オペラに行く時に何を持っていくんだっけ?
と迷わなくていいように、オペラに行く時に持っていくと良いもの、行く前に調べておくと良いことについて書いてみます。
あくまで個人的な意見です。
後ろの席ならオペラグラス
<オペラグラスは必須アイテム>
基本的には以下のようなところではないかと思っています。
- オペラグラス
- ペットボトルなど飲み物
- のど飴
- パンフレットが入る袋、バッグ
オペラの場合、大きな会場のフェスやライブのように歌手が大写しになることはありませんから、後ろの席の場合はオペラグラスは必需品だと思います。
逆にあまり前の方の席でオペラグラスを使うのは舞台からもよくわかりますし、ちょっとどうかと思いますが、
ただこれは個人の目の良し悪しなどの事情もあるのでそれぞれですね。
オペラグラスはその名の通り元々オペラハウスで使われたことからその名前の由来があります。
最初に原型ができたのは17世紀と言いますからかなり昔ですが、
二つのレンズを並べた現在のような形になったのは19世紀のこと。
オペラはもともと貴族が見ていたのでおしゃれで高貴なアイテムの一つだったようです。
ただ19世紀となると多くの資本家も台頭している時代です。
一体どれくらいの人がオペラグラスというものを使っていたのかまではわからないです。ちょっと興味ありますね。
貴族の娯楽だった頃のオペラは現在のようにおとなしく静かに見ているのではなく、かなりざわざわしていて
見たいところだけ、見たい歌手だけ見るという風潮があったようですが、
舞台が遠くてオペラグラスもさほど浸透しておらず見えなかったのだとしたら、ちゃんと見なかったのも仕方なかったのかなと勝手に想像しています。
飲み物は会場でも売っていますが、私の場合は一応お茶かお水を持っていっています。
飴については、急に咳き込んだ場合を考えて一応持っています。
ただ公演中に取り出すと音がするんですよねえ。「カサカサ!‥ピリピリ!‥」意外に聞こえる‥。
中には神経質な観客もいて露骨に睨みつける人もいるので(仕方ないのにって思います笑)全く音がしない飴がもしあったらいいと思うんですけど、知っている限りで今のところ無いです。
そしてパンフレットを入れる袋。
そもそもバッグが大きい人は要りませんし、パンフレットやチラシ類が要らない人は必要ないと思います。
私の場合はパンフレットをみて次に行くオペラを決めることが多いので、必ずもらいます。
公演中にササっと見て要らないものはおいてきちゃいますけど‥。会場によっては捨てる用のカゴを置いてくれていますね。
最近は入り口で配られる公演のパンフレットもなんとなく減った気がします。
新型コロナで公演自体が減っているのか予算が減っているのかわかりませんが、なんとなく寂しい感はあるので、また増えるといいですね。
行く前のチェック事項・幕の数や時間・座席は真ん中か端っこか
持ち物も大事ですが、オペラに行く前に私の場合いくつかチェック事項があります。
<上演時間をチェック>
まず確認するのがオペラの上演時間です。
オペラってワーグナーのマイスタージンガーのように4時間を軽く超えるものもあれば、カヴァレリア・ルスチカーナのように1時間程度のものもあります。
オーケストラのコンサートの場合だと大体2時間程度が多いと思うのですが、オペラは演目によってすっごく時間が異なります。
長い時もありますから、所要時間は必ずチェックした方がいいんじゃないかと私は思います。
意外に長いのがバロックオペラ。
バロックの中で比較的よく上演されるのがヘンデルのオペラで
ヘンデルって名前が有名なので気楽な気持ちで行くとこれが意外に長いのです。
そして二幕までは結構退屈なことが多い(笑)。
でもこれを我慢していると(こんなこと言っていいのか‥)最終的にはすごく満足することが多いです。
ヘンデルのセルセもリナルドもアルチーナもが正味で3時間程度あるので休憩を入れると4時間くらいになりますから要注意ですね。「今日のオペラは長いぞ!」と思っていく方がいいと思います。
有名なモーツァルトのフィガロの結婚も正味3時間程度ありますからこちらも長めです。
<幕の数もチェック>
3幕まであるのか、4幕まであるのかなど、私の場合は行く前には幕の数もチェックしていきます。
最近は1ー2幕を合体して休憩を1回にするとか、3ー4幕を合体させるとか、場合によっては2幕を前後二つにわけて休憩にするとか、そんなこともあります。
おそらくオペラが長くなりすぎないようにという工夫なのかなと思っていましてこれは私などはとてもありがたいです。
夜の公演の場合、帰りが遅くなりますから‥。
あと、オペラによっては幕の中で「1場、2場」のようにさらに場で区切られている場合があります。
場面が変わるということですが、それを知らないで見ていると「ん?これはどこ」となることがあるので、場があるかどうかを私はチェックしていくことが多いです。
<何語の上演かのチェック>
オペラが何語で上演されるのかのチェックです。主にパンフレットで確認します。
パンフレットや公式ページをよーく見ると大抵「イタリア語上演」とか「ドイツ語上演」とか書いてある場合が多いです。
かつて日本にまだオペラがあまり浸透していなかった頃はアリアだけ原語で他は日本語とか、全部日本語なんていうこともありました。
特にオペレッタは日本語が多かったと思いますし今でもあります。
オペレッタはセリフが多いので、確かに日本語だとわかりやすいんですよね。
あとモーツァルトなどは、生まれはオーストリアだけどオペラはイタリア語とドイツ語の両方がある作曲家もいます。(オーストリアはドイツ語圏)
「フィガロの結婚」はイタリア語だけど「魔笛」はドイツ語です。
ヘンデルという人ははドイツ生まれで活躍したのはロンドンなのですが、オペラはドイツ語でも英語でもなく「イタリア語」です。
時代が「オペラはイタリア語」の時代だったんですよね。
あと作曲家が生きているうちに2ヶ国語で作られているオペラもあります。
例えばワーグナーのタンホイザーなんかがそうです。
元々はドイツ語だったけどパリ上演用に作ったフランス語版があるのです。
ほかにもドイツ語版とイタリア語版があるというオペラも結構多いです。
なので、私の場合は何語の上演かなというのをチェックしていきますね。
何語かについては時代のはやりもあって、通常ドイツ語版が一般的、とかイタリア語版が一般的とかそういうのがあるんですけど、あえて一般的ではない言語を選んでいる上演だったりすると
「おや?攻めてるなあ」と密かに思ったりしています。
<ちょっとマニアックだけどいくつか版があるときはそれもチェック>
もっというと、原語の問題だけでなくいろんな版があるオペラの場合はその中のどれを使うのかな?という興味津々の公演もあります。
ベートーベンのフィデリオなんかがそれで、フィデリオは序曲がいくつかある上に、第二幕の途中に15分くらいの序曲が入る版もあるんですよね。
なのでフィデリオを見るときは何を使うのかな(どの版を使うのか)っていうのがちょっとワクワクするところです。
先ほど出たワーグナーのタンホイザーなんかも複数の版があって、多くの上演はバレエが入らないドレスデン版っていうのが上演されることが多いのですが、パリ版だと最初にバレエが入るんですね。
ちなみに最初に上演した場所がドレスデンだったのでドレスデン版って言われます。
パリ版にバレエが入るのは、当時のパリオペラ座がフランス語上演必須、バレエも必須としていたからなんですが、珍しいパリ版を見たときは「うわあ!すごい、こっちを使うんだ」とひとりで内心ワクワクしていました(変人かもしれない‥笑)。
こういうところに主催者の熱い思いを感じたりしちゃうんですよねー。
ちなみに、バレエは入れるけど言語はドイツ語とか、そういう折衷版もオペラの世界ではよくみるので、そこら辺も注目していくとオペラってどんどん楽しくなるんじゃないかなあって個人的には思っています。
有名なビゼーのカルメンなんかもそうで、こちらはセリフがある版とセリフがレチタティーヴォになった版があって現代ではレチタティーヴォ版が圧倒的に有名なんですけど、たまにセリフを使っているのを見ると「お?!」となるわけです。
<あらすじのチェック>
一応あらすじもチェックしていきます。(会場でパンフレットを買う場合はその場で読めますが)
オペラは何度も見られるものではないので、特定のオペラを除いては大抵忘れています(笑)。
大筋は覚えていても細かいところは忘れてるんですよね。
だから一応あらすじはチェックしておくと字幕を見すぎることもありませんし良いかと思います。
注目のアリアなどもあらすじのついでにチェックしてます。
ちなみにあらすじは私は自分の書いたものを見ております(笑)。案外忘れてます。
アリアを押さえておくと、「この場面でこのアリアなんだなあ」とわかったり、
またさほど有名ではない別のアリアも「やっぱりこれもいい」となったりします。
なので、アリアも一応チェックしておくと楽しいと思います。
ちなみに私の場合は有名なアリアはやはり何度聞いてもいいけど、そうでないアリアも徐々に発見して好きになっていくっていう楽しみがあります。
そこら辺の自分の好みを発見していくのも楽しいですね。
カルメンとかヴェルディのトロヴァトーレなんかがそれで、最初は闘牛の歌がやっぱりかっこいいし、カルメンのハバネラはいいなあとなるのですが、
何度も聞いているとミカエラのアリアの良さがジワジワとわかってきて「ミカエラ最高!」ってなってました(笑)。
トロヴァトーレに至ってはオペラの冒頭で衛兵頭のフェルランド(主役ではない)が歌う「昔ジプシーの老婆が‥」っていうアリアが実は重要だわとようやく気づいて真剣に聞くようになったり‥。など自分なりの発見はつきませんね。
<座席が通路から近いかどうかのチェックも忘れずに>
さて、オペラの中身だけでなく座席のことについてです。
意外に大事なのが座席が通路から近いかどうかのチェック。
通路から遠い真ん中辺の席の場合は、できれば早めに行って座っておくのが良いかなと思います。
もちろん仕事の都合などで駆け込む場合もあるので(私もちょいちょいあります)仕方ないんですが‥。
チケットを買う時になるべく端っこの席を狙っているんですけど大体取れないんですよね。
端っこの席の場合はギリギリに行ってもいいのですが、真ん中辺の席でギリギリにいくと既に座っている人たちに立ってもらわないといけなかったりして、これがなかなかに申し訳ない。
これは休憩時も同じで、真ん中辺の席の場合は早めに休憩を終えて座るように私の場合はしています。(まあ人それぞれなので、よいしょよいしょとかき分けて座るのも別に悪くはないです。休憩もしっかり楽しみたい気持ちもわかる‥)
ワーグナーの聖地バイロイトの祝祭劇場などは通路が少なく中央の座席のつながりがめちゃくちゃ長いので、かなり気にして真ん中辺はすごく早めに座らないといけないって言われますね。
ちなみに余談ですが、バイロイトのチケットってとても取りにくいって言われるんですが、一応ネットで購入できます。
その場合称号を入れるプルダウンがあって、「王子」「王女」とかあるんですよね(まじか‥笑)。平民は行きにくい?そんなことはないと思いますが‥。
あとオペラに限らず安い席だと上の方の階になると思います。
席に着くまでに時間がかかるので早めに行く方がいいです。
私の場合オペラにいくと普段よりスマートウォッチの階段数が増えている(笑)こんなに登ったのね‥と。
安い席だと早く行かなきゃいけないし、コロナ禍の中では蜜を避けるために終わっても最後まで待たされるということに‥まあ値段の差は仕方ないです。
<最後にバロックには要注意!女性が男性、高い声が王様>
バロックオペラを見る人は実はマニアじゃないかと思っているのですが、この時代のオペラは私の場合まず配役がわけわかんなくなるので、一応配役をチェックしていきます。
よく上演されるバロックではヘンデルのオペラなどですね。
一言で言うとこの時代は低い声が少なく、ほとんど高い声ばかりです。
ヒーローも高い声、王様も高い声が多いです。
時代がもう少し新しくなると(ドニゼッティとかヴェルディとか)王様は低い声になってきて、恋人役の男性はテノールが多くなってくるんですけど‥。
加えてこのバロックオペラの時代はカストラートがいたんですよね。男性なのに女性の音域まで出せる歌手が人気だった時代です。
でも今はカストラートって存在しないので、代わりに女性が歌ったり、テノールが歌ったり、音域を下げてバリトンが歌うって言うこともあります。あとカウンターテナーが歌うって言うこともありますね。
つまりいろんなケースがありうるわけです。
恋人同士が2人とも女性のソプラノ、王様役も女性のソプラノなんて言うことがよくありますから
バロックオペラを見る場合は男性が歌うのか、女性が歌うのか、この役はそもそも女性?男性?っていうのがわけわからなくならないように、配役を頭に入れていくといいんじゃないかと私は思います。
男性のバス声が主役になっていくのは最初は喜劇からです。
シリアスな役でバス声が主役になっていくのはもう少し後なんですよね。ロシアのオペラとかそうですね。
オペラを見にいく際のちょっとしたチェック項目でした。参考までにどうぞ。
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