コンサートは好きだけど
オペラには行かない、という人がいます。
一方オペラが好きという人は、普通のコンサートも好きだけどやっぱりオペラが一番、
という人がいるようです。
どちらもクラシック音楽という同じ分野ですが、ファンは微妙に住み分けをしているような気がします。
まわりを見ると、コンサートに行く人はいても、オペラに行く人はなぜか少ないんですよね。
オペラは、コンサートと何が違うのか、
今回はオペラの魅力と楽しみ方について書いてみたいと思います。
オペラは総合芸術
オペラは総合芸術だから魅力があるとよく言われています。
コンサートは管弦楽と指揮者だけですが
オペラにはそれにプラスして歌と演技と舞台がつくのでそう言われるのだと思うんですね。
でも音楽家ではない私にとっては、総合芸術だから‥という意識ははっきり言って無いです。
ただ単に、いろんな感動がもらえるから楽しい、
それは好きな歌手だったりアリアだったり
オーケストラが奏でる音楽に感激するときもあれば、
演出がおもしろいなあと感じるときもあり、
また、迫真の演技に感心したりその時々でいろいろ。
これが総合芸術ということなのであれば
確かに総合芸術だから好きなのかもっていうくらいのもんです。
オペラには演技の無いコンサート形式のオペラもありますが‥。慣れてくるとそれもまた良しですしね。
オペラの場合は、特に歌手の魅力や出来不出来に話題が集まりがちです。
もちろんオーケストラや、指揮者の力量も問われますが、はっきり言って
私はそちらはそれほどわからないのが正直なところです。
よほどでない限りほとんど全部良く聞こえちゃいます。
また演出や舞台もオペラには重要で、魅力的な要素でもありますよね。
演出についてはしばしば論議の的になります。
特に前衛的な演出の時は賛否が別れることが多いです。
とかく新しい試みは、まずバッシングは必ず少なからず起きるのではないかと思います。
古典的な場面設定だったオペラを現代解釈して、登場人物にスーツを着せたり、
宇宙服のような衣装をまとわせたりと、オペラも前衛的な演出がしばしば見られます。
また、最近は光や映像を駆使した演出が多くなってると思います。
演出というのはうまくいって当たり前というところがあるので、
実は最も批判されやすいところだと思うんですね。
だからオペラの演出って大変、と常々思っていますが、
今回はどんな演出かな、どんな舞台だろうという楽しみもあるんですよね。
私の場合、一番はやっぱり人の声が好きだからオペラが好きなんだと思います。
とはいえ、舞台もありバレエまで見られるオペラもあるので、様々な魅力があるのは確かだと思います。
オペラにはバレエもある
全てのオペラにあるわけではありませんが、オペラにはバレエも入っています。
豪華なオペラにはバレエも入っていて、それもまたオペラの魅力で、楽しみ方の一つです。
バレエはだいたい2幕に入っていることが多いですね。
パリのオペラ座では19世紀にグランドオペラというのが盛んだった時期があります。
豪華なオペラが基本で、当時のオペラ座の演目には必ずバレエのシーンがつけられました。
もともとなかった演目でもパリオペラ座で上演する場合は書き直させられたりしたんですよね。
かつては退屈さを拭うために、バレエを入れるなどとも言われましたが
実際オペラの中でバレエがあると楽しいので、私はバレエのシーンが好きですね。
そのくせバレエだけの上演は、ほとんど見に行かないのですが、オペラの中のバレエは好きなんですよね。
バレエはオペラのスパイスのような魅力かなって思っています。
比較的体格のいいオペラ歌手がいるところに、華奢なバレリーナ達がでてくると
ものすごくかわいらしく見えるんですよね。
まるで妖精のようです。
ちょっと失礼かもしれませんが、同じ人間?と思うくらい体の大きさが違うし、動きも違うんですよね。
どちらが良いというわけではないです。というのも、
オペラ歌手は、細すぎるより背が高めで多少横幅もあるほうがやはり舞台映えしますから。
そこらへんは歌舞伎と同じかもしれません。
歌舞伎は顔が大きいほうが良いと言いますよね。
バレエは同じ演目でも、その時々の上演によって、踊り方も人数、男女比なども異なるので、
そこがまた魅力の一つです。
オペラの楽しみ方にはバレエもあっていいのではないでしょうか。
今日のバレエはどんな感じだろうという楽しみです。
ミュージカルとの違い
かつて私はミュージカルが大好きで、よく観に行っていたものです。
ところがある時からオペラに移行して、ほとんどオペラばかりになりました。
今でもミュージカルを観に行くことは行きますが、少なくなりました。
ミュージカルとの違いはいろいろありますが、
私が感じる最も大きな違いは、オペラは生の声でミュージカルはマイクの声だというところです。
オペラはマイクを使わないんですよね。
オペラの発声というと、大きな声はもちろんですが、
細い声でもホールの端まで聞こえてきます。
そういう歌い方をしているんですよね。
それがまた魅力なのです。
いかに弱音を美しく出せるかというところは、私の楽しみ方の一つでもありますね。
もっとも、
ここぞという時は、思い切り大きな声も欲しいです。
管楽器も上手な人が吹くと、細い小さな音なのにホールの端っこまで美しく聞こえてきますが
声も同じだと思います。
歌手の体から聞こえてくる声は、ちゃんと隅々まで通るものです。
声も楽器、ということですね。
私の声がオケと共鳴して良く鳴ったのだと思う、
と言っていた歌手の人もいましたから、
歌手の方達も声は楽器、という意識があるのでしょう。
ミュージカルはマイクを通した歌い方になるので、オペラと同じような声で歌うわけにはいかないですよね。
ミュージカル俳優の人の中には音楽大学を出た人や、オペラをやっていて転向した人がたくさんいますが、
ミュージカルに転向すると、オペラにすぐに戻って歌うのは難しくなるといいます。
歌い方が違うからでしょう。
ただ、ミュージカルにはミュージカルの魅力と楽しみ方があると思います。
ミュージカルは、観客を楽しませるということに徹しているので、テンポが早く、楽しくて、飽きさせないことです。
歌が聞き取りやすいし、字幕を見る必要もなく、観客との一体感も大きいですね。
それに、ミュージカルはチケットも安めなので買いやすいです。
伝説の舞台になることがある
オペラはオーケストラ、指揮者、歌手、演出、舞台、合唱などたくさんの要素があって作り上げられている総合芸術なので、
すべてがうまくいく事はとても難しいと思います。
この歌手はうまいけどあっちの歌手はいまいちとか、
なんかちぐはぐでオーケストラと一体感がないとか、
音楽が生き生きしていないとか。
微妙に不満が残ったりするわけです。
全部がうまくいって、素晴らしい、というのは本当に難しいと思います。
そもそもオペラは歌舞伎やミュージカルのように、1か月間ずっと同じ演目をやり続けるということもありません。
日本の場合、同じ公演は3回から多くても4,5回でしょう。
4,5回やる場合はだいたいダブルでキャストを組んでますね。
つまり、ほとんどのオペラ公演は1回きりというものが多いです。
その1回きりの公演が、素晴らしい公演になるかもしれないわけです。
そもそも、オペラの上演というのは手間がかかりますから、
同じオペラがいつでも見られるかというとそうはいかないんです。
たとえば、今年は「ばらの騎士」の上演があっても次は数年後かもしれません。
特に有名どころの指揮者やオーケストラが関わる上演となると、次は二度と無いかもしれません。
オペラはそもそも上演回数も少ないので、100年くらいさかのぼって公演の歴史を見ても
伝説の公演というのはそんなに多くは無いんですね。
何十年前のたった一度の公演が、ずっと伝説として語り継がれていたりするわけです。
そしてそれを生で見ることができた人はとても幸せです。
だからここぞという公演はみのがせないんですよね。
また、オペラというのは、実はものすごくたくさんあるのですが、その中のほんの一握りのオペラが上演されているにすぎません。
なかなか上演されないオペラや、
日本初演のオペラも時々でてくるのです。
そんな上演があるときは、次また見ることができるのはいつになるかわかりません。
だから今見ておきたい、そんなオペラもしばしばありますね。
たとえ、伝説の公演でなくても、素晴らしい公演を観る事ができた時は、とても心が豊かになる気がします。
実はそれがオペラの一番の魅力と楽しみ方かもしれないです。
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