最初は拒否反応だったオペラ
今回はストラヴィンスキーの「エディプス王」というオペラについてです。
呼び方は「オイディプス王」となっている場合もあると思います。
またオペラ・オラトリオと呼ばれたりもするオペラです。
エディプス王は私がオペラに興味を持ち始めた頃、何でもかんでもとりあえず見ていた頃に「これは無理!」と思って途中で見るのをやめてしまったオペラです。(ビデオでしたが)
そんな風に投げ出したオペラはこの「エディプス王」ともう一つワーグナーの「タンホイザー」だったんですよね。
今ではタンホイザーは大好きな演目の一つになっているのですが‥
エディプス王の方は残念ながら今も大好きではないけど‥。
エディプス王というオペラはちょっと普通のオペラとは違っていて、ストラヴィンスキーの意図とか上演方法とかそういう意味を知らないとすごくつまらないオペラになってしまうんじゃないかと思います。
少なくとも私が最初に見た時は「ただのつまらない奇妙なオペラ」でした。
後になってもう一度意味を知ってから見るとまた違って見えたのです。
エディプス王の初演は1927年のこと。
初演の場所はパリのサラ・ベルナール座で演奏会形式でした。
サラ・ベルナールっていうのはかつていたフランスの舞台女優の名前から来ていて、この人は多くの絵画や像になっているんですよね。
国際的な舞台女優だったようです。
ちなみにサラ・ベルナールっていう人はデュマ・フィスの「椿姫」やユゴーの「王は愉しむ」にも出ています。
椿姫はヴェルディのオペラになっているし、王は愉しむもヴェルディの「リゴレット」と言うオペラになってるなあと思いました。
エディプス王の初演はリュスというバレエ団の公演の一環でした。
リュスといえば同じくストラヴィンスキーの夜鳴きうぐいすっていうオペラの時も最初はこの一座のバレエだったんですよね。
夜鳴きうぐいすはバレエかオペラかっていうオペラなんですけど、同じようにいえば、エディプス王はオペラかオラトリオか?っていうオペラじゃないかと思います。
歴史の教科書に出てきた三大悲劇作家のソフォクレス
エディプス王の元になっているのはソフォクレスの「オイディプス王」という悲劇です。
ソフォクレスっていうのはギリシャ三大悲劇作家の一人で、歴史の教科書に確か出てきたと思います。
他にはアイスキュロス、エウリピデスがいます(覚えてなかったけど‥笑)。
エディプス王はギリシャ神話にでてくるオイディプス王のことを書いた戯曲なのです。
エディプスコンプレックスっていう言葉を聞いたことがあると思います。
男の子が母親に抱く感情、あるいは女児が父親に抱く感情を心理学的にいう言葉ですが、まさにあの語源になったのがソフォクレスのオイディプス王ですよね。
オイディプス王は、知らなかったとはいえ父を殺し、母と結婚して子供までもうけてしまうという話なので今いうエディプスコンプレックスとはちょっと違うかなと思いますが‥。
この悲劇をオペラにしたのはストラヴィンスキーだけではなく、何人かの作曲家がかつて作っていたようで、道化師を作曲したレオンカヴァッロも作っているんですよね。
残念ながら見たことはありませんが。
レオンカヴァッロは未完のまま1919年に亡くなっていて、その後補完されて1920年に初演されたらしいのです。
遺作だったということですね。たしかにレオンカヴァッロは道化師のような鬼気迫るオペラを作ったわけなのでオイディプス王もいかにも手がけそうな題材かもって思います。
ちなみにリヒャルト・シュトラウスのオペラでエレクトラっていうのがあって、そちらは父を殺した母に復習をするっていうかなり暗いストーリーなのですが、それもソフォクレスが書いてるんですよね。なんとなく似てる‥。
ストラヴィンスキーの頃って、音楽の新古典主義っていうのが言われた頃で、バロックとかギリシャ神話とかそういうものを別の形で復活させようみたいな動きがあったらしいんですよね。
で、このエディプス王もその流れの作品らしいのです。なるほど‥。
ストラヴィンスキーのエディプス王の台本はジャン・コクトーっていう人ですが、この人はオペラの台本だけでなく劇作家でもあり映画も作っているひとです。
ウィーン初演の時はこの人の語りで上演されたのだそうです。
私が最初にみたエディプス王に語りがあったかどうかは覚えてないんですが、次に見た時は語りがありました。
初演はリュスのバレエが主だったわけですが、同時に上演されたこのエディプス王というオペラを見て観客は困惑したのだとか。
私も困惑したからやっぱりそうだよねーと、思っちゃいました。
とはいえ、最近ウィーンで観たオーランドほどは不思議じゃなかったかなと(笑)
不思議感は現代になるほど増すのかも。
オペラかオラトリオか
オペラは何語?でも書いたんですけど、オペラってイタリア語だと思っている人が多いみたいなんですけど、イタリア語以外のオペラも結構あるんですよね。
ドイツ語とかチェコ語とかロシア語とか。
ただ、ラテン語のオペラで今上演されているものってあんまりないんじゃないかと思うのですけど、エディプス王はラテン語なのです。
これはストラヴィンスキーの意思でそうなったのだと思いますけど‥。
ラテン語っていうことは誰もわからないっていうことですよね。
これって言葉を気にするなっていうことなのかな。それともなんなんだろうって。
このオペラはオラトリオ風のオペラと言われています。
オラトリオっていうのは聖書などが元になっていて、オペラのような演技とか背景はなく、聖歌隊などが歌で語っていくっていうイメージですね。
独唱もあるけど主に合唱が主だと思います。
オラトリオっていうとまずラテン語が浮かぶので、エディプス王がラテン語っていうこともあってオラトリオと言われるようになったのかも。ストラヴィンスキー本人がオラトリオだといったのかどうかそこは知らないのですが‥。
あと、ストラヴィンスキーはこのオペラを活人画風にしたかったらしいのです。
活人画ってピンとこない人が多いんじゃないかと思うのですが、絵画のような情景を人で作るっていうこと(だと思います)。
私の勝手なイメージですけど、オペラの舞台でも時々銅像だと思ったら実際の人だったりすることがあって、(比較的最近観たオペラだとファウストが確かそうだったかな)そういうことなのだろうと解釈してます。
ファウストの時の銅像は時々動いていたんですけど基本じっとしてました。(歌わなかったけど)
つまり動きが少ないし、衣装もちょっと変わってる、そんな感じかと。
そういうのを知らないでこのオペラを観ちゃうと、ヘンテコな衣装だったり、ほとんど動かなかったり、表情もなくて、すごくつまらないし、不気味なオペラに見えちゃうと思うのです。
オラトリオ風で、絵画のようなオペラになっているかどうかって思ってみると全然違って見えてくると思うんですよね。
エディプス王のみどころ
上にも書いたように普通のオペラとは違うっていうことをまず頭に置いてみるのが大事だと思います。
あと、語りがあると思うので、それも知っておいたほうが良いかなと。語りがあるとわかりやすいです。
1幕冒頭の男性合唱はなんとなく怖い(笑)
あと、最後のエピローグのところもちょっとおぞましい感じがする音楽です。それも知っておいて見るほうがおもしろいかも。どんな音楽かなと。
1幕のクオレの歌は結構勇壮な感じで、そういう聞き応えがあるところもちょいちょいあります。
ちなみにクオレっていうのはエディプス王の妻(実は母親)の弟、つまりエディプス王のおじさんですね。
あと合唱がオラトリオっぽい感じがするのでそれも見どころで聴きどころ。合唱が多いし、宗教的っていう感じかな。
太鼓が目立つ音楽のところが結構あって太鼓がリズムを刻んでくれているところは比較的聴きやすいかなと思います。
衣装とかメイクなんかもおそらく変わっていると思うので注目ですね。
変わったオペラだと思ってみると案外おもしろいんじゃないかなって思います。(不謹慎か‥笑)
最後にちょっと話が飛びますが、日本の能って能面かぶってるし、ほとんど動かないですよね。実は活人画に近いのかな?とちょっと思ってしまいました。(能の人に怒られそう‥笑)
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