オペラの上演時間ってだいたいどれくらいだと思いますか?
長いのか短いのか。
どちらかというと長いイメージがあるのではないかと思うのですが‥。
実際4時間を超えるような長いオペラもありますし、それほどまで長くなくても5幕まであるような作品もあります。
多いのは休憩も入れて2時間半から3時間程度ではないでしょうか。
幕でいうと、2幕ものか3幕ものが比較的多いですね。
でも短いオペラもあります。短いっていいですよね。なんか見やすい感じで。
1幕しかないオペラや、2幕だけど時間が短いオペラもあるんですよね
そしてファルサとよばれる一幕オペラもあります。
1幕ものもあるという発見
私がオペラを見始めたのは最初のうちはDVDだったので、オペラが2幕だろうが3幕だろうがあまり関係ありませんでした。
うちの中でバカみたいに(笑)ひたすら見ていたので、疲れたら一時停止して止めればいいし、途中でご飯を食べたり、お風呂に入ったり‥。
だから長いとか短いとか正直それほどわかっていなかったです。
短いオペラもあるというのが気になりだしたのは劇場に行くようになってからです。
そもそも短いオペラって少なくて、
というか現在上演されるものの中には短いオペラってかなり少ないんですよね。
かつては結構あったらしいんですけど。
最初のうちはやっぱり有名なのをみたいので、
っていう感じで有名どころのオペラを見て行きました。
で、そのうちに二本立てのオペラがあるって知ったんですよね。
たしか道化師+カヴァレリアルスチカーナ
だったかな。
1つが1時間程度で短いので、二本立てになっているのです。
へー、オペラって二本立てがあるんだって思ったんですよね。
短いオペラってどんなものがあるの
さて、短いオペラっていうと私の場合どんなオペラが浮かぶかというと
上に書いたレオンカヴァッロの道化師、マスカーニのカヴァレリア・ルスチカーナのほか
あたりかな。でも日本の場合、何と言っても道化師とカヴァレリア・ルスチカーナがやっぱり有名なんじゃないかと思います。
二つとも超有名な曲が入っているんですよね、
道化師は「衣装をつけろ」が有名、
そしてカヴァレリアは間奏曲が有名で、CMなんかでも使われてます。スケートでも使われたかな。
実は以前は1幕もののオペラのことは全部「ファルサ」って言うんだと思っていました。
「彼は1幕のファルサを作曲していたが‥」とか
「これは一幕のファルサであるが‥」
というような言葉を時々見かけたからです。
1幕ものは全部ファルサって言うんだと思ったんですよね。
ところが道化師とかカヴァレリアはファルサって書いてないのです。
ファルサってなに?
ファルサっていうのは、farsa(イタリア語)でオペラの中の一部のジャンルをさしていたのです。
一幕もの全部をファルサって呼ぶわけじゃないんですね。
日本で上演されるファルサは少ないけど例えばどんなものがあるかというと
- ロッシーニの結婚手形(1810年)
- ロッシーニの成り行き泥棒(1812年)
- ロッシーニの絹のきざはし(1812年)
- ロッシーニのブルスキーノ(1813年)
- ドニゼッティのカーニバルの木曜日(1828年)
- ドニゼッティの夜の呼び鈴(1836年)
- ドニゼッティのべトリイ(1836年)
など。実は私もこれらはほとんど見た事がないんですけど、(見たいけど‥)
ロッシーニで見ると比較的初期の頃の作品なのです。
ドニゼッティについては初期というわけでもないんですけど。
で、おもしろいのはこれらの多くがサン・モイゼ劇場っていうところで上演されているのです。
サン・モイゼ劇場っていうのはヴェネチアにあった小ぶりの劇場です。
初演の劇場を見てサン・モイゼってなってると「あ、これはファルサかな?」と思うくらいちょいちょい出てくるのです。
このサン・モイゼ劇場はすごく古くて(今はないですが)1640年にできています。
ヴェネチアのオペラは歴史が古いんですよね。
もっともサン・モイゼ劇場はファルサだけを上演していたわけではなかったようなんですけど、のちには喜劇中心になっていったようで、
おそらくロッシーニが上演していた頃は喜劇専門になっていたのだと思います。
イタリアでは、ロッシーニがファルサを作るよりもっと前の18世紀に、ドラマジョコーゾっていう
オペラというか音楽芝居が盛んでした。
その台本で有名なのがゴルドーニっていう人なんですけど
ゴルドーニはヴェネチアの人なんですよね。彼にちなんだ別の劇場もあるくらいです。
ファルサはフランスのオペラコミックの影響も受けているらしく、
上にあげたドニゼッティの「夜の呼び鈴」はフランスの笑劇が元になっているし、
「べトリイ」の方もオペラコミックで見たものをちょっとパクったらしいんですよね。
ドニゼッティはまだこの頃はパリに移ってなかったと思うのですが、いろいろ見に行っていたんだなとも思いました。
ということで、ファルサはイタリアの中でもヴェネチア中心で、ある一時期の一幕ものの喜劇風オペラっていう感じの括りかなと私は理解しています。
その他の一幕もの・すごく長い一幕ものもある
ファルサっていうのはイタリアのある時期の一幕ものなので、
同じイタリアでも道化師とかカヴァレリアは時代がもっと新しいし、見た感じも全然違っていて重いし喜劇じゃないので、ファルサとは言わないんですよね。
これらにはヴェリズモオペラっていう呼ばれ方が別にあります。
とにかく、なんでもかんでも一幕ものはファルサだと思っていた自分が恥ずかしい‥笑
で、プッチーニも一幕ものを作っていますけど時代がファルサではないわけです。
さて、ファルサとは呼びませんが、イタリア以外でも一幕もののオペラっていうのはいろいろあります。
- ジャン・ジャック・ルソーの村の占い師(1752年)フランス
- ドーヴェルニュの思い違いの恋人(1753年)
- チマローザのロンドンのイタリア娘(1778年)
- チマローザの宮廷楽師長(1792年)
- モーツァルトの劇場支配人(1786年)
- サリエリのまずは音楽それから言葉(1786年)
- スッペの美しきガラテア(1865年)
- 新しいところではメノッティの電話(1947年)
- メノッティのアマールと夜の訪問者(1951年)
などが有名なところかな。
これらのオペラは1幕なのでだいたい1時間以内で終わるのですが、中には1幕なのに長いものもあります。
それはワーグナーのラインの黄金。
指輪という4つで一つの物語になっているうちの最初の作品がラインの黄金。
これは1幕なのですが、なんと2時間30分もあります!
ありえない!。お尻が痛くなります。でもワーグナー好きには人気のオペラなんですよね。
そんな長い一幕ものもありますが、全体としては私は一幕ものって結構好きです。
やっぱり気軽に見れますから。
もっといろんな一幕もののオペラを見てみたいものです。
コメントを残す