていないのではないかと、思います。

 

ウェーバーのオペラ・オベロン

 

オペラ・オベロンは、ウェーバーというドイツの作曲家が作ったオペラです。

  • 作曲家:ウェーバー
  • 初演:1826年
  • 場所:ロンドン
  • 原語:英語(ドイツ語もあり)

オペラ・魔弾の射手の成功の後、

ロンドンのコヴェントガーデンというオペラハウスからの依頼で、ウェーバーが作曲したオペラなのですが、

序曲は有名で単独で演奏されることがあっても、オペラ全幕が上演されることはあまりありません。

その理由の一つに台本の分かりにくいということじゃないかと思います。

オペラは筋書きがありますからおもしろいかおもしろくないかはどうしてもあります。

というか、

ちょっと変だなとか支離滅裂だなとか、終わり方がちょっと‥というオペラは実は意外に多いです。

そのために上演されなくなったオペラも実は多く、

ウェーバーのオペラ・オベロンもその一つ。

モーツァルトのオペラ・魔笛も台本がちょっとなんだかなあと思うのですが、それを吹き飛ばすほどの音楽の魅力があるんですよね。

でもこれはどちらかというとそれは稀な例ではないかと思います。

魔笛モーツァルトのオペラ

それほど台本というのは、オペラの良し悪しに大きく左右するものだと思うんですよね。

どんなに音楽が良くても台本のストーリーが腑に落ちないところがあると、

音楽に酔いしれる以前にどうしてもあれ?という不思議感の方が先にきてしまい、音楽に集中できなくなる気がします。

 

オベロンの台本

 

オベロンといえばシェークスピアの真夏の夜の夢を思い浮かべる人もいるでしょう。

オベロンというのは伝説上の妖精王で真夏の夜の夢にも出てきます。

ウェーバーのオペラ・オベロンは、ドイツのヴィーラントと言う人が書いた叙事詩「オベロン」の話が元になっています。

上演がロンドンだったのでこれを英訳さらにオペラ用の台本にしたものに音楽をつけたわけです。

英訳に問題があったのかそれとも最終的な台本に問題があったのかそれとも劇場側からの要望がいろいろあったのか、

細部のところはわかりません。

いずれにしてもオベロンはおとぎ話だとしても場面が変わり過ぎること、

そして、ストーリーが一貫しておらず、何を言いたいのか見えてこないことで

見ている側は、不思議感があると思います。

妖精の森から、バグダッドへ舞台が変わり、

異国情緒ある世界に来たかと思うと、フランスに渡るために船へ

船が難破して、島に漂着したあとは、

場面はアフリカのチュニジアに移り、

さらに最後にフランスに戻りカール大帝の宮廷へ。

と言う具合。

場面の変化だけでもすごいと思いませんか。

台本が分かりにくい上にこれを上演するとなると、場面をセットするのだけでも大変です。

もともとは長いストーリーなのでそれを全て盛り込んで、2時間程のオペラにするのはやはり難しいものなのだと思います。

 

初演がロンドン

 

ドイツ人のウェーバーがロンドンの人たち向けにオペラを作る際は、

やはりロンドンの風土に合ったオペラを作らなければならないので様々なハードルがあったと思います。

オベロンがドイツの詩人の作品とはいえ、それを取り上げたのはイギリス・シェークスピアの作品を意識したからかもしれませんし

また、場面がコロコロ変わるのは、ロンドンの人の好みを考えてのことがあったのではないかと。

実はウェーバーはオベロンの初演後数ヶ月で残念ながら病で亡くなっているのですが、

その後もドイツ語に訳されたり構成に手を加えて上演するなど後の人たちが努力しているのは、

それだけウェーバーの音楽が、埋もれるのがもったいないからだと思います。

 

上演時間とあらすじ

 

上演時間

  • 序曲:約10分
  • 第一幕:約45分
  • 第二幕:約45分
  • 第三幕:約45分

セリフのみの役もある、ジングシュピールの形式。

2時間半弱の上演時間、なので、休憩を入れると、3時間ちょっとと言うところだと思います。

 

簡単あらすじ

タイトルロールのオベロンは、妖精王

オベロンは、妻のティターニアと、ずっと心変わりしない男女がいるかどうかで、揉めている。

それを証明する若い男女が、

フランスの騎士ヒュオンと、

バグダッドのお姫様レツィア

困難を乗り越えて、二人の変わらぬ愛をみて、オベロンと妻ティターニアも仲直り。

物語の、キーとなるもののに、オベロンが渡す、魔法の角笛があります。

吹くと助けに来るところはまるで、アラジンの魔法のランプのようですが、

吹き方によっては別の効力があるところなど、実はおもしろい箇所がたくさんあるのにと思います。

角笛を表すのはホルンで、

序曲にもホルンが印象的に出てくるあたりは、魔弾の射手と似ています。

ウェーバーはホルンの音色が好きだったのかもしれません。

柔らかいホルンの音色は、私も好きな音です。

夢で見ただけで恋い焦がれたり笛が出てきたりするところはちょっと魔笛を思い出しますね。

 

もしウェーバーがもっと長生きしたらおそらく何度か修正を加えて、

現在までずっと人気の演目になっていたのではないかと思うと、残念な気がします。

オベロンを上演するとしたら演奏会形式がいいかもしれないですね。

オペラの上演形式

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