蝶々夫人新国立劇場二期会・やっぱり日本でやると格別

なぜかみようと思わなかったオペラだったけど

プッチーニの蝶々夫人を見に行ってきました。

新国立劇場オペラパレスにて、二期会の公演です。

ある晴れた日・・」のアリアが超がつくほど有名なオペラなのですが、実は生で見るのは初めてです。

比較的よく上演されているのですが、個人的には「蝶々さんかあ、まあみなくていいか」とスルーしてました(笑)。

外国人が作った日本のお話って大抵おかしな部分があるし、オペラは西洋のイメージなのにわざわざ日本のものを見なくても‥どうせなら外国っぽい方が‥とか

そんなことを思っちゃっていました。

実際「ミカド」とか舞台は日本だけど内容はとんちんかんだし‥(音楽は別)

さてそんな蝶々夫人を今回生でみた率直な印象は

演出が日本らしくてさすが。障子が美しい、桜もきれい。

イザナミのお祈りをするとか、お坊さんと神主さんが出てくるとか不思議なところはあったものの

全体としては蝶々夫人の人となりはとても日本的、しとやかで控えめでまさに大和撫子、日本らしさがちゃんと出てるオペラなんだなと。そんな印象でした。

こんな風に日本女性を書いているジャコーザとイッリカの台本がやっぱりすごい、さすがとも思ったのでした。(それか原作もいいのかも)

また、演じるのも全員日本人なのでしぐさや体配がさすがで「これって外国の人じゃこんな風に演じるのは絶対無理だよね」と思うきめ細やかな舞台でした。

蝶々夫人はかわいそうではあるのですが、ピンカートンも悪い奴ながら(笑)後悔しているところに救いも感じたました。

とはいえ、子供を外国人の妻が引き取ったら不幸になるかもとか、いじめられる?とか考えなくていいことまで色々考えてしまった(笑)

このオペラが世界中で人気である理由が改めてわかった気がしました。

時間もちょうどいいくらいの長さですしね。

それにしてもあの着物姿で歌うのは苦しくないんだろうか、何か工夫があるんですかね。

頭も重いだろうし‥。しかも蝶々さんの歌の多さは半端なく多い。

やはり主役がとりわけ大変そうなオペラではありました。

演出のこと

幕が開くといかにも和風な舞台は、時代劇のよう。

これなら外国の人も喜びそう。

そして日本の障子って透けるし白くて美しいなあと思いながらみていました。

最近の住居には障子はなくなりましたもんね。

衣装も華やかな和服とカツラ。

一幕は猿田彦とか変な感じで出てきてちょいちょい「ん?」と思うところがあるのですが、

二幕の領事さんが出てくるあたりからこのオペラはすごくおもしろくなるんですよね。

音楽もアメリカと日本っぽい音楽がちゃんと入っていてここはプッチーニさんすごいです。

この曲なんだっけって思う日本らしい旋律があちこちで流れて実は心地よかったりしました。

それにしても、アメリカ人と日本人のお話をイタリア語で歌うっていうのはなんともオペラならではですよね。

躍動感あふれるプッチーニの音楽はいつも感動的ですが、二幕1場の最後、夜をあかしてピンカートンを待つ蝶々夫人。

そのシルエットとともに流れる静かな旋律もまた格別でした。

そして2場の前の間奏曲(?)もまた壮大。悲しい結末を予期するようなえぐられる音楽に感動

ふとプッチーニってもう少し後に生まれていたら壮大な映画音楽を作っていたりして‥と思ったのでした。

あとは今だったらゲーム音楽とかも。ゲーム音楽もいいのがたくさんありますもんねえ。

歌手について

この何十年かの日本のオペラを見てきて、つくづく日本のオペラ界はすごくなってきた!って肌で感じています。

海外の有名どころのオペラハウスに匹敵する舞台づくりや演出、そして歌手など。これトップレベルだと思っちゃいます。

珍しいオペラもちょいちょいやってくれるようになったし。

さて今回の蝶々さんも素晴らしい上演でした。

とりわけ良かったのは何と言ってもタイトルを歌った蝶々夫人の木下美穂子さん。

あの大変な役を最後まで声質も変わらず、演じ切っていたという感じでした。

木下美穂子さんはこうもりのロザリンデやローエングリンのエルザで見ていましたが、ワーグナーも歌えちゃう実力派だなあとは思っていましたけど、個人的には今回の蝶々夫人が一番好きでした。

若々しくてけなげ、信じ切っている女性像が見事に伝わってきました。

何度も言いますがあの衣裳を着てあの歌唱力ってすごいなと。

そしてピンカートン役を歌ったのは城宏憲さん。

この方はグノーのロメオ役でうまい人がいるなあと思って以来

オランダ人のエリックを見た時に、ゼンタはオランダ人じゃなくエリックを選んだほうがいい!とすら思ったほど印象的だったのを覚えているのですが

今回のピンカートンを見てもやっぱりよかったです。

途中ちょっとだけ元気がなくなった?と思った時もありましたが、つやつやした声と柔らかい見た目はイタリアオペラにぴったり!と思ったのでした。

これからますまず楽しみな人です。

それから領事のシャープレスを歌ったのは成田博之さん。

この方ははじめてだったのですが、まじめで真摯な雰囲気が領事役にぴったり。

第二幕から緊迫感のある盛り上がりを見せる蝶々夫人というオペラで、領事役はとっても重要なんだなということに今回改めて気づきました。

これからは蝶々夫人も必ず見たいオペラになりそうです。

日本が舞台のオペラを日本で見るのは格別に良いものですね。

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