ユグノー教徒あらすじと見どころ・ラウルの勘違いから始まった

グランドオペラの傑作の一つとも言われるユグノー教徒について

簡単あらすじと見どころについて書いてみます。

 

ユグノー教徒の簡単あらすじ

登場人物

  • マルグリット‥王妃
  • ラウル‥ユグノーの騎士
  • ヴァランティーヌ‥サン・ブリス伯(カトリック派)の娘
  • ネヴェール伯爵‥ヴァランティーヌの婚約者(カトリック派)
  • サン・ブリス伯‥ヴァランティーヌの父(カトリック派)
  • マルセル‥ラウルの家来(ユグノー)
  • ユルバン‥王妃の小間使い

簡単あらすじ

物語は宗派が異なるラウルヴァランティーヌの恋愛が軸となり、カトリック派とユグノー派の争い、それに両派の仲を取り持とうとする王妃がいて、悲しい結末へと向かいます。

ヴァランティーヌとネヴェール伯爵は婚約者同士なのですが

ヴァランティーヌは異教徒のラウルが好きで、実はラウルも同じです。

ラウルはユグノー教徒の指導者で、ヴァランティーヌに密かに思いを寄せていました。

ネヴェール伯爵のところにやってきたヴァランティーヌをたまたま見かけたラウルは、彼女がネヴェール伯爵の愛人だと勘違いしてしまいます。

この勘違いが大きな不幸を呼ぶのです。

実は王妃の取り計らい(両派の仲をとりもつ目的)で、ラウルとヴァランティーヌは結婚することになっていました。

そうとも知らず、勘違いしているラウルはネヴェールの愛人なんかとは結婚できない!と突っぱねたため、ヴァランティーヌの父(サン・ブリス伯)、ネヴェール伯爵、ラウルは刀を抜いて、場は騒然となり、ついに決闘へと。

ヴァランティーヌは元の予定通りネヴェール伯爵と結婚することになるのですが、愛のない結婚をすることに後悔もしています。

一方決闘の場に一人でやってきたラウルですが、罠にはまったラウルはカトリック派に囲まれてあわやという事態へ。

そこにユグノーの兵士たちが助けにやってきて、両派の争いになってしまいます。

それを止めたのはまたもや王妃マルグリット。そしてラウルはヴァランティーヌを誤解していたことを知ります

その日ヴァランティーヌの部屋に別れを言いに忍んできたラウルですが、そこでサン・ブリス伯たちのユグノー虐殺計画の話を聞いてしまいます。

虐殺に反対するネヴェール伯爵はなんと殺されてしまい(ネヴェール派人格者ですねえ)一方ラウルは仲間に危機を知らせに行きます。

ウラルを助けたいヴァランティーヌは改宗を勧めますがもちろん納得せず、

それならばと自分が改宗する決心をするヴァランティーヌ。

そしてラウルの部下も含めて3人で逃げるのですが、最後はサン・ブリス達に追い詰められて、

名前を聞かれて「ユグノー」と答えたため3人とも殺されてしまいます。

そしてサン・ブリスは殺したのが自分の娘だったと気づくのでした。(悲しい‥)

 

ユグノー教徒見どころ

5幕まであって正味4時間弱にも及びます。

パリ・オペラザ当時は出入りがかなり自由だったようで途中から見る人も多くいたらしいのですが、

現代のオペラは開演前に行って狭い席でひたすらじっと座って見なければいけません。

それだけでも結構きついですよね。飲んだり食べたりもできないし。

そういうのもあってか現在は部分的にカットしたりしてるみたいです。

私たちにはどこをカットしたのかわかりませんが‥。なので見どころに書いたけど無い!っていうこともあるかもしれませんがあしからずです。

第一幕・ネヴェール伯爵の家見どころ

第一幕で流れる2拍子の行進曲は調子が良くて個人的に好きなので見どころ聞きどころです。

1幕にも合唱があってそれが荘厳でヴェルディっぽい感じでそれもなかなかいいです。

いきなりあれ?ヴェルディみたいって思うんですよね。

第一幕でラウルが歌う恋のアリア「白てんの毛皮より白く」は静かな伴奏なので、歌がすごく目立ちます。

長大なアリアでラウルの見せ場だと思いますが、若干長すぎない?と思ってしまいました。公演によっては短くしているかもですが。

見せ場かもしれないけど曲としては私には普通かなあ‥。

家来のマルセルがやってきてうたう賛美歌はいかにもっていう曲ですが、オーケストラの音楽も素敵で、厳かで好きなところなのでおすすめで見どころ。

その後のユグノー兵士の歌「ピフ・パフ」。これがとてもおもしろい曲で楽器との掛け合いも変わっているというか、ぜひ注意して聞きたいところでこれも見どころ。

あと1幕終盤に王妃の小間使い役でウルバン(ソプラノかメゾソプラノだと思う)が出てきて「ある高貴で聡明なご婦人から」というアリアを歌うのですが、

これが、この役でこんなに難しい歌!?と思うようなアリアなのです。メゾにしてはすごく高音もあるし、超絶技巧だなあっていう感じなんですよね。

このオペラには一流の歌い手が7人必要っていわれるのは、この小間使い役ウルバン役も入っているのだと思います。普通に考えるとこの役にこんなに難しい歌にする?って思いますもん。

このアリアはメリハリがあって聞きやすい曲。というわけで第一幕はウルバンのアリアも聞きどころです。

第二幕・河川の上シノンソーの館見どころ

まず冒頭のマルグリットのアリア「おお、美しきトゥレーヌの国」はフルートとの掛け合いがとても美しいので見どころ。

フルートとの掛け合いはドニゼッティによく出てくるイメージなのですが、まさにそういう感じで、ドニゼッティはマイアベーアを参考にしたんじゃないかなと、このアリアを聞いて思いました。

というかフルートありのしっとりアリアは、ドニゼッティらしさだと思っていたのですが、実はマイアベーアが元だったのねという発見。

そしてこのアリアが超絶難しそうで、よくベッリーニのノルマは難しいといわれるけどそれよりずっと難しいんじゃない?と思いました。

長くて難しいこのアリアは見どころですが、ちょっと長くて大変すぎる‥って私は思いました。高音もすごく続くんですよね。

聞いてて感じたのはグランドオペラってプッチーニとかワーグナーと違って歌手の声がよく聞こえてくるんですよね。オーケストラがそういう風になっているんだと思いますけど。

それだけじゃなくなぜかオーケストラの音楽も全体にいいなあって特に感じたのがこの第二幕でした。

二幕は女声合唱にも注目で、合唱もグランドオペラならではのよさだと思いますが、よかったので見どころ。

第二幕でもウルバンのアリアはまたまた注目で「いえいえ決して」は、クラシック音楽っぽくないおもしろい曲でここはぜひ見どころ、聞きどころ。

あと演出によると思いますが女性たちが裸に近い姿で川に入るというシーンなので、それもどんな演出にするかちょっと見どころかも。私が見た映像は、え?と思うくらい、なまめかしい女性たちでした。

最後は一触即発の事態になるので、見どころたっぷりの二幕です。

第三幕・居酒屋と教会、そして決闘へ見どころ

第三幕冒頭はユグノーの兵士たちがいる居酒屋ですが、居酒屋の合唱「ラタプラン」がまたちょっと変わった曲で見どころ。ラタプランの前にも短い混声合唱があるんですけどそちらも変わった曲なので要チェック。

マイアベーアってちょいちょいこういったエッジの効いた曲がでてくるんですよね。だから音楽に飽きない気がします。

第三幕でもっとも見どころで良いと思うのはヴァランティーヌとマルセルのシーン。

しっとりしたヴァランティーヌの歌もいいしマルセルの歌もよくて(これ一番好きかも)

なんとなくしっとりとしてリゴレットの家で父と娘のシーンを思い出しちゃうんですよね。

ただ全般に言えるけどそれぞれが結構長いなという印象。

あと三幕はホルンがよく聞こえてくる印象。確かマイアベーアはウェーバーと同じ学校かな?に行っていたんですよね。ってなんとなくつながりを勝手に感じてました。

マイアベーアって先に作った悪魔のロベールの時はロッシーニっぽさがもっとあった気がしたんですけど、ユグノー教徒になると、それがあまりなくてヴェルディっぽさが多くなる気がします。

というか逆で、ヴェルディはマイアベーアを真似してるでしょ絶対!ってちょっと思った、それが第三幕は強かったです。

第四幕・ネヴェール伯の家、ようやく二人が会える

誤解が解けたもののすでにヴァランティーヌはネヴェール伯の妻に‥。

そんなラウルがヴァランティーヌに別れを告げにやってきて、ようやく二人が愛を確かめ合うのがこの第四幕。

冒頭のヴァランティーヌのアリア「花の間に我が夢は」はまさにドニゼッティや、ベッリーニのお手本になったんだろうなと感じる美しいアリアなので見どころ。

全体に聴きやすい音楽が多いのがマイアベーアの音楽ですが、ヴェルディなどに比べると、調子のいい音楽や、変わった音楽が多いので、音楽のメリハリは逆にマイアベーアの方があって楽しい気がします。

ヴァランティーヌという役はソプラノになっていますが、第三幕あたりから結構低い声も多くて、メゾっぽいんですよね。だから初演の人の音域に合わせているのかもとちょっと思いました。

初演はコルネリー・ファルコンっていう人です。この人については別の記事でも書いているのでよければそちらをみてね。

第四幕では男女混声の合唱もあり、勇壮で聞きごたえがあるので、それも見どころ。曲もいいです。

4幕最後のラウルとヴァランティーヌの2重唱はこれもまた、リゴレットでジルダが父に教会でマントヴァ公爵を知っていたと言う話を告白するシーンと最初がちょっと似てるなと感じちゃいました。

ただ、このシーンもやたら長めで、歌手は大変すぎる‥。しかも第四幕だから、疲れも出てきそう。

第四幕のヴァランティーヌは本当にメゾソプラノっていう感じ。とはいえ高い声もあるんですよね。だからやっぱりこれを歌う人は大変だと思います。

またネヴェールも虐殺を拒んで殺されてしまいますが、最初から両派の争いをなんとか避けようとしているいい人格の人なんですよねー。

という意味ではこのオペラって主要な人物に悪人がいないんですよね。

第五幕・悲しい結末

第五幕の1場は舞踏会のシーン。演出にもよると思いますけど5幕目にもバレエがあるの?という驚きもあり、バレエがあればラッキーで見どころですね。

5幕ではラウルは引き続き歌い続け‥

本当にラウルも大変な役です。初演はアドルフ・ヌーリ。若くして自殺しちゃうんですよね。

第五幕でラウルはヴァランティーヌの改宗の勧めに応じませんが、実話ではユグノー側が惨敗して一旦カトリックに改宗してます。

その辺、細かいところは違うとはいえ、改宗云々を盛り込むなど、かなり細部まで史実にある事を盛り込んでいるなあとは思います。

というわけで、ユグノー教徒の全体としての見どころは音楽のメリハリがあっておもしろいこと、そのため4時間と長いのに聞きやすいということ。

そして歌の時にオーケストラが静か目なので、アリアが聞きやすいです。(ちょっと長いけど‥)

また、史実(サン・バルテルミの虐殺)が元になっていて、細部は違ってもかなり史実を盛り込んでいるという興味深さ。

そして何より歌手の負担が半端なく大変なのでやはりそれが一番の見どころかも。

いつか生で見てみたいオペラですけどかなうかなあ‥。

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