グノーのロメオとジュリエット・もっと人気が出てもいいのにと思う

今回はグノーのオペラ「ロメオとジュリエット」についてです。

グノーは1818年フランスの生まれ。

フランスのいわゆるグランドオペラの時代に生まれていて、このオペラにもグランドオペラの特徴が見えると思います。

「ロメオとジュリエット」はロマンティックで情熱的な音楽なので、もっと日本で人気が出てもいいオペラだと思うのですが、

なかなかそうもいかないのはグランドオペラならではの事情もあるのかなと思います。

グノーのオペラとアベ・マリア

作曲したシャルル・グノーはフランスのパリで生まれています。

グノーといえば真っ先に浮かぶのはグノーのアベ・マリアではないでしょうか。

  • シューベルトのアベ・マリア
  • カッチーニのアベ・マリア
  • グノーのアベ・マリア

この三つは3大アベ・マリアと言われて数ある中でも特に有名ですよね。

グノーのアベ・マリアはバッハの平均律クラヴィーアの伴奏に乗せてグノーが作曲したもので

3つの中ではとりわけ透き通るような曲で、光というか明るさを私は感じちゃいます。

とはいいつつ、個人的にはカッチーニのアベ・マリアも好きでしつこく繰り返し聞いていた時期もあったのですが‥(笑)。

3つのうちどれがいいかと聞かれたらすごく困る質問だと思うくらい、どれも良いです。

さて、グノーはオペラも約20曲ほど作曲しているのですが、

一番有名なのが「ファウスト」、そして次がこの「ロメオとジュリエット」かと思います。

それほど上演回数は多くないオペラだと思うのでそれがちょっと残念なところです。

原作はシェークスピアのロメオとジュリエット。

オペラの内容もほぼ原作通りに進むので内容的にはわかりやすいと思うし、音楽も叙情的劇的かつ気品があるので私は大好きなのですが、

映画もあり、劇にもなり、バレエもあるのでどうしてもオペラは影が薄いのかもしれないです。

特にプロコフィエフの同名のバレエは個性的な音楽とともに有名なので影に隠れてしまったのかも。

何れにしてもプロコフィエフの曲がこれだけ人気なのだからグノーのオペラももっともっと人気が出てもいいと思うのですがやはり5幕7場もあると上演は大変なのかなと思います。

ジュール・バルビエとミシェル・カレの台本

フランスのオペラをいろいろ見ていると、

  • ジュール・バルビエ
  • ミシェル・カレ

の二人の台本作家の名前がよく出てきます。

そしてロメオとジュリエットの台本もこの二人で作っていてグノーのその他のオペラの多くも二人の作品が多いんですよね。

グノーの代表作であるファウストもそう。

さらに、ジュール・バルビエとミシェル・カレのコンビは

オッフェンバックのホフマン物語を始め、マイアベーアやサンサーンス、トマビゼーなど

フランスを代表するオペラ作曲家の作品の台本を実にたくさん書いているのです。

当時の、つまり19世紀のフランスオペラ界にはなくてはならなかった存在だったんですね。

ちょっと余談かもしれませんが、マイアベーアいう人はバリバリのグランドオペラの作曲家で、彼のオペラの台本はほとんどウジェーヌ・スクリープという人が作っていたのだと思っていました。

ところがジュール・バルビエとミシェル・カレのコンビもマイアベーアに台本を書いていたと知ってちょっと驚きだったのですが、二人が担当したオペラは

グランドオペラではなく、村娘やヤギが出てくる3幕の「ディノーラ」というオペラだったんですね。

つまり普通のオペラということです。

当時マイアベーアがグランドオペラ以外のオペラを作ったことに当時の人々は驚いたようなのですが、その驚かれた作品の台本がこの二人だったわけなんですよね。なるほどねと個人的もなんだかすごく納得。

ディノーラは当時かなりの成功だったようで、その後も海外ではそこそこ人気があるのですが、おそらく日本では上演されたことがないのではないかと思います。

私も残念ながら観たことがありません。見てみたいけど‥。

本物のヤギが出る時もあるとか(おもしろい‥笑)。

そんな埋もれたオペラがまだまだきっとたくさんあるんでしょうね。

それはさておき、現在まで上演され続けている作品の多くに彼ら台本二人の名前があるということは、彼らの台本の素晴らしさの証じゃないかと思います。

プッチーニのヒット作を手がけた二人の台本作家イッリカ&ジャコーザをちょっと思い出す二人の関係ですね。

先に亡くなるのはミシェル・カレなのですが、バルビエはその後カレの息子とも仕事をしていたようでかなり親密な繋がりだったのかなと想像します。

ロメオとジュリエットの初演は1867年なのですが、

その時グノーは49歳、ジュールバルビエは42歳、そしてミシェル・カレは46歳でした。

年も近い3人の力作ということですね。

初演の場所はパリのリリック劇場という劇場でした。

リリック劇場は1871年に火事で焼失してしまいますが、当時1000人程度の劇場だったようですから、ロメオとジュリエットの初演版も普通のオペラだったようです。

その後パリオペラ座用にバレエ付き5幕のグランドオペラ風に書き換えられていますが、おそらく私がみたのはこちらの版かなと思っています。

5幕まであり、グランドオペラっぽかったので。

ロメオとジュリエットの特徴と魅力

グランドオペラとしての魅力

現在もグランドオペラという言葉だけは残っていて、豪華なオペラにはこの言葉が使われたりしますが、

実際には19世紀にパリオペラ座で上演されていたようなグランドオペラが復活されることはあまりないと思います。

その理由は、5幕まであって時間も長いしセットも大変。

何より費用がかかることではないでしょうか。

実際グランドオペラの特徴でもありが衰退していった理由の一つもこれだったわけですし。

そんな中で、グノーのロメオとジュリエットと見ると、パリオペラ座のような豪華さには到底及ばないとしても

グランドオペラだなあと感じる特徴があるんですよね。

まず5幕まであるところ。

しかも3幕と4幕はそれぞれ1場2場がありますから全部で7場面あります。

やはりこれらの場面セットを揃えるのは大変なことだったと思います。

そして合唱の効果という特徴。序曲の後いきなりプロローグで合唱がどんと入るのはちょっと珍しいし、

その後も合唱は何度も出てきます。

合唱は力強さと華やかさを出すので、グランドオペラにはぴったりで、

しかも合唱の部分には力強く盛り上がる音楽になって、重厚かつインパクトが強いところはグランドオペラならではだと思います。

特にそれを感じるのは第一幕と第三幕。

第一幕の仮面舞踏会のシーンは、優雅な貴族の舞踊会を思わせる艶やかな曲とともに合唱も多く出てきます。

また第三幕後半は最も盛り上がるシーンですが、ここにも合唱が効果的に出てくるのが特徴です。

三幕の前半は神父ローランスの家のシーンなのですが、このしみじみとしたシーンですら最後は劇的になっていくのもグランドオペラだなと思ってしまいます。

各幕の終わりになるたびにこれで全部終わり?クライマックス?と思うような重々しい合唱はちょっとヴェルディっぽさも感じますね。

あちこちの盛り上がり方はフランス版プッチーニという感じもします。(順番的にはプッチーニが後ですが)

グノーのオペラの特徴

グランドオペラのことを書くとグノーの特徴は華やかで重厚な合唱音楽だけかと思うかもしれませんが、

アベ・マリアでもわかるようにグノーのしみじみとした曲もとても美しいです。

私が感じるグノーのオペラの特徴を言うなら

すべての音楽に気品があり、優雅だけど劇的という感じでしょうか。

このオペラを称して迫力にかけると書いてあるのもちょいちょい見かけるのですが

個人的にはとても劇的なオペラだと思います。

そしてグノーの音楽はなぜか暗いシーンでも明るい光を感じてしまうんですよね。それもグノーらしさの特徴かなと。

第三幕で小姓が揶揄して歌う曲は、決闘の引き金とも言えるのですが、それですら音楽だけ聞くととても揶揄には聞こえない美しい旋律で、純粋に曲を聞きたいと感じてしまうほどです。

このグノーの気品ある音楽についてですが、実はグノーという人はもともと宗教音楽を勉強していた人なんですよね。

それを知った時、だからこの人の音楽は澄んだ気品のある旋律なんじゃないかと思いました。

特にそれを感じるのは第三幕2場の決闘の後の鎮魂歌のような合唱のところ。

ここは重厚なレクイエムを聞いているような気持ちになりますね。

ロメオとジュリエットの見どころ

ロメオとジュリエットの見どころといえば、まずは合唱の素晴らしさ

合唱が諸所に出てきますが、その音楽はなかなか感動的で私などはゾクゾクしちゃいます。

もともと合唱って好きなんですよね。

一人の声でも感動するのにたくさんの人の声が集まっているから感動するのは当然かなとも思います。

第一幕は舞踏会の音楽が印象的で見どころ。

三拍子の貴族らしい音楽は第一幕の終盤でも出てきますが、華やかなオペラを印象付ける音楽だと思います。

そして第一幕でジュリエットが歌う「私は夢に生きたい」は単独でも歌われる有名な曲で、技術的にも難しいので歌手の見せ所でもあります。

第一幕はグノーの美しい旋律を味わうだけでも楽しい幕ですね。

第二幕は恋人同士の愛のシーン。

ロメオが歌う情熱的な恋の歌はジンジンと迫るものがあります。

忍び込んだ庭でこんなに朗々と歌っていいの?なんて思うほどです。

そして第三幕の神父の話の所はしみじみとしてこれも見どころ。

前半は高めの声が続くので神父さんの声と音楽はなかなか私が好きな所でもあります。

第三幕の後半はこのオペラの最も盛り上がる所で、見どころです。

決闘のシーンをどんな風に演出するかにもよると思いますが合唱効果を最も感じる場面だと思います。

第四幕はさすがアベ・マリアを作曲したグノー、という美しい曲で始まるシーン。

ジュリエットが婚礼で倒れるシーンではまたまた合唱が効果的で見どころ。

最後の第五幕は二人が死んでしまう悲しいシーン。キャプレット家の墓という場所で二人とも死んでしまうという設定はアイーダの最後を思い出しますが、

個人的にはアイーダよりこちらの方が劇的なんじゃないかと思います。

5幕はロメオの見せ場でもあるので、歌も大変ですが見どころでもありますね。

という感じで、見どころ満載のグノーのロメオとジュリエットです。

グノーの旋律と合唱を味わってもらいたいオペラですね。

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