イタリアはオペラの歴史が古く、また多くの作曲家を輩出している国です。
現在まで名前を残す作曲家のうち、巨匠ジュゼッペ・ヴェルディの後を継ぐ作曲家というとやはり浮かぶのは
ジャコモ・プッチーニではないかと思います。
ヴェルディは1813年生まれ。
プッチーニはヴェルディより45年後の、1858年の生まれです。
今回はプッチーニのオペラ作品についてです。
プッチーニの経歴
プッチーニは、マスカーニと同様ソンジョーニ社の1幕もののコンクールに応募します。
ソンジョーニ社というのは主に楽譜を作っていた会社です。
そのコンクールでは、マスカーニがカヴァレリア・ルスチカーナというオペラで優勝してマスカーニは一躍時の人になるのですが、
プッチーニが応募した「妖精ヴィッリ」は残念ながら入賞できませんでした。
でもその後妖精ヴィッリも上演することができ、プッチーニはソンジョーニではなくリコルディ社の目に止まります。
リコルディ社はソンジョーニ社より歴史も規模も大きかったので、結果的にはそちらの方がよかったんですよね。
リコルディ社の依頼でプッチーニが次に作ったオペラが「エドガール」という作品です。
実はプッチーニという人の成功の陰には
- ジュゼッペ・ジャコーザ
- ルイージ・イッリカ
の二人による台本が素晴らしかったということも大きいと思うのですが、
台本がもう少しよければもっとよかったのでは、と思えるのがこのエドガールというオペラ作品でした。
リコルディ社もそれを感じたのか、
その後しばらく経ってからジャコーザとイッリカの二人と組むことを、プッチーニにすすめているんですね。
そこらへんはリコルディ社もなかなで、ちゃんとプッチーニの才能を見抜いていたということでしょう。
また、プッチーニも同じくそれを感じていたであろうことが、
エドガールでは台本作家は一人だったのに次のマノン・レスコーでは
ああでもないこうでもないと、とっかえひっかえ台本作家を変えていることでもわかります。
そしてマノン・レスコーで最初の成功を得たプッチーニは、その後も素晴らしいオペラ作品を出し続けることになるのです。
プッチーニの作風
これは私が思うプッチーニのオペラの特徴ですが
- ドラマティックな音楽
- 映画のようなストーリー
- 豊かで覚えやすいメロディー
- 異国情緒のあるオペラが多い
という感じではないでしょうか。
プッチーニの音楽は、時に扇情的とかお涙ちょうだいと言われるほどドラマティックなオペラで
これでもかというくらい音楽が高揚するので、見ている者が心を揺さぶられる作品だと思います。
ストーリーの人物描写が繊細で、まるで映画のようなオペラとでもいったらいいでしょうか。
音楽は途切れなく流れるのですが、そのくせここぞというアリアは覚えやすく一度聞いたら忘れない。
そして蝶々夫人、トゥーランドットなど異国を扱ったオペラも多く、それぞれの国の雰囲気を音楽的にとりいれて作り
いずれも成功しているんですよね。
プッチーニは西部の娘というアメリカを舞台にしたオペラも作っていますから
異国ものの作品がほんと多いんですよね。
個人的にはプッチーニの中では、トスカがもっとも見やすく好きなのですが、
海外ではかなり蝶々夫人の人気が高い作品であるのを感じます。
でも書きましたが、フィンランドはそこまでハイレベルなオペラの国ではないにもかかわらず、蝶々夫人が取り上げられていることにちょっと驚いたのですが、
それくらい人気がある作品のようです。
ある年のアメリカのメトロポリタン歌劇場の上演回数を見ても蝶々夫人は7位に入っていました。
日本より人気があるのではないかと思うくらいです。
少なくとも海外のオペラファンは、蝶々夫人が日本人のイメージかもしれないですね。
ただ、プッチーニの作品のうち西部の娘は、同じ異国風オペラでも祖国イタリアであまり好まれていない作品のようです。
西部の娘は蝶々夫人の後、ジャコーザの死により台本が変わったことも大きいと思います。
西部の娘というオペラは、西部劇のような内容で、それまでのプッチーニとはちょっと趣が違うのは確かで、
イタリアの人には受けない作品だろうなとは思います。
プッチーニらしく引き込まれるところはあるのですが‥。
やはりプッチーニは
がもっともプッチーニらしくて素晴らしい作品だと思います。
プッチーニのオペラ作品
- 妖精ヴィッリ
プッチーニがソンジョーニ社のコンクールに出した作品。残念ながら入賞できなかったものの、
りコルディ社に認められて、次のオペラ作品を依頼されるきっかけとなります。
愛するものを裏切ったため妖精ヴィッリに復讐されるという、題名より怖い物語。
- エドガール
妖精ヴィッリがきっかけでリコルディから依頼されたオペラだが、結果はいまいちで
ほとんど上演されることのないオペラ作品。
妖婦に惑わされ、真実の愛に気づかず、気づいた時は死んでしまうという、紆余曲折の話、
ストーリーが込み入りすぎてちょっとわかりにくい作品かも。
- マノン・レスコー
妖艶なマノンとデ・グリューの物語。何人かの作曲家が手がけているが、プッチーニの作品と
マスネのマノンのオペラがどちらも有名。
詳しくはマノン・レスコープッチーニ若さムンムンのオペラをどうぞ
- ラ・ボエーム
若い芸術家たちの儚い青春ストーリーのオペラ作品。
ミミが歌う「私の名はミミ」が有名。
- トスカ
恋人の画家カヴァラドッシを守るために、警視総監を殺してしまうトスカ。
ところがカヴァラドッシは処刑され、絶望したトスカも死ぬという悲劇。
トスカのアリア「歌に生き、恋に生き」と、カヴァラドッシの「星はひかりぬ」が有名が作品。
- 蝶々夫人
舞台は長崎、ピンカートンを待ち続けた蝶々夫人の悲劇のオペラ。
ドラマティックすぎて、ちょっと辛いくらいの話。だからこそ世界中で人気なのかもしれない。
蝶々さんの歌う「ある晴れた日に」がとても有名な作品。
- 西部の娘
メトロポリタン歌劇場で初演された、西部劇のようなオペラ作品。
舞台はカリフォルニア、ゴールドラッシュの頃の話。
西部の娘プッチーニ風の西部劇
- ラ・ロンディネ
唯一のオペレッタということになっているが、内容はちょっと椿姫を思わせる。
パトロンにかこわれる華やかな生活から、純粋な青年との愛の生活を選ぶが
やはり元の世界に戻っていくという、しっとりとしたストーリーの作品。
- 三部作のうち「外套」
下層階級の人々の愛憎を描くぞっとするところのある短い1幕オペラの作品。
- 三部作のうち「修道女アンジェーリカ」
修道院の中の悲しい物語。1幕オペラの作品。
- 三部作のうち「ジャンニ・スキッキ」
三部作の中では唯一気楽に見られるオペラ。お金持ちの老人の死で、
遺産が気になる親類たちと、若い恋人たちのために一肌脱ぐジャンニ・スキッキの話。
ラウレッタが歌う「私のお父さん」が有名な作品。
- トゥーランドット
舞台は中国。冷たい心のトゥーランドット姫の心を溶かしていく、王子カラフと周りの人たちの話。
アリア「誰も寝てはならぬ」があまりに有名です。
プッチーニとオペラの台本こちらもよければどうぞ。
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