スカラ座の天井桟敷

オペラの楽しみの一つに、豪華なオペラハウスということがあります。

日本はオペラの歴史が浅いので、劇場も現代風の造りです。

それもまた良いのですが、

オペラの発祥の地でもあるヨーロッパのオペラハウスの豪華さはやはり良いものです。

造りが重厚で赤を基調にした内装のオペラハウスなどは、行くだけでテンションが上がります。

今回は、イタリアのミラノスカラ座に行った際のオペラ鑑賞についてです。

オペラの歴史

スカラ座の天井桟敷と一般席

 

天井桟敷のチケット

私が最初にミラノスカラ座に行ったのは、今から10年以上前のことで現在とはかなり状況が異なっていると思います。

今の様にインターネットが一般的ではなかったので

チケットを事前に日本で購入するのはなかなか至難のことでした。

ミラノへの旅では、私だけがオペラ好きだったので、

当初スカラ座に行く予定もなく、オペラを見る予定もありませんでした。

ところが、実際にスカラ座の前に行ってみると、やはり行きたくなってしまったんですね。

確か演目はモーツァルトの魔笛だったと思います。

当日券を求めて窓口に行ってみたのですが、

チケットは無いとのこと(ガーン!)

もっとも言ってることがいまいちよくわからなかったので、時間的に当日券を売っている時間ではなかったのかもしれません。

そんな私たちに、声をかけてきたのがダフ屋のおじさんでした。

イタリアにもいるんですね。

騙されてもいいやという気持ちで

ダフ屋のおじさんからチケットを買うことに。

遠いイタリアまで次に来るのはいつになるかわかりませんから‥。

現在のスカラ座の当日券は、このようなダフ屋行為をなくすためか、

チケットを買う際は身分証明書を求められて、他人に売りさばくことができないようになっているようですが、

当時はかなりゆるかったんですね。

当時のお金で一人7000円ほど支払ったと思います。

3人だったので、24000円。バカみたいに高い‥(笑)

5時頃再度、スカラ座に来るよういわれ、

またそれぞれの名前を言われました。

私の名前は「スキアビ」(笑)

5時頃名前が呼ばれるので、呼ばれたら返事をしてチケットをもらうという仕組みでした。

正面玄関で普通に名前を呼んでいたのでほんと不思議な世界。

呼ばれた時に、返事をしなかったら飛ばされてしまうということなので、

聞き漏らさないか必死でしたね。

何しろイタリア人の名前なので、非常に聞き取りにくくて。

あの時の緊張感は今でも忘れられません(笑)。

「スキアビ!」と呼ばれた時、思わず「はいっ!」と日本語で返事をしてしまいましたが、

どう考えても、私はスキアビという顔ではないし、

日本語で返事するのもおかしいけど、特に何も咎められることはなかったのはよかった。

3人とも自分の名前の時に、無事に返事をすることができチケットをもらえたのですが、

それは天井桟敷のチケットでした。

どんなチケットかも何もわからず、買ったんですよね。どう考えても高かった(笑)

天井桟敷の席

スカラ座は馬蹄形の劇場で、ボックス型の部屋がいくつも縦型に伸びていて、

そのさらに上の、一番高いところに天井桟敷の席があります。

歌劇場の形式

天井桟敷はもっとも値段が安く当時は1000円程度だったと思いますから、

ダフ屋のおじさんは、かなり儲かってますね。

天井桟敷の席は通常の正面玄関からは入れず、脇のしょぼい入り口からでないと、行くことができないんですね。

天井桟敷はガレリアって言って、

INGRESSO(入り口という意味)I II GALLERIA(ガレリア)

って書いた入口があるのでそこから階段を登ります。

また、天井桟敷の席からそれ以外のランクの席に行き来することもできません。かなりの差別‥。まあ安いからしかたないか。

ちょうど歌舞伎座の一幕見のような感じです。

チケットが手に入った時は、夢のような気持ちだったのですが、

豪華な正面玄関から入れないとわかった時は、実はがっかりしました。

入り口も違う、椅子も違う、他のフロアにも行けない、すごく舞台を見にくい、というふうに

差別が顕著なので、どうせなら良い席で見たいと思ってしまうんですよね。

正面から入ろうとして遮られた時もかなり冷たく、あっちあっちという感じでしたしね。

まあでも結果としては、良い経験ができました。

さて、天井桟敷へは非常階段のような階段をカンカンと登っていきます。

一応席が決まっているのですが、かなり座り心地の悪い椅子で舞台も見にくく、

立って見ている人もいました。

天井桟敷には目と耳が肥えた、熱烈なオペラファンが、連日通ってきていて、

歌手や、演奏者にとっては怖い存在だということを、当時はまだ知らなかったので、

終演後ブーブーとブーイングする人がいたので、不思議に思ったものでした。

スカラ座のブーイング

まあそれでも、スカラ座の劇場を見られたことはワクワクすることには間違いなかったです。

ボックス型の劇場というのは、日本にはほぼありませんから。

それがなんとも優雅に見えたものでした。

スカラ座の一般席

次に行った時は、事前にちゃんと一般席を買って行きました。

今はインターネットで直接購入することが、できるので本当に便利になったものだと思います。

世界中のオペラハウスのチケットを取ることができますから。

一昔前、インターネットの普及がまだ少なかった頃は、

海外にオペラを見るためには、限られたエージェントに頼んで購入してもらうしかありませんでした。

当時主流だったのは、

  • JTBのワールドチケットセンターや
  • JALのワールドプレイガイド
  • ぴあのワールドチケットガイド

など。

これらに電話をして、欲しいチケットをお願いするしかなかったんですね。

しかもどの席になるかは不明。

金額もアバウトな金額。

また上演スケジュールもわからないので、そもそもどこで何をやっているかも、わからず、

無料の雑誌、ぶらあぼ(現在もあります)などを、参考にするしかなく‥。

最近、なんとなくオペラ人口が増えたと感じますが、その理由の一つは昔と違って情報が入りやすいということではないかなと思います。

さて、次にスカラ座に行った時は、JTBのワールドチケットセンターで、事前にチケットを買ったので

天井桟敷ではなく、念願の一般の席に座ることができました。

正面玄関から入れたんですね。やったー!嬉しい。

オペラハウスのボックス席は、日本には無い形式なので、ぜひ経験してみたかったのですが、

残念ながら、2回目の時の席はPALCO CENTRACEという席でした。

実はこれは、昔ならおそらく貴賓客が座っていたのだろうと思う正面の場所で、

よく見えるし、とても良い座席なのですが、

ボックス席を経験してみたかった私にとっては、またちょっと残念だったのを覚えています。

ボックス席は、その後別のオペラハウスで経験できましたが、

意外に見にくくて、思ったほどきれいでもなく(オペラハウス自体が古ければ仕方ないのですが)、そのため、普通のオープンな席の方が良いかも、と思ってしまいました。(わがまま言ってます笑)

ただ、個室感があるので、知り合い同士だけならボックスも気楽に見られていいかもしれないです。

ボックス席の椅子は移動できるので、その辺は自由な感じがしますね。

現在はインターネットでチケットを購入できるようになり、本当に便利になりました。

支払いもクレジットでできるので、振り込みの必要もありません。

購入履歴を印刷したものを、持参すれば現地の劇場でチケットに交換できます。

また、印刷物を持っていくだけで交換することもなくすんなり入ることができる劇場もあるようですね。

4月の上演スケジュールです。
R・シュトラウスのナクソス島のアリアドネ

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